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ムカシガタリ



暖炉の前で薪を焚べているギルア。


暖炉の前に陣どりネミル。


薪がパキと音がする度に揺らめく炎を見つめ「目が乾くにゃ…。」と呟く。



手酷くやられたメグラは、身体を休めると静かな寝息を立て

始めていた。


今カフエリ達は、

荒れ果てたマーディンの跡地に残された数少ない転移石。


“ギルアの洞窟”行きの転移石を使い、建て直しされたギルアの家に身体を休めていた。


カタカタと歯車が鳴り

動く鉄の人形。


「ドウゾ、アタタカイ、スープデス。」


言葉とは裏腹に各々の手に渡るのはグラスに入っている冷たい水。


ソナの木で作られた、不格好な椅子に座るカフエリとフエン。


背もたれにうつかり、揺ら揺らと椅子を動かしくつろぐ。


ユウとメルフォードは、今までに見た事もない、不思議な鉄の人形を眺め首を傾げていた。


そんなメルフォード達を見て「まだ…あおいにゃ。」と笑うネミル。


黒い尾をくねくねと動かすと

背筋を伸ばして欠伸をする。


ギルアがカフエリ達の姿を見てふと「ぬっ…。フォードとカヨウはどうした?」尋ねる。


「カヨウ…!」その一言に強く反応するユウ。


「フォードは…もういない。」

悲しげにグラスの水を回しているフエン。


「…カヨウか、懐かしいなぁ。」暖炉の炎が瞳に映るカフエリ。


「その話し…カヨウの事もっと教えて。」ユウはギルアの方ににじみよる。


「おぉ…我は別に良いが。」

視線をカフエリとフエンに送るギルア。


小さく頷く二人。


一際大きい切り株に座るギルア。


まるで懐かしく楽しい頃の

想い出を話すかの様に語りだす。

◆◆


それはまだ世界が今よりずっと明るかった頃、伝説の地マーディンにまつわる記憶。


当時のパーティーにはギルアと、まだ若さの残るネミル。

 

幼く生意気なフエンと

勝ち気なカフエリ、冷徹な戦士カラと探求者ムーリスの姿があった。


そしてそのメンバーに含まれ

仲が良いのかフォードとカヨウもよく戯れていた。


森の奥にある転移石を祀る結界。

そこで、ムーリスは

「この〜転移石を分析してから行く…。先にマーディンに行ってて。」と笑って手を振っていた。


一行は一足先に転移石を使って目的地へと降り立った。


そこで彼らを迎えたのは、

マーディンの長である

ドワーフ、『ゴルゴンリ・バルドルガン』と、見たこともない発展した技術の数々だった。


「ゴルゴンさん?!」

ギルアの言葉に突如として水を吹き出すユウト。


「ユウトうるさい…。」

ユウトの大声に耳を塞ぐフエン。


カフエリ達に睨まれ小さくなると水を啜る。


そんなユウトを優しく撫でるミレイ。


二人はほんわかと和やかな空気を醸し出す。


また話の続きを語りだすギルア。


「そう言えば…ネミルは。」


◆◆



黒鉄のマーディンは凄まじい技術に溢れていた。


空を飛ぶ鉄の馬。


壁にはめ込まれたガラスに映る様々な映像。


もう何もかもが目新しく

カフエリ達の知らないものばかりであった。


特にネミルは、壁にはめ込まれたガラスの中に映るものが勝手に動き、言葉を話す様子に心を奪われていた。


耳を立て尾を振り回し顔を真っ赤にして「あれにゃー、見てにゃー。」興奮していた。


カフエリとフエンは顔を見合わせクスクスと笑っていた。


しかし、その穏やかな空気はすぐに凍りついた。


共に移動したはずのカラが、

どこにもいなかったのだ。


「そういえば…カラは?」


フォードがあたりを見渡すがカラの姿が見えない。


「まずい、マードック!さっきこの子達が使った転移石、まだ使えるか!」


眼鏡の上に更に分厚い眼鏡を掛けているマーディンの長ゴルゴンリ。


「おぉ良かった、まだ使えそうだ。」

分厚い眼鏡を掛けている一人のうなるドワーフ。


カフエリ達は、またギルアの洞窟行きの転移石へと戻りムーリスと話をする。


急ぎムーリスとドワーフの技工士達が調査した結果、戦慄の事実が判明した。



一行が転移した直後、安置所にあった転移石がディロア率いるゴブリン軍によって次々と破壊され、空間に凄まじい歪みが生じていた。


その影響でカラは目的地から弾き飛ばされ、あろうことか、三万ものゴブリンがひしめく敵軍のど真ん中へと転送されてしまったのだ。


たった一人で三万の軍勢に囲まれ、絶望的な死闘を繰り広げるカラ。




その異常な気配を察知すると表情を強張らせたムーリス。

凄まじい魔力を放ち飛んで行く。


そしてカラを救うべく戦場へと跳躍した。


軍勢の奥深く、禍々しいオーラを放ちながら黄金の槍を構えて君臨するのは、ゴブリンの王を超えた存在、ゴットゴブリン・ディロア。


一人で万の軍勢と渡り合うカラの背中を守るようにして、ムーリスはその場に降り立つ。


神を自称するディロアの狂気と、

ムーリスの鋭い魔力が、空間を震わせながら正面から激突しようとしていた。


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