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夕刻、焔が風のゲートにて地球に帰還した。
颯が風のゲートの気配を感じて庭に出る。
颯が庭に出たころには、焔は既に風のゲートを通過しており、ゲートは閉じて消失していた。
そしてなぜか焔はしりもちをついて腰をさすっていた。
焔「いてて…」
颯「どうしたんですか?」
焔「風のゲートがイマイチ安定しなくてな、ちょっと小さくて窮屈だったんだ。頑張って広げてくれてたんだがな」
焔がズボンについた土を払いながら立ち上がる。
焔「普段、何気なく簡単そうに風のゲートを開いているけど、結構大変なんだな。感謝するよ」
颯「火のゲートの方がむつかしいと思いますが…。そうですね、あんまり苦労せずにゲートを開いていますが、我々精霊王以外のものがゲートを開くのは、精霊力の保持量と扱いの事を考えると難しいかもしれませんね」
焔が少し笑顔になって言う
焔「ちなみに涼が依頼していた連絡担当者、早速、立候補者が3人も出ていてな。その精霊たちに風のゲートを開いてもらった」
颯は“3人”と“風のゲート”というキーワードから嫌な予感がした
焔「お前の3人の妹たち、話を聞いた瞬間に我先にと連絡担当者に立候補したんだってよ」
颯は嫌な予感が的中し、苦虫を噛みつぶした様な顔をしつつ手のひらで顔を覆った。
(颯“うっかりでも口を滑らしちゃダメな仕事なんだけど、大丈夫かなあ…“)
焔「“3人とも譲らなかったんで、3人で協力して任にあたってくれ”という事で最後は落ち着いたんだとさ」
焔「さて、晩飯までに時間があるが、行くのか?大地の精霊王捜索に」
颯「はい」
焔「じゃあ今日は俺が付き合うよ。元々バイトが休みになった時にはそのつもりだったし」
二人揃って丘の方に向かって歩き出す。
丘の上の公園は、日没後は人気が無くなって術を使うにはうってつけの場所であり、それ故幾度も使ってきた場所だった。
道すがら、歩きながら颯が聞く
颯「ところでどうでしたか、久しぶりの故郷は」
焔「まあまだ数か月だしな。大して変化もねえよ。軍に関しても、うちの連中は元々荒っぽい奴が多いからな。国民全員が戦う気満々な気質だし。ただ…」
颯「ただ?」
焔「そんな気質だから、軍としてはちょっとな。どっちかって言うと龍族に近い気質だ、俺たち火の精霊は。個々の我が強めだから集団戦には向いていないんだが、再襲来の事を考えて苦手ながらも準備はしてきたってところだ。」
颯「…」
焔「まあそんなこんなで軍としての体裁は一応整えてはきたからな。形には成ってた。なんとか集団戦闘は出来そうだったわ」
颯「僕も近日中に一時帰国します」
数刻の後に丘の上に到着し、捜索を行ったが、今回も結果は芳しくなかった。




