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士郎じょう「え?…ええ!?」

姫『うむ、プロレスの稽古だ』


涼はボクシングの練習が気になり、そちらに意識が向いている。

姫は士郎じょうに向かい続けて話しかけた。


姫『まあ聞くがよい。〇月〇日に滋賀県立体育館にて悪いレスラーに正義の鉄槌を下さねばならなくなったのだ。その日までに、先日テレビを見て疑問に思った技を検証しておかねばならぬ』

聞いてみても今一自分がプロレスの練習相手になる意味がわからない士郎じょうだったが

姫『ではいくぞ!』

正座状態の士郎じょうに向かって、有無を言わさず姫が掛かって来た。

困惑しながらも膝立ちになり、竹刀を持たずとも無意識に中段の構えをしようとして手が動いてしまう士郎じょう。


姫が士郎じょうの正面に立ち、両腕を伸ばして手で士郎じょうの首をつかみ、そのまま両手で首を絞めた。

どう見てもただの絞殺現場だった。


涼が慌ててやってきて姫に技の解除を促し解除させる。

姫『やったぞ!これぞ理想のチョークスリーパーだ!プリンセス式スーパーチョークスリーパーと名付けよう!』

涼が咳き込む士郎じょうの背中をさすりながら言った

涼「その技は対戦相手が“まいった”を言えません。封印をお願いします」



姫が新必殺技を完成させている横で、焔と前田羽美によるトレーニングは本日の終盤を迎えていた。

前田羽美「じゃあ今日の仕上げで“そのうち出来なくなる練習”しておくね。」

そういって手早くバンテージを巻き、左手にだけグローブを着けて前田羽美が言った

前田羽美「パンチを打つので避けないでもらってね」

焔「え?」

そう言って出した左のパンチが“パン”と音を鳴らして額に当たり、拳は元の基本姿勢のポジション位置に瞬時に戻った。

前田羽美「…君は天才か?」

焔「いや、しっかりもらっているし、むしろ避けれるようなスピードのパンチじゃ無かったんで…」


前田羽美「今のパンチをもらう練習は2つ意味があってね、1つ目はこのジャブってパンチは“威力よりもスピード重視して、とにかく当てる為のパンチ”、なの。だから当てられないためのディフェンス練習をしてはいるけど、当てるためにスピード練習されたジャブ相手なので、“全部は避けれない。でもジャブ相手なら少しはもらっても大丈夫”っていうのを覚えてもらう為に、一発もらってもらったの」

(焔“そうは言ってもまあまあ痛かったぜ。けどまあ、“致命傷”では無いか…”)

おでこを触りながら思う焔だった。

前田羽美「今ので私のスピード重視のジャブでも8割くらいのスピード」

(焔“まだスピード上げれるのか!”)

前田羽美「注意点はたまにスピードよりも威力を重視したジャブを打つ人がいる事。それでもジャブはジャブの威力だけどね。でもランカー上位の凄いボクサーの人の中には“速くて重いジャブ”って反則みたいなジャブを打つ人もたまにいるので油断は禁物ね」


前田羽美「次に2つ目だけど、避けるためにはパンチを見ないといけないんだけど、顔に向かって来るパンチは本能で目を閉じちゃうのよ。そのはずなんだけど、さっきの君は全く目を閉じなかった。本当に格闘技経験無いの?そうじゃなかったら本当に天才よ」

焔「け、経験は無いっすよ」

(焔“昔、“邪なるもの”と死に物狂いでやりあった時は、一応やつらの攻撃を見てはいたからな。まあ大体は勝手に燃えちまうんで避ける必要は無かったんだが”)



涼「時間ですね。ありがとうございます」

時計を見ると、いつの間にか2時間が経過していた。

焔「ありがとうございました」

自然とお礼の言葉が出て来た焔だった。

前田羽美がにっこりと笑ってお辞儀を返した。


道場の隅では士郎じょうが涼に介抱されており、その横では姫が奇妙なシャドー(両手で相手の首を絞める為のシャドー)を行っていた。


(焔“あっちは何があったんだ?”)

自身のトレーニングに夢中で、姫の新必殺技を見ていなかった焔が、そんな姫を不思議そうに見ていた。



前田羽美「すごいお風呂ですね」

前回同様、士郎家でシャワーを浴びに戻ろうとした時に「良ければ家のお風呂を使いますか」と勧められ、少し迷ったが“こんな豪邸のお風呂に入るチャンスはそうそう無い”と思い甘える事にした前田羽美だった。

前田羽美「おばあちゃんちは温泉街で、小さな温泉がいくつかあって入れるんだけど、小さな温泉と変わらない広さですね」

姫『テレビで見た事あるのですが、みんな気持ちよさそうに温泉に入っていました。気持ちいいもんなんですか?』

前田羽美「うーん、おばあちゃんとこの野ざま温泉は、大半は熱くて入れなかったなあ。」

涼「もしかして野ざま温泉の野ざまは、野ざま菜の野ざまなのですか?」

前田羽美「はい。温泉のお湯で作ったんだっけかな。野ざま村が発祥だから村の名前がついて野ざま菜って名前のはずですよ」

しずく「一度、見学に行ってみたいですね」

姫『うむ、今日行こう』

涼「たしか長野県北部ですよね。少し遠いので…」



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