表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/104

ススムベキミチ



どこか甘酸っぱく生ゴミの様な臭いが鼻の穴に纏わり付く。


眉を潜め両手で鼻を塞ぐミレイ。


ミレイの仕草一つ一つに

「もぅ可愛い。」「あぁなんて美しいんだ。」と呟くユウト。


「うるさい。」と怒るが

銀色の尾を激しく降り、ミレイの頬が少し熱を帯びる。


ユウトが錬金釜の中身を鉄の棒でかき混ぜる度にゴポッと鳴り響き。


時折、粘り付く緑の液体から

サモデスの目玉が

ぷかり、ぷかりと浮かんでは

沈みを繰り返す。


錬金釜を熱する魔力の炎が

鼻歌を口ずさむユウトを、

下から照らすことで、不気味な雰囲気がより際立つ。


「できるかな…。ぐーるぐる。」


意味の無いことを呟くユウト。


「なぁ… 。それで“血魔の叫び声”に、効く薬。本当にできんのか?」


訝しげにぼんやりと光を放つ

錬金釜を眺めるロウガ。


鼻を膨らまし

「それ以上の物が出来るよ!」と笑みを浮かべるユウト。


「もうっ…。早くできないの!」


足先をぱたつかせ苛つく

カフエリ。


「ミサキ先生…。急がないと…。」


自分の腕が痣になるほどに

強く握るフエン。


メルの大きく武骨な暖かい手。


二人は不安と焦りで震える身体。その小さな手を優しく包む。


錫杖を揺らし、少し考え事を

しているカヨウ。


「これ…。何かおかしくありませんか?」


カヨウの口から突然の一言。


メル達は、視線をカヨウに向けた。


「あまりに、偶然が重なり過ぎてます。」


「何故、”血魔の叫び声”が陽炎の町に?」


「確か…。苦死の悪魔は、契約の儀式をしなければ、力を行使出来ない魔物と聞きます。」


「どうしてマレビトの”カワシマソウ”がこの場に現れたのでしょう?」


「誰かの強い意図を感じます。」


その疑問の問いに最も近い答えを語る人物。


「多分これ…。ノボルさんの、策略ですよ。」


グツグツ煮えたぎる錬金釜を

混ぜながら話すユウト。


「僕は『話術』という能力があります。」


「それは、言葉だけで相手に与える印象を操る力。」


「でも…。ノボルさんには通じなかった。」


「いや…。”全てを知っている”から、何も感じていない。」


「そんな感じがしました。」


ユウトは過去にノボルと一対一で話した事がある。


それ故に気付ける事があった。


それは…。ノボルの視線を感じない、そう。台本に書かれている台詞を読むかの様に話す。


つまり未来を知っているかの様だった。


「あぁ…。確かに…。ノボルの語る事は大抵、現実になっていたな。」


鋭き紅い爪先を舐め、毛繕いをするミレイ。


またボソっと「はぁ…抱き付きたい。」と

ユウトの口から洩れる。


すると…。「真面目にやれ!」


ユウトの首筋を軽く噛むミレイ。


加減してるとはいえ…。暝砡の血で変えられた肉体。


噛む力が強く激しい。


牙が刺さり首筋から暖かい血がぽたぽた…。と地面に垂れる。


少し幸せそうに笑うユウト。


このやり取りのせいで不思議な空気が流れる。


錬金釜から”ピーーー!”蒸気が吹き出す。


「出来た!!」


10丁の黒光りする長い筒と無数の緑に輝く玉を錬金釜から取り出す。


「これを見よ!『サプレッサー付きフルオートマチック狙撃銃VSSヴィントレス『水落』と血清弾!」


「…………はぁ?」


メル達の冷ややかな目線。


「もうっ…。この美しさが分かんないかなぁ。」


肩を落とすユウト。


深くタメ息をしながら使い方を説明する。


どうやら黒く光る筒の穴に血清弾を入れ、

筒の後方にある引っ掛かりを握れば血清弾が

先端から飛び出すらしい。


「ちょっと待ってて…。」


舌を出しながら硝子の筒を覗くユウト。


トトト…。


バスッバスッバスッ!


眼に映らぬ速度で何か飛び出す。


沼地の木々に血清弾が当たると緑色に染まる。


「おぉ!」


メルとロウガは驚き


ユウトは少し誇らしげに銃を構える。


フエンは、「ヘェ…この…。

火力で飛ばすの…。」

狙撃銃の構造を分析している。


カフエリはユウトから狙撃銃を

受けとり使い方を練習していた。


ロウガも受け取るが暴発させたのでカヨウに取り上げられた。


ミレイは爪が邪魔で引き金が

引けず諦める。


「少し考えがある。皆聞いてくれるか?」


湿る岩に腰を掛けてメルが話す。


「さっき言っていたが、もし

ノボルが未来を本当に知っているとしたら…。」


「俺たちに勝てる見込みは、まず無い。」


「だが…。全ての未来が分かるとも思えない。」


メルは手を組み顎を触る。


「ユウトなら、これからどう動く?」


ユウトは少し悩み「三つにチーム分けするね。」


「メルさんは始まりの遺跡コアへ。」


「僕とミレイさんはミサキさんを救出に。」


「残りのメンバーは陽炎の町へ血清弾で”血魔の叫び声”の制圧かなぁ。」



それを聞いたメルは不敵に笑う。


「もしも…。全部俺(メル)が、行ったらどうなるとおもう?」


「はぁ?!」


メルの意味不明な提案にユウト達は困惑するのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