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3月中旬、終業式、春休みまであと少しと迫っていた。


涼、焔、颯、そして姫は精霊界に訪れている。

ここ数日は学校が終わると即帰宅してから精霊界にやってきて、数時間ほど4人での訓練を行った後に地球に戻るという日々が続いていた。


まず姫が分身術を行い、姫が4人になる。

それぞれ髪に赤、青、白、ブラウンのメッシュが入っており、赤、青、白、ブラウンの瞳を持った4人の姫になった。


次に経験のある颯がレクチャーを行う。

颯「身体を後ろから持って飛ぶわけですが…」

颯が焔の後ろに回り、焔のわきの下から手を前に回して焔を抱え込む。

颯「持ち方はともかく、身体の筋力で持とうとするとかなり大変です。ですのでこの術を推奨します」

颯が一旦手を戻して焔から離れる。

次にあらためて焔に近づき、焔の背中を手でに触りながら術式を唱えた。

颯の手から風が焔の身体をめぐるように走り出す。

風のロープが焔の身体に巻き付くように走り、その風が颯の手の方に焔の身体を押さえつける力を発生させた。

颯「あとはこの状態で風乗りの術を行うと…」

颯が空中に浮かび、焔の身体も引っ張られて空中に浮かんだ。

颯「筋力で抱えて持ち上げるのは限界がきますが、この方法だと身体は疲労せずパートナーを持ちあげて飛行できます。この術だと精霊力も思いのほか消費が少ないですし」

ゆっくり数メートル上昇し、ゆっくり右に、次に左に空中移動する颯+焔。

颯「あとはパートナーの行きたい方向を示した微量の風が筋肉から起こります。それを感じられればパートナーの意思通りに飛行可能ですが…、まずは風のロープをパートナーの身体に張り巡らせて、持ち上げて浮かぶ練習をしましょう」

そう言いながら、颯+焔はゆっくり着地した。


涼の後ろに姫青が回り込み、焔の後ろに姫赤が回り込んで訓練が開始される。

術式により風のロープによるタスキがけが展開され、風乗りの術により空中に浮き上がる2組。

颯「お見事です」

姫赤+姫青『術式さえ聞いていれば、意外と簡単じゃな』

姫白と姫茶も風乗りの術で飛んでくる。

颯「ではパートナーの意思通りに飛ぶ練習を行いましょう。最初のうちは、パートナーは“右へ”、“左へ”と宣言して意思表示し、姫はそれに合わせて飛ぶようにしましょう。」


数日間、そのような訓練を繰り返し、数日後には2組のユニットは空中で意思疎通して飛行が可能になった。


姫『最初は難しいと思ったが、会得してしまうと意外と出来てしまうものだな』



姫赤と姫青が飛行の訓練を行っている頃、姫白は颯と同調して颯の精霊力にブーストする練習を行っていた。

姫の分身は姫ではあるので、他のエレメントの術も一応出来るのだが、姫であり分身でもあるので、その効果は本家のエレメントより著しく劣ってしまう。

姫白『やろうと思えば同調状態で火炎や水の術、大地術も行えるのだが、効率が悪すぎるな』

颯「労力に対して恩恵が少ない感じですね」

姫が頷いて颯の言を肯定する。

故に颯と同調する姫白は、他の術を行うことよりも颯のブーストに全振りする事となった。



そんな訓練を行っている中のある日、特別講師が姫茶のもとに招かれた。

地の龍王「だから!ガーネットはトパーズの延長上にある術なんだよ!まだトパーズどころか水晶もろくに出来ていないじゃねえか!」

姫茶『ぐぬぅ』


姫茶が一心不乱に術を行っている横で指導にあたる地の龍王。

地の龍王の横に涼がやって来て様子を伺う。


涼「どうですか?」

地の龍王「正直に言うと、壁による防御はあきらめた方がいい」

涼も同様に思っており、頷いてその意見に同意した。

姫茶は引き続き術の実施に集中しており、二人が話している事には気づいていなかった。

やがて姫の術によって生成された鉱物が、徐々に水晶からトパーズに変わる。

数十秒の時間が経過した後、完全なトパーズが完成した。


姫茶『ど、どうだ!』

肩で息をしている。


地の龍王「…。じゃあトパーズの剣で打ち込むから壁で防いでみろ」

そういって一瞬で右手にトパーズの剣を顕現させ、数メートル離れていた距離を走って姫に詰め寄った。

驚きながらも鉱石の壁を生成しようと試みる姫だったが、水晶の壁が生成した時点で地の龍王のトパーズ剣が撃ち込まれ、姫の水晶の壁は粉々に砕け散ってしまった。


地の龍王「そのスピードじゃ、実戦で使えないんだ。」

唖然とする姫。

地の龍王「それだけじゃない。もっと難しいのは“壁で防げるか防げないか、壁で防げないなら避けて躱すか”その見極めを相手の攻撃を見た瞬間に行わないといけない。これがすっげー難しいんだ」


地の龍王がガーネットの壁を作り出す。

そして一歩下がって右手にガーネットの剣を作り出し、その剣でガーネットの壁を軽く叩いた。

地の龍王「どれぐらいの強度の攻撃なら、自分が作れる最高硬度の壁は耐えられるのか?」

ガーネットの剣でガーネットの壁を強く叩く。

地の龍王「生成する、生成できる壁の厚さ、相手の攻撃力の見極め、それをずっと考えて、術の練習を行ってきた。ずっとだ。」


地の龍王が姫と涼を交互に見ながら言う。

地の龍王「こればっかりは時間と経験が必要だ。練習を続ければ、そう遠くないうちにトパーズくらいなら瞬間生成できるようにはなるだろうが、さっき言った“見極め”はそうそう身に付かねえよ。そんなバクチみたいな戦い方は薦められねえ。それなら今できている大地の息吹術を担当して、回復役に徹してくれていた方が助かるだろう」


至極(まっと)うな地の龍王の意見に、今回はぐうの音も出ない姫だった。


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