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12月中旬某日、風の精霊王たっての願いにより“風のゲート術”の実験が行われた。

行われた実験は2つ。

1、風のゲートを通じて音声のみのやりとりは出来るか?

2、風のゲートを通じて手紙のやりとりは出来るか?

以前、風のゲートを通じて姫自身が人間界に来られたので、いずれも問題ないとは思われたのだが、改めて確認しておきたいとの意向だった。

さらには姫が『精霊界にてテレビが見られるかも確認しよう。そもそも手紙でなくて携帯端末で電子メールのやりとりを実験すれば良いのではないか?』との意見が出されたのだが、まずは上記2点の実験をやってみてから再検討しようとなった。


結論としてはどちらも出来はしたのだが、

姫『風量のコントロールが充分でないと、音声を聞き取りづらい事があるな』

涼「人間の耳の構造では、あまりの強風の下では音声である空気の振動を拾いづらいですね」

焔「だけど場合によっては強風でカムフラージュしないと、弱い風でのゲート開きっぱなしを人間に見られたら色々まずいんじゃねえか?」

涼「うむ、手紙を書き終えていれば、手紙の受け渡しの方が短時間で行えそうだな。小さなゲートを開き手紙を入れてゲートを閉じる。慣れればこれだけで済むだろう」

焔「やってみねえと解らない事もあるもんだな」

姫『それかいっその事、人間界に来てしまって、一度ゲートを閉じてしまうかだな。用件が済んだらまたゲートを開いて帰ってしまえば良いのだ』


風の王「それなのですが…私も人間界での捜索に加わってはいけないでしょうか?」

普段あどけない少年のような顔をしている風の精霊王が、思いつめたような表情をして懇願した。


姫が少し困った表情になり、涼を見た。

涼「難しい問題です。一番の懸念は精霊界に王が全くの不在となり、その影響がどれだけ、どのように出るか判らないという事です。 もちろん私が居なくなった水の精霊界が、人間界の時間でいう数十年程度ではバランスを崩す事なく存続しているので、数年程度では精霊世界自体の存続には問題ないと思われますが…」

風の王「水も火も、これらの精霊世界は王が不在となっても大きくバランスを崩す事無く存続できています」

涼「不測の事態、“邪なるもの”などによる精霊界襲撃があった場合の対処を考えると、対処できる力のあるものが精霊界側に多いに越した事はない。再襲来に対しての観測班は発足されているとは聞いているが」

焔「俺がこっちに来る前には仕事始めていたぜ。解析班と連携もしていた」

風の王「解析班の見立てですと…正直不確定なところも多いのですが、ここ最近は発生がゼロなのを考えると、急に大規模襲来は無いのではとの考えです」


涼が姫の方を向いて言う。

涼「メリットとしては、手数が多ければそれだけ接触機会が増えるというのがあります。現状の4人という人数が決して多い数では無いというのが正直なところです」


姫『うーん』

しばし考慮した後、姫が口を開いた。

姫『冬休みの間なら良いんじゃないか?』

(涼&焔“えっ!!”)

(風の王“冬休み?たしか人間の学生が冬季にとる長期休業…”)

真面目な性格である風の王、予習は完璧だったが、それが自身の人間界行きとリンクする意味が良くわからなかった。


姫『ただし、もろもろ影響力を考えてトップシークレットじゃな。あと父上と母上と一部側近の者たちに手紙による連絡方法を伝授させるのだ。緊急時の連絡手段としてな!』


風の王「ありがとうございます!!」

風の王が跪き、姫への感謝を表した。


数日後、風の精霊王からの手紙が姫の下に届く。

“手紙を風のゲートによって江蓮邸の庭に送る方法を、大王と女王そして一部側近への伝授が〇日後には完了します”といった内容が手紙には書かれていた。

姫『〇日後というと…12月27日か』

姫も手紙にて12月27日に待っている旨の返事を書き、送った。


送った直後に風のゲートが目の前で開き、風の王が発言した

風の王「無事に届きました。姫」

姫『うむ。この方法だとちゃんと届いたか不安になるのう』



数時間後…

姫『何かを忘れている気がする…』

涼「如何なさいましたか?」

姫『うーむ、思い出せん…』


数分後にアニメが始まり、姫は何かを忘れていることを忘れてしまった。


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