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ウシロ



ゲートをくぐり抜け、ランドから帰還する

メル達。


ユウトとミレイは後から来るとだけ伝えてきた。


目の前には大きなメナの木がそびえ立つ。


「あっここ。知ってる!」


ペタペタと巨木の幹に触れ喜ぶ

カフエリが操るメル人形。


どこか懐かしく感じる風景。


少し違うのが仄かに香る血の臭い。


そして所々で灰色の煙が立ち昇っている。


崩れ壊れた町並みがメル達の心を現実へと

引き戻す。


「メールー!!」


炎の巨鳥にまたがり、満面の笑みを浮かべた、フエンが手を降り、こちらの方へ向かってくる。


いきなりフエンは炎の巨鳥からメル目掛け、飛び降りた。


メルは背中にミサキがいて両手が塞がり

受け止める事が出来ない。


咄嗟に『トレース』を使おうとするが

心が乱れイメージをまとめる事が出来ない。


慌てているメルを察した

カフエリは、スッとメル人形を差し向け

フエンを受け止めた。


ザザァ!砂煙が舞い上がる。


「あ、危ないでしょ!フエン。」


「大丈夫。精霊の力で着地…。出来たから。」


メルの背後で言い争う二人。


顔をしかめたロウガは耳の穴を指で塞ぐ。


カラとムーリスは目を丸くして

言い争う二人を見ている。


何故か二人の喧騒に心が落ち着くメルであった。


何かを思い出したのかフエンの表情が変わる。


「メル。中央広場に来て。」


「アユムが危ない。」


どうやら陽炎の町で何か異変があったらしい。


メルは急いで陽炎の町。


中央広場へと走り出す。


◆◆


「さっきの話しは…本当なのかアユム!」


「…、未来を知ってたのに黙っていたの…。」


フグエルレンとアユムのやり取りを

聞いてしまった陽炎の町の住人達。


自らの怒りと絶望の捌け口を

アユムに向けた。


「俺は…。この手で娘を殺したんだ!!」


男は動けないアユムを殴り付ける。


止めに入ろうとフグエルレンが近付くが

アユムは首を横に降る。


「果たして…アユム様だけの責任でしょうか?」


錫杖を鳴らすカヨウ。


男は動きを止め「どういう意味だ?!」と

カヨウを睨む。


言葉を続けるカヨウ。


「そもそも…。ここにいる皆様はノボル様からみたら、不要な者達。」


「なのに、何故ここにノボル様が現れ、

襲って来たと思われますか?」


その禁断の問い掛けにアユムは危機感を

感じ、口を挟もうとするが声が出ない。


(まさか…。お前は!?)カヨウを睨みつける。


カヨウは視線を気にせずに話しを続ける。


「その理由はただ一つ。」


「暝砡の血を持つメル様をかくまったからです。」


「ノボル様は、暝砡の者にご家族や友、仲間を奪われたとお聞きします。」


「なら、暝砡に対して深い恨みも御座いましょう。」


この言葉だけで住人達を操るには、十分過ぎる程に効果があった。


気が付けば、メルの大切な家族であり仲間でもある者達に刃を突きつける住人まで現れる。


「今こいつらは何故か動けない。」


「人質にしてメルを討つ。」


異様な殺気に満ち溢れる。


そこにメル達が現れる。


メルは怒りに震える。


動けぬアユムと意識をメル人形へ移していて、動けないカフエリ達の首元に、ナイフを突き付けていたから…。


フグエルレンも油断していて

カフエリ達の、身の安全を気にしていなかった。


自分の不甲斐なさと、人間の浅はかな思考に呆れていた。


その様な光景を見て、メルは不敵に笑う。


「やはり…、カヨウ。お前がノボルを、この町に引き入れたのだな。」


突然の一言にロウガ達が驚愕する。


少し頬がひきつるカヨウ。


「い…。いきなり何を言うのですか?」


「何処にそんな証拠があるです?」


メルは自らが『トレース』により造り出した200体のメル人形達について語りだす。


