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山頂に到着し、そこで士郎じょう、前田羽美、前田さんの友人と解散した。

3人から一緒に滑りましょうとの提案もあったのだが

涼「姫がペースを気にされるかもしれませんので…」

という涼の意見を取り入れて解散となった。

地元民の前田さんの友人と当地出身の前田羽美はスノーボードの経験が豊富と見受けられ、見事な滑りでゲレンデを滑り降りていく。

士郎じょうも祖母宅に冬季に来た際に何度か経験しているのだろう。

卒なくスノーボードをコントロールし、滑り降りていった。


山頂に残った姫と涼はしばらく景色に見とれていた。

少し強風気味ではあるが快晴の山頂からの景色は“これぞ絶景”という景色だった。

息をのみ、しばらく声を出せない姫。

絞り出すように

姫『山頂からはさらにすばらしい景色だな…』

涼「ええ」

夢見心地の如く見とれる二人を現実に戻す声が耳元に聞こえてきた。

水分子糸電話によるしずくからの連絡だった。

周囲に目くばせを行って人の位置を確認し、少し離れた人気の少ない場所に移動しつつ水分子を固定する涼。

姫も器用にスノーボードで滑りながら付いてきた。

姫にも聞こえるように受信口を2つ用意し、それぞれの耳に当てるようにする。


しずく「すみませんお兄様。思いのほか大気中の水分が…」

電波状態の悪い携帯電話のように、会話の中に雑音が入ってしまう。

涼「すまないしずく、冬季は大気が乾燥状態になる事を失念していた」

しずく「通話状態が悪いようですので必要なところをお伝えします。火の王は宿に戻られていないようです。宿の方、何人かに聞き込みをしてみたのですが、それらしき人物は戻られておらず、玄関で作業していた方は、朝に私たちがゲレンデに向かった後に火の王も遅れてゲレンデに向かったのを見ていたと…」

(宿の従業員「お顔色が優れなかったのでお声がけをしたのですが…」)


涼「わかった。こちらより先に焔が帰宿する可能性もある。その可能性を考慮し、しずくは宿での待機を頼む」

しずく「わかりました。」


しずくとの回線を切り、姫の方を向く。


姫『万が一は無いと思うが…。それでも、この広さの中で一人の人物を探し当てるなど至難中の至難ではないか…』

少し離れたところにあるスキー場の全体マップ立て看板を見ながら言う姫だった。

姫の視線の先にある看板マップに涼が滑って近づき、姫もそれに続いて涼の隣まで滑っていき並んで看板マップを見上げる。

数秒の後に涼が看板の中央付近を指さしながら口を開いた

涼「この“中腹リフト乗り場”を目指しましょう。このリフトから再度山頂に上り、山頂から火の精霊力を探ってみては頂けないでしょうか?」


水の精霊王である涼は火の精霊力を感知することが苦手である、というか経験がない。他の風や大地の精霊力は感知できるので、おそらく出来るのではあろうが、いままでその必要性がまったく無かったので発想すら無かったし、少し前の涼、水の精霊王であれば、そのような行為を嫌悪すらしていたであろう。

なので火の精霊力感知は姫に依頼する事とした。

姫『うむ、任された』


しかし、この案には一つ問題があった。

この看板マップから“中腹リフト乗り場”を目指すにはコースが2つある。

上級者コースと初心者コースである。

上級者コースのルートを、上級者がそこそこのスピードで滑れば、おそらく5分程度で“中腹リフト乗り場”に到着できるだろう。

片や初級者コースは大回りにまわっていくコースとなっている。そのかわりなだらかなコースになっており、急斜面は全くない。が…

現在14時30分…。リフトの営業終了時間は15時30分。

(涼“あとは姫のスピード次第、先ほどの滑りはとても本日始めたばかりとは思えぬ滑りだったが、そうは言っても…)


姫『こっちだな!では行くぞ!!』

上級者コースに向かって、勢いよく滑りだす姫。

涼「そちらは!」

慌てて後を追う涼。


やがて見えてくるコースに対して姫が歓喜を含んだ声で叫んだ

姫『まるでガケではないか!わっはっはっ!!』

勢いそのまま突っ込んだ。


姫『転ぶときは腕を着けない!』

姫『前に転ぶときはおなかで着地!』

姫『後ろに転ぶときはお尻から続いて背中で着地!』

姫『頭を打たないように顎を引くのだ!』


午前中のレッスンで学んだであろう“安全なころび方”を叫んで実践…というより、宣言して転びにいってるようにも見える。

姫『わっはっはっ!!』


涼が微笑みながらつぶやく。

涼「こと、遊びを楽しむ事に関しては、姫は私よりかなり上手であられる」


涼がしゃがんで雪面に手をつきながら、姫があぶない転び方をしそうになった瞬間のみ、雪質と形状を変化させる。

しずくが昼食時に“ズル”と表現した術の変化版である。

しずくの場合は自身の足裏からボードのソール(雪面接触部分)付近の雪質と形状のコントロールを行ったのだが、今、涼が行っているのは自身から離れた姫に対してである。

(涼“必要最低限に…せっかく楽しんでおられるのだ”)


やがて姫は無事に滑り?降り、涼の方に振り返って“どうだ”と言わんばかりにふんぞり返った。

涼は立ち上がって素直に拍手を行い、姫の元まで滑り降りていった。


14時50分、二人は“中腹リフト乗り場”に到着した。

そのままリフトに乗って二人は山頂を目指す。



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