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姫はガーネットの壁に向かってこぶしを叩きつけながら叫んでいた。

姫『大地の精霊王ではないんだー!』

向こう側が薄く透けて見えていたガーネットの壁は色濃くなっていき、最終的には向こう側が全く見えなくなってしまった。


姫『おのれ…、こうなったら最強火炎術…は出来なくとも、そこそこ火炎術でこの壁、破壊してくれるわ!』

姫がガーネット壁に向かって手を伸ばす。手に向かって光が収束していく。

姫『ふはははっ!壁もろとも消し飛ぶがいい!』

完全に士郎じょうの事を忘れている姫だった。

まさに術を放とうとしたその瞬間、出入り口からやってきた侵入者が姫に飛びかかった。



炎の龍王「俺としては竜族界と精霊界とが戦うとか、そんな事はどうでも良いんだ」

“戦うことが嬉しくてたまらない”そんな内心が見て取れるような、自信満々の笑顔をした炎の龍王が言葉を続ける。

炎の龍王「火の精霊王に向かって火の精霊力の術は発揮できない、それは解っているさ。ただその加護が無くても、俺は身体能力を使った戦いには自信がある。それを試してみたくなったのさ。精霊界一の攻撃力を誇る火の精霊王に対してな」

焔「この状況下だと、俺は本来の力を発揮できないんだがな」

洞窟の中を見回しながら、焔が正直に言う。

炎の龍王「話の流れでこうなっちまった。まあこっちも得意の火炎攻撃が無い状態なんだ。」

焔「…どうしてもやるんだな」

炎の龍王「お前、変わったな。昔はお前も“やりたがり”の、こっち側の種族だったぜ」

自信満々の笑顔を保ったままの炎の龍王が、普通に歩いて焔に向かってきた。


焔が基本姿勢のファイティングポーズを取り、踵を浮かせてフットワークのリズムを取る。

炎の龍王が歩みを一度止め、眉間にしわを寄せて言う

炎の龍王「…本来の姿に戻らないのか?」

“精霊力の補充はできずとも、イチかバチか元の姿に戻って最大火力をぶつけて来る”そうして来ることを予想し、そうしてこなくては張り合いが無いと思っていた炎の龍王が、静かな怒気を表情で表しながら疑問を呈した。

焔「ちょっと試したいことがあってな」

炎の龍王「なめやがって!!」

炎の龍王が明らかな怒気と共に、焔に向かって突進し距離を詰めた。



涼が居合の構えから、水龍王が突進してくるタイミングに合わせて、氷の刀を振るう。

本来なら“刀が届く範囲になったら切る”術なのだが、今は応用として刀がギリギリ届かないところで刀を振るっていた。

その度に水龍王は突進を止められ、後ずさりをして距離を縮められない。


そんな事を数度繰り返した後、意を決して刀を受ける覚悟で突っ込む水龍王。

水龍王の強靭な肉体に接触したことにより、氷の刀は砕け散る。

安堵の所為か、氷の破片が舞い散る中で水龍王は動きを止め、涼は少し後ろに下がって先ほどと同様の距離を保つ。

水龍王「…は、ははっ、こんなもんか。どうやら警戒しすぎていたようだな」

涼「ほう、流石の強靭さだな。だが次の刀の強度には耐えられるかな?」

いかにも刀の強度が上がったかのような言い回しだが、実質は同じ強度の刀を顕現化する。


(涼“氷の刀ではどうあっても、あの強靭な肉体にはロクなダメージを与えられないだろう。”)

それは涼にもわかっていた。

水の精霊術で可能性があるとしたら、強大な質量の氷の槍を生成し、力押しする事ぐらいか。

もしくは可能な限り薄く鋭くした氷の刃でもって切りつけるか。

後者はドラゴンの薄皮ぐらいは切れるだろうが、致命傷にはそう簡単に至れないだろうし、前者は大量の精霊力を使えない今は実施できない。


彼なら、大地の精霊王ならトパーズやガーネット、ダイヤモンドでも刀を生成できるのだろうが…

大地の精霊王はその前に、敵との間に強靭な壁を生成して言うだろうな

“まずは話し合いましょう”と


そんな事を考えると、自然と口角があがってしまう涼だった。

水龍王は口角の上がった涼が不敵な笑みをしているように見え、居合の構えに対してやはり突っ込めずにいたのだった。



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