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炎の龍王「ぐぁっ!」

思わず声を上げてしまう炎の龍王。


(焔“やっぱりこれだけじゃ無理か、龍王相手じゃ…”)

予想はしていたが、声を出しているという事は、まだ決定的な状態ではない。

敵のダメージをそう認識する焔。


そして焔自身の身体はというと、カウンターの際に炎の龍王のパンチがこめかみを掠り、かなり大きな傷を負っていたのだが、アドレナリンによりこめかみの傷には気づいていなかった。

しかし、固い龍王の身体を全力で殴ったことで、右のこぶしが砕けていることには気づいていた。


状況を把握しつつ、焔は思っていた。

“ここが勝負どころだ”と。


勝負どころの為に残しておいた切り札、化身人化リセットによるダメージの解消を行い、そのままの姿、火の精霊王本来の姿で洞窟の壁にもたれている炎の龍王に対して距離をつめて、パンチのコンビネーションラッシュを開始した。


可能な限り早い回転のコンビネーション。

最も拳に威力の載りやすい距離。

レクチャーを受けて反復し、習得してきた技術が無意識に最適解の動きを身体に与える。

そして火の精霊王本来の姿では初めて拳に炎を載せて打つパンチ。

人間の姿で“邪なるもの”相手にかなりの回数を実戦で経験しており、火の精霊王として行う際も特に問題なく実行できた。

コンビネーションで繰り出すパンチすべてに火炎を載せ、精霊王の姿の際に載せる最適の威力の火炎を探りながら拳を撃っていく。

火の精霊王本来の姿となった焔には、基本的に威力の上載せに上限は無いが、精霊力を補充できない状況では、連打を行ったり多数の相手に多数の精霊力を放つ場合には配分が必要だった。


そして…

勝負どころから始めた火炎パンチのラッシュは、炎の龍王に甚大なるダメージを与えるのを引き換えに、焔の精霊力を枯渇に追い込もうとしていた。

身体は無意識に最適なラッシュを行いながら、脳は別の事を思考する。

(焔“久々だな、本来の姿での“疲れる”って感覚は。最後に右ストレートに、残りの精霊力を載せれるだけ載っけて撃ってやる。正直もうすっからかんで、それほど威力も増せないだろうが…それを耐えきられたら、炎の龍王、お前の勝ちだ。精霊力も、この精霊王の姿での肉体疲労も、限界まで…)


コンビネーションラッシュから、流れるように左ジャブと右ストレートのワンツーに繋げる。

左ジャブは威力を度外視して、続く右ストレートの為に最適な距離をアナウンスさせた。

左ジャブが戻るのと連動して膝、腰、肩が回転し、右肘が前進、各回転と肘の推進の威力を右拳に載せて右ストレートが放たれる直前、


「焔、そこまでだ」

涼の声が焔の動きを止めた。

焔の傍らまで歩いてきた涼が言葉を続ける。

涼「もう勝負は着いている」


数秒遅れて洞窟の壁にもたれていた炎の龍王が、ズルズルとずりおちて座り込んだ。

最後の一撃を放つまでもなく、炎の龍王は意識を失っていたのだった。



数刻前、水龍王と風の龍王は涼と颯に敗北宣言をした。


涼「ここが洞窟という事は、外は…」

颯が涼の考えている事を理解して言う

颯「森林が広がっていました」

涼「ではまず外に出ようか」

二人の龍王を先に歩かせて洞窟の外に出る。

大地からそびえたつ直径10mはある巨大な木々で形成された広大な森林が大地の精霊力を充実させており、涼は精霊力を回復させた。


涼が万全になったのを見たうえで水龍王が口を開いた。

水龍王「大体この戦いは貴様ら側の者が言い出した事なのだぞ」

涼「そうだろうな。どう考えても竜種族にメリットがあるとは思えなかった」


そして、本気で精霊族とやりあうのなら、竜種軍を動かさないのに違和感を覚えた。

加えて拠点となる精霊界を制圧してからという考えに至る者がいないというのもおかしな話なのだと思ったのだが、こちらのウイークポイントをわざわざ伝える愚行をすまいとも思い、最初の発言以降は心内に秘め、黙っていた涼だった。


となると…

涼「戯言(ざれごと)、お遊びか」

水龍王が頷きながら言う

水龍王「しかも言い出しっぺはだな…」

水龍王が黒幕の名前を言い、颯は驚いて目を見張り、涼は表情を変えずに聞いていた。

風の龍王「あとさ、遊びだって説明しているのに、本気で戦いたいって言う龍王が一人居たんで、早めに止めに行った方が…」

そう言って風のゲートを展開する風の龍王。

きつそうにゲートを維持する風の龍王を見て、颯が指をクルリと回すと微風が吹くとともにゲートが安定し、かつ巨大化した。


一行が風のゲートをくぐって見た光景は、

壁にもたれてボロボロになっている炎の龍王に、一方的にラッシュパンチを浴びせる火の精霊王の姿だった。



涼「もう勝負は着いている」

焔が涼の声に拳を止めて、そして改めて炎の龍王を見る。

必死で気づかなかったがボロボロになっており、壁にもたれるように座り込んでいた。

よく見てみるとかすかに呼吸をしているようで、死んではいないようだったが


焔「…止めて大丈夫なのか?」

(回復後に暴れだしたら止められないかもしれないぞ)

涼「大丈夫だ。これから黒幕に会いに行こう」


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