「俺は…ずっと嫌な予感がしていた。」


「ユウト達からも、ノボルは

一筋縄ではいかない者とも聞いていた。」


「そこで俺は考えた。」


「もしも俺がノボルだったら…と。」


「目的はわからない。しかしノボルは、俺を闇に染めたいと考えている節がある。」


「そこで一番、俺が最も怒りに震え、最も絶望の闇に染まる方法を考えた。」


「それが、陽炎の町の襲撃と仲間の破壊。」


淡々と語るメルにフグエルレンが一番に驚く。


メルの瞳から放たれる心の動きが以前の様に見えない。


何かを常に見通す、その瞳に少し寒気を

感じていた。


急に早口になるカヨウ。


「それで、どうして私がノボル様をこの町へと引き入れたと思ったのですか?」


カヨウの言うことは当然の質問であった。


軽く指を動かし旋律を刻むメル。


頭上から透明なスクリーンが浮かぶ。


「これからその証拠を見せる。」


スクリーンにはメル人形達が

見ていた映像が映し出された。


そしてその中で一つの映像を

選びスクリーンへと飛ばす。


それはカヨウの操るメル人形の映像だった。


そこに映るのは、一面真っ赤

染まり肉片が飛び散る地獄。


陽炎の町の住人達は目を背ける。


すると映像がいきなり歪む。


❰カヨウ!気をつけろ何か来る。❱


メルの声だ。


メル人形の視線が背後へと向く。


そこには、不敵に笑うノボルが映り出される。


「遅かったね…。暝砡の者よ。」


また映像が震え乱れる。


(何で?!サガワノボル!!)


「年下に、呼び捨てされる、筋合いはないなぁ…。」


更に映像が乱れてしまう。


そこで映像を止めるメルは

一言その場にいる者達に伝える。


「何か、違和感を感じないか?」


俯くメルの瞳が何処か虚しそうに見える。


カヨウは少し笑みを浮かべる。


「これの何処が証拠…なんですか?」


確かに…。この違和感に気付ける者は少ない。


しかし一人だけが、その違和感を気付いてしまう。


先ほどから親指の爪先を噛りながら映像を

見ていたフエン。


その明らかな違和感を突き付けた。


「何で…。ノボルはメル人形を操っている人物が、自分より年下だと分かったの?」


その場の空気に戦慄が走る。


カヨウは唾をごくりと飲み込む。


更に続けるフエン。


「確かに、ノボル程の力を持つ者なら魔力探知で大体の事は分かるとおもう…。」


「でも見た目は…。みんなメル人形。」


「魔力探知だけじゃ。自分より年下…なんてわからない。」


「もしノボルが、この世界で

一番最初に生まれた者だとしたら話しは、別ね…。」


視線をアユムに向けるフエン。


「いや、それはないよ…。」


急に話せる様になったアユム。


「そういえば…カヨウはよくランドへ出掛けていたな。」


住人の一人が呟く一言。


住人達はカヨウへと冷たい殺意を向けた。


「ちが…違う。私は。」


首を横に降り必死で否定するカヨウ。


ゆっくりとカヨウに近寄るメル。


その威圧感に後退りをするカヨウ。


メルは指で旋律をなぞる。


巨大な十字架が”トレース”により造り出される。


ロウガ達に、視線を送るメル。


泣き叫ぶカヨウを十字架へと

縛り付けた。


住人達に「好きにしろ。」


その一言を伝えカフエリ達を

連れてその場から離れて行く。


様々な武器を、手に握り、十字架に貼り付けられたカヨウへと近寄る住人達。


メルの背後では怒号と悲鳴が木霊する。


静かに歩みを進めるメル。


フエンはメルの右手を掴み

メル人形にアユムとクレアを

運ぶ様に指示をしていた。


カフエリはメルの左腕を震えながら握る。


フグエルレンはミレイとユウトの身体を運びながらメルに恐怖を感じていた。


ロウガとカラとムーリスは、ただメルの影を追いかける。






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