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涼「まず我々ですが、精霊と呼ばれる存在を統べるもの、故に精霊王と呼ばれています。焔は火の精霊を統べる王であり、颯は風の精霊を統べる王、私は水の精霊の王です。
そして精霊、エレメントにはもう一つエレメントがあります。土、大地の精霊が存在し、大地の精霊を統べるものとして大地の精霊王が存在します。地、水、火、風、四つのエレメントが様々な宇宙の世界を構成し、エレメントの精霊が存在し、精霊王が精霊を統べています。」
涼「そして精霊大王様の一族が存在します。精霊大王様の一族は高レベルの精霊術でなければすべてのエレメントの術を使えます…真面目に訓練して頂ければ…ですが。
精霊大王は姫に代がわりして能力継承を完了しています。全くの無力では無いのですが、内包精霊力は今の大王様より姫の方が高いのです。」
涼が話を続ける
「太古の昔、我々はただ存在するだけの者でした。
思考などというものは意味が無いので存在せず、ただただ時間を重ねていきました。
おそらく最初にエレメントとして自覚したのは大地の精霊王でしょうね。
そして恒星が火を自覚させ、大気が風と水を自覚させたと思われます。
ただ、そのころにはまだ我々も記録という概念がなく、記録手段という方法もなかった。そもそも先に述べた通り、思考というものに意味が無かったのです。
ただ、存在する。それが本来のエレメントの在り方でした。
そして大きな時間が流れ、我々も自我と思考を持ちます。
そんな中、最も思考することを愛されたのが大地の精霊王でした。
誰よりも先に精霊であることを自覚したが故に、長大な孤独の時間を過ごされた故に、思考してそこに意味があることが嬉しかったのでしょう、と後年自身で語ってられました。
大地の精霊王が率先して思考し、意味を考えられるのに引っ張られる形で、我々他の精霊も精霊として世界の成り立ちを支えるようになり、地、水、火、風、4つのエレメントの国と精霊大王の国がさまざまな宇宙のエレメントとして世界を形成し、自我を持って時間を重ねてきました。
そしてさらに大きな時間が流れ、様々な宇宙の様々な世界に発生する幾多の誕生や衰退を見届けていると、様々な誕生の中に知能のある生物が誕生する事が見受けられるようになります。原始的な知能なのでしょうが…。
それも衰退と誕生を繰り返す中、2つの可能性が誕生しました。
先に誕生したのは後に竜種族と呼ばれる者たちで、我々のいる精霊界の近しいところに彼らの世界があります。
数千年、龍族同士で戦いを繰り広げつつ、彼らは稀に精霊界にも牙を向けることがありました。
まあエレメントである我々には勝てることはありませんでしたが…。
そうこうしているうちに、一匹の龍が竜族界を統一して治めました。
後の龍族大王です。
彼は精霊界に来て言いました。
龍族大王「お前ら精霊とやりあっても、スカッとしねえんだ。ガツンと来ないというか…それでいていつの間にかエレメントの能力でサクッと負かされている。まあ楽しくないんだ、俺にとっては。そこで相談がある。見どころのある龍を4匹ほど殺さずに生かしてある。まあ半殺しなんだが…。そいつらにエレメントの加護を与えてやっちゃくれねえか。おれはそいつらと楽しくスカッとやり合う事にする。お前たち精霊族への見返りは、いざという時に力を貸す。これでどうだ」
こうして四人の龍王が生まれ、そして精霊界と龍族界は共に協力し合う関係になったのです。
次に現れた可能性が、彼ら自身が地球と呼んでいる星の住人、人間です。
後に恐竜と呼ばれるドラゴンに似た生物が衰退し、代わって表れた人間に可能性を感じ、強く興味を持たれたのも、やはり大地の精霊王でした。




