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Vanpair Hunter  作者: じょん
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第一章 第一話 Stake Knocker

 西暦2030年。吸血鬼が各地で目撃された。人々が中世のころのおとぎ話と思っていた存在は、実在していたのだ。しかも彼らは以前にもまして人々を襲っていた。吸血鬼に襲われたものは吸血鬼になるかグールになるか、そして死ぬかのどれかだった。彼らは既存の兵士や警察では対処することができなかった。

 事態を重く見た国連は彼らを撃退する組織を作った。Stake knockerである(通称SK)。彼らには先代の知識に加えて、それを応用する技術力、量産する資金、そして大勢の兵士を持つ組織となった。世界はこの組織を金銭面、技術面で支援し、毎年何百人もの入団志願者が世界中から集まった。

 組織ができて247年後、その本部の地下にある射撃練習場で、一人の隊員が射撃練習をしていた。

 ハンドガンを両手で構え、じっと標的を定め、引き金を引く。射撃の反動を手首で吸収し、一定のリズムで引き金を引き続ける。弾が切れると弾倉を変え、また射撃を続ける。いくつめかの弾倉を変えるとき、一人の男が隊員のほうにやって来た。

「ずいぶん練習熱心だな。流石は今年の入団テストをトップで合格しただけはあるな。」男は隊員の使った弾倉を見ていった。

「私の武器ですから。」隊員は男のほうへ顔を向けずに憮然としており、射撃の手を止めなかった。弾が尽きると、また弾倉を変えようとしたが、用意していたものは切れていた。

「もういいだろ。何発撃つ気なんだい、君は。」男は使い終わった弾倉を指した。全部で30個ほどの弾倉が山をなしていた。

「技術を維持するためには必要なんです。」隊員はわきにあるボタンを押すと、的がやってきてた。隊員はそれを取ると新しいのをまた取り付け、もう一度ボタンを押した。男は隊員がとった的を取り上げ、ひゅうっと口笛を吹いた。

「ほとんど眉間に当たってるな。こりゃお前に狙われた吸血鬼はかわいそうだ。」

「吸血鬼に憐れみは必要ありませんし、慈悲を与えるほど簡単に倒せる相手ではありません。」隊員はきっと男を見据えた。

「おお、怖い怖い。男顔負けのすごみだな。」

隊員、いや彼女はため息をついた。

「男性と比べられるのは嫌いです。それより、私に何か用があるのではないですか。」

「いやぁ、今年入った隊員でかわいい子がいると聞いてね。」男は言うと、急に姿勢を正し、真顔になった。

「第七戦闘部隊所属、アレックスだ。よろしく頼む。」彼女はアレックスの態度の急変に内心少し驚いていたが、銃を置いて初めて向き直って気をつけをした。

「第七戦闘部隊所属、サラです。」アレックスはサラの応対に満足すると、態度を崩した。

「うん。流石にちゃんとした態度をとることはできるようだな。すまなかった、新しく入る隊員がどういうやつか知りたくて、わざとああいう態度をとった。」と言って、頭を下げた。サラは困惑した。

「いえ、私こそ、先ほどの失礼な言動をお詫びします。入隊してからというもの、見世物のように私を見にくるものが大勢いたもので、いい加減いやになっていたのです。」

「そうか。まぁ、仕方ないさ。ここは女っ気にかけるからな。そこにたった一人の女性隊員、しかも美人と来たら、男どもは黙ってないさ。」アレックスはクックと笑った。

「そんなに珍しいのでしょうか。」サラが尋ねた。

「ああ。なんでも、協会設立から二人目らしいぞ。一人目は設立当時からいたらしいが、なんせ百年以上も前の話だからな。」

 突然、アラームが鳴り響いた。アレックスの頭上にあるスピーカーからアナウンスが流れる。

「出動要請、出動要請。第七戦闘部隊は至急、移動用トラック三番に乗車せよ。繰り返す、第七戦・・・・・・」

「出動要請だ、付いてこい」アレックスは踵を返すと、トラックのある駐車場への扉に向かった。サラはアレックスの後を追った。

 トラックには既にほかの隊員たちが搭乗していた。第七戦闘部隊の隊長バリウスが車内を見渡した。

「よし、全員揃ったな。出してくれ。」トラックが発進した。

「緊急の要請なため、ブリーフィングはここで行う。各自、装備の点検をしながらで構わない、よく聞いてくれ。」バリウスは一つ空咳をした。

「要請が来たのは十分前、町の機械工場からだ。吸血鬼が正面口から侵入し、従業員を襲っているということだ。かなりあわてていたようで、電話が途中で切れたそうだ。従業員すべてが死亡、又はグール化している可能性がある。

「今日が初めての任務だな、サラ、ジョン。」バリウスはサラと、ジョンと呼ばれた隊員を見ていった。サラはこくんとうなずいたが、ジョンは装備の点検に気を取られていた。

「ジョン!お前のことだぞ。」隣の隊員が囁いた。

「え、あ、はい!」ジョンがあわてて答えた。バリウスは落ち着いた声で言った。

「ジョン。そんなにあわてるな。到着まであと十五分ほどだ、ゆっくりやればいい。」バリウスは先ほどジョンに囁いた隣の隊員に点検を手伝わせた。ジョンは点検をしていくうちに、だんだんと落ち着きを取り戻していた。

 やがてトラックが止まり、ドアが開いた。

「作戦は先ほど伝えたととおりだ。中に入ったら、各自散開して生きている者がいないか探せ。よし、出動だ!」バリウスの号令一下、全員がトラックから飛び出した。サラはいつもより強く銃を握り締めていた。


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