ヒカリノカケラ
鼻歌混じりのムーリス。
魔力で編み込んだ長い布幾つも織り成す。
「ジャシャーン!で~きたっと。」
ピンクのリボンが付いている
長い布をカフエリ達に渡す。
「これでぇ~、ずっと目隠ししてギルアの洞窟まで~行くよ~。」
「あっ、それとぉ~精霊達の力を借りちゃあ~いけないよ。」
穏やか口調で話すムーリス。
まだ朝日も見えず薄暗い。
そしてこの辺一体には危険な魔物
『コボルト』や『オーク』がいる地帯。
もしかしたら先ほどの
ゴブリン達もいるかもしれない。
「もし…ちらっと見たら、どうなるにゃ…?」
短剣を鞘から抜くカラ。
刀身がミスリル銀一色に輝く。
「その時は、私がお前達を切る!」
耳をぴくっとさせるネミル。
カフエリとフエンはなぜか
震えながらも笑みを浮かべていた。
まるで更に強くなれると
確信するかの様に…。
だが…先ほどまでゴブリンと激しい戦いを
繰り広げていたフォード達。
まだ体力と魔力の回復ができていない。
更に精神的、肉体的にも疲れが取れずにいた。
「まだ…立てない…。」
肩で息をしているフォードは
少し顔が赤く、熱を帯びていた。
カヨウはその様子に見覚えがある。
それは自分の限界を越えた
『魔力切れ』と症状が似ていた。
カヨウは「これじゃ、歩けないわね…。」とため息を漏らし微笑む。
そんな様子をカラは鼻で笑い一言話す。
「ならカヨウ…お前が背負え!」
「敵は待ってくれないぞ!」
傲慢な態度につい堪忍袋の緒が切れてしまうカヨウ。
「さっきからあんたら何様!?」
「フォードは仲間じゃ無いの?」
自分の事は棚に上げて怒鳴る魔物。
欲望のままに生きるサキュバスとは、
思えぬ正論をカラとムーリスへと言い放つ。
「あらあら~仲良しねぇ~。」
クスクスと笑うムーリス。
「おまえ…変わっているな。」
なぜか肩を震わせ背中を向けるカラ。
馬鹿にされているとすぐに気付くが、
苦しそうにしていたフォードを放っては置けず、舌打ちをしながら素直に背負う。
ニコニコしながらカヨウに
目隠しをするムーリス。
何でこんな無駄な事をしているのか、
カヨウ自身が一番理解に苦しむ。
そして自分の背中で「ごめ…んなさい。」と何度も震える声で謝るフォード。
そこに幼い頃に亡くなった妹の姿を重ねてしまう。
「あんたはだまってな。元気になったら絶対に食べるからね!」
少し口調が荒くなる。
だがその奥深くに眠るカヨウに残された
最後の良心。
どこか切なく柔らかい温もりをフォードは
感じ取る。
「さぁ、行くぞ!」
勇ましく叫ぶカラ。
そして欠伸をしながら歩くムーリス。
何も見えぬ恐怖に挑むカフエリ達であった。




