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聞くと観測班と解析班の責任者は室外で待機させているとの事だった。
改めて士郎じょう含めて全員の着席を確認した涼が口を開く
涼「さて、まずは今回の“少し手荒な御呼出しの件”に関してお伺いしても良いでしょうか」
精霊女王「私もその件、初耳なのです。詳しく伺いたいですね。初耳なのです」
精霊女王は終始にこやかに仰られた。
精霊大王が顔を強ばらせて話し出した。
精霊大王「だって姫にあいたかった…それもあるけど大事な話があったんだよ。何度手紙を送って“帰って来て”って書いても、返事もくれないし…それで龍族大王に愚痴っ…相談したら、龍王達ならドラゴノイド化できるから地球に行ってかっさらってこようぜってのりになって。」
龍族大王「一応偵察してみたら、夜なら翼があっても目立たないし、大地の精霊王もいるし…、まあ違ったわけだが。」
精霊大王「一応最後の手紙で“竜種族の反乱だー、さらわれたー、助けて―”って送ったのに無反応だし」
龍族大王「それで今回の作戦が決行されたんだわ」
精霊大王「ただ…なぜか炎の龍王が「どうせなら勝負しようぜ。一度戦ってみたかった」なんて言い出すし。」
龍族大王「地の龍王は“戦わないけど賛成”とか訳がわからん事を言い出すし、風の龍王も久々に風の精霊王と遊べるなんて言うし。まあ龍王達が動いてくれて初めて成立する作戦だからな。ある程度は任せようってなったんだ」
涼「なるほど…そうなると“大事な話”と言うのが重要になってきますね」
精霊大王、精霊女王、龍族大王の顔が引き締まる。
精霊大王「観測班責任者、解析班責任者、入室してくれ」
精霊大王が室外にて待機している者に聞こえやすいよう、声を風に乗せて発声する。
大扉が開かれて二人の精霊が現れ、お辞儀をしてから入室した。
涼が姿勢を変えて二人から士郎じょうを見えないようにした。いらぬトラブルを避けたかったからだった。
精霊大王「まずは…今から話す事は観測班の一部と解析班責任者、そして私と女王と龍族大王のみのトップシークレットにしている事だ。話が多くの者に広がるとパニックが起きる可能性があったのでな。」
涼は悪い予測が当たっている事を覚悟した。
精霊大王「観測班、説明を頼む」
観測班責任者「はい。精霊大王様」
緊張した顔の男、観測班責任者が一歩前に出て話しだした。
観測班責任者「“邪なるもの”が精霊界天空の彼方にて発見されました」
焔と颯、4人の龍王、そして姫が驚愕し、椅子から腰を浮かした。
腕を組みながら話を聞いていた涼は体制はそのまま微動だにしなかったが、眉間にしわを寄せながら深く瞳を閉じた。
姫が代表して全員の想いを口にする。
姫「真実なのですか?」
観測班責任者が頷いて言葉を続ける。
観測班責任者「しかも、継続観測の結果、巨大化しつつ此方に進行しています。このままコースと速度を変えなければ恐らく…」
観測班責任者が言った精霊界での暦を人間界の暦に脳内変換する涼。
(涼“人の暦で言うと…あと45日ほどで精霊界に到達するのか”)
焔「やつら…こっちの世界では前回の大襲来依頼全く見かけなかったってのに…。隠れて力を貯めてでもいやがったのか」
観測班責任者「水の精霊王様からご教授頂き、水の精霊たちの協力によって“湾曲した透明な氷”を使っての遠距離観測を大多数動員して行っておりますが、どのようにして勢力規模を巨大化しているのか、現在も不明のままです。申し訳ありません」
観測班責任者が肩を落として述べる。
「それに関してですが…」
解析班責任者が口を開いた。
解析班責任者「大地の精霊王様が残してくれた“観察ノート”を解析していると気になる一文がありました」
解析班責任者が言葉を続ける。
解析班責任者「“邪なるものはゲートのような空間転移を行って勢力を補充しているのではないか…あくまで仮説に過ぎないのですが…”とあります」
何かを思案していたように見えた涼が口を開く。
涼「一つお願いがあります」
涼が観測班責任者に向かって言う。
涼「最初の発見と、現在の状態とを比べてみて、どれくらい前に“邪なるもの”が精霊界に現れたかを予想してもらえますか?難しい作業となるので正確でなくても良いですし、大まかにで結構です。後日、予想を聞かせて下さい」
涼が思考を逡巡させている顔を継続している事に気が付いた焔が声を掛ける。
焔「どうした?」
涼「疑問に思うところがあってな」
涼が言葉を続ける。
涼「我々の視点で言うと、世界にはまず我々精霊が誕生し、龍族が誕生し、地球という星に人間が観測され、そして“邪なるもの”を発見した。もしこの順序で誕生したのだとしたら、邪なるものが発生するのは人間の存在と関連があるかもしれない、と思ったのだ」
颯「今回、精霊界に邪なるものが発生した時期と、人間の歴史を比べてみると、何かの関連が見えてくるかもしれない、という事ですか?」
涼が頷いて肯定した。
涼「もしかすると大地の精霊王もその様に予想し、関連を調べようとしていたのかもしれませんね」




