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カーディーラー担当者「ありがとうございます。」

後日、ディーラー店舗にてミニバン購入の旨を伝えた際のディーラー担当者の第一声だった。

その場で細かい部分の打ち合わせを行い、購入手続きを進める。

カーディーラー担当者「納車予定日は若干の期間をお願いします」

その辺は試乗時に各車種の納車までかかる日にちを聞かされており、期間に関しては特に問題は無かった。


期間を経て、江蓮邸に高級ミニバンが納車された。

姫『良いぞ。野ざま菜がまた一歩近づいた』

納車されたクルマを見て満足げに言う姫だった。



12月初旬の日曜日、例によって江蓮邸にて午前トレーニングが行われ、午後には昼食会が開催された。

士郎知恵「羽美ちゃんは冬休みどうするの?」

前田羽美「実家に帰省しようと思います」

士郎知恵「(うち)はどうしようかな。お父さんは相変わらず単身赴任先で忙しいみたいなの。だから今年も帰ってこれそうにないみたい」

士郎知恵が息子の士郎じょうに向かって言う。

士郎じょう「お父さん。身体大丈夫かな」

心から出た言葉だった。

士郎じょう的にはお父さんに会いたくないわけではないが、仕事が忙しい父親をもっと忙しくしてしまうぐらいなら、無理に会わなくても良いと思う、というのが正直な気持ちだった。

一度忙しい中に単身赴任先へ母と尋ねて行った時がまさにそんな状況で、ひっきりなしに電話で中座しながら、母と自分にあやまりながら、汗だくになりながらも笑顔を自分たちに向ける父に、逆に居たたまれなくなってしまった経験をしたのだった。

その時に正直に母に気持ちを話し、父にも直接伝えた。

「お父さんが一生懸命働いてくれてお給料をもらってくれているから自分たちが生活できているのは理解しています。お父さんありがとう。その忙しいお父さんをもっと忙しくさせてしまうのは僕はイヤなので、お仕事落ち着くまでお電話で大丈夫だから」

士郎じょうが小学生の頃に、父に伝えた言葉だった。


士郎知恵がまだ少し先の年末年始の話題を出したのは、“皆のスケジュールを確認・調整しましょう”という意図があったからだ。

士郎知恵「ですので家は特に予定は無いですけど、お正月三が日とクリスマスくらいはお稽古はお休みにしようかなと思っています。この際なので、クリスマスイブからお正月明けの日曜日まではお休みの予定で良いかしら?」

涼「了解しました」

士郎知恵「羽美ちゃんも予定が立てられるようになったら、早めに決めてくれるとみんな有り難いと思うわよ。“仮りの予定”でも良いと思うし、問題なければその予定のままで行けば良いと思うんで」

前田羽美「わかりました。じゃあ知恵さんと同じでクリスマスイブからお正月明けの日曜日まではお休みの予定で良いでしょうか?学校の講義と試験日程が出たらまた相談させて下さい」



一夜明け、12月初旬の月曜日、高等部教室にて焔がクラスメートと休憩時間に雑談をしていた。

桜 春香「ほ、焔君は…クリスマスは予定とかあるのかな?」

焔「ああ、あるぜ」

桜 春香が少し沈んだ顔をした。

焔「バイトのシフトに入る事になった。24日と25日両方ともな。店長に“シフト多めに入ってくれるとありがたい”って頼まれたんで、家人に相談したら“家の方は大丈夫だ”って言うんだ。だからがっつりシフトに入る事にしたよ。普段フルタイムで入っている人も“この日だけは休ませて下さい”って人が多いんで大変みたいだな」

桜 春香「あ…」

桜 春香の表情が沈んだ表情から若干引きつった笑顔に変わった。

次の焔の言葉を桜 春香も予想したからだった。

焔「本店の方でもシフト入ってくれって言われるんじゃないか?」


因みに焔は26日もシフトに入る予定となっている。

店長は「24日と25日は激務になるかもしれないから26日は休んでくれても良いんだよ?」と言ってくれたが、


姫『“12月26日はケーキが大安売りになる”との怪情報が入ったのだ。真偽の確認が必要不可欠である』

姫からの依頼だった。


実際にバイトの先輩に聞くと、一昔前にコンビニの大量廃棄が問題視され、今は予約注文が主であり急遽購入を希望されるお客様はあまり居られないとの事だった。それでも1つか2つは急に所望されて購入希望されるお客様に対応するために在庫を置くのだが、焔のバイトしている店舗では、もし売れ残っていたら店長が賞味期限少し前に買い上げて、その時間のバイトに振る舞うのが慣例行事化しているとの事だった。

その事を焔が姫に伝えると

姫『わらわも12月26日はコンビニでアルバイトするのだ!』

涼「中等部はアルバイト禁止です」


以前、交わした言葉をもう一度繰り返す姫と涼だった。


数日後、焔のアルバイトするコンビニにて。

店長「焔君本当にありがとう。本当に本当にありがとう」

焔「いえ、そんなたいそうな事じゃないと思うんですけど…」

少し小声になって店長が言葉を続ける

店長「ここだけの話、一部の女子アルバイトの子たちも張り出した仮シフトを見て24日と25日にシフトに入るのを立候補してくれたんだ。」

焔「はあ…(あんまり俺がシフト入る事と関係が無いと思うんだが…)」

店長「ここ数年にないよ、こんな充分な人員状態でクリスマスシフトを組めるのは。本当にありがとう」

焔「よくわかんないっすけど、喜んでもらえたんなら良かったッス」


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