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【すき焼きの匂いと、細い腕の温もり】

【すき焼きの匂いと、細い腕の温もり】


 一月三日、夕暮れ時。


 正月三が日の喧騒が少しだけ落ち着きを見せ始めた街を、冷たい冬の風が吹き抜けていく。

 氷川神社での奉仕を終えた恋問持子こいといもちこは、一緒に付き添ってくれている風間楓かざまかえでと並んで、夕日に染まる住宅街の道を歩いていた。


「はぁ……寒っ」


 持子はマフラーに顔を埋め、白い息を吐き出した。


 これまでの出来事は、記憶を失ったばかりの持子にとってあまりにも目まぐるしいものだった。

 自分が『魔王・董卓』という規格外の化け物を宿していたこと。その影響で過去二年間の記憶がすっぽりと抜け落ちてしまっていること。

 そして何より――今の自分が、裏社会や敵対勢力から命を狙われる、極めて危険な立場に置かれているということ。


(魔王だった時の私は、誰も手出しできないくらい強かったらしいけど……今の私は、ただの女子高生だもんね……)


 記憶喪失という空虚感と、見えない敵への恐怖が、冷たい冬の風のように持子の胸の奥をスースーと通り抜けていく。

 持子は気づいていないが、今の彼女は厳重な警護下にある。持子の足元に伸びる影の中には、立花雪や土御門朔夜が放った高度な式神が潜み、周囲の霊的・物理的な脅威に常に目を光らせているのだ。


「持子お姉さん、寒くないですか? ペース、少し上げましょうか」


 隣を歩く楓が、底抜けに明るい声で気遣ってくれる。

 巫女装束から私服のダウンコートに着替えた楓は、どこからどう見ても可愛らしい友達の付き添いにしか見えない。持子自身も、「楓ちゃんが一緒に帰ってくれて心強いな」程度にしか思っていない。


 しかし、その実態は組織【TIA】の特級エージェント。この場における最高戦力であり、いざとなれば周囲を一瞬で焦土と化す力を持つ最強の護衛だった。

 楓の瞳は、楽しげに笑いながらも、周囲の死角や通行人の動きを完璧にスキャンし続けている。


「ううん、大丈夫。楓ちゃんこそ、私のお世話ばっかりでごめんね。お正月なのに」


「ふふっ、私は全然平気ですよ! 神社で美味しいお弁当も食べられましたし!」


 楓は無邪気に笑うと、ポケットからスマートフォンを取り出し、画面の時計をチラリと確認した。時刻は十八時を少し回ったところだ。


「でも、あんまりのんびり寄り道はできませんね。雪さんから、『今日は二十一時には必ずペントハウスへ帰宅させるように』って、すーっごくキツく言われてるんです。もし一分でも遅れたら、私まで雪さんに雷落とされちゃいますから」


 楓は肩をすくめておどけてみせる。

 魔力を失った今の持子が夜の闇を出歩くのは、リスクが高すぎる。敵の襲撃から確実に持子を守り抜くため、雪が設定した絶対の防衛ライン、それが『二十一時の門限』だった。


「うん。雪さんに心配はかけられないもんね。二十一時には絶対帰ろう」


 持子は素直に頷き、冷える手をコートのポケットに突っ込んで歩調を速めた。


 二人が大通りから少し外れ、生活感の漂う古い住宅街の路地へ差し掛かった時のことだった。


 換気扇の回る音と共に、あちこちの家からふわりと夕食の匂いが漂ってきた。

 カレーのスパイスの匂い、焼き魚の匂い、そして、出汁と醤油の甘辛い匂い。


 それぞれの家の中で、家族が食卓を囲み、今日一日の出来事を笑い合いながらご飯を食べている。そんなありふれた『温かい家庭の風景』が、匂いと共に脳裏に浮かび上がる。

 孤児院で育った持子にとって、それはずっと手の届かない幻のようなものだった。


「……あ、いい匂い。みんな、今から夜ご飯なんだね」


 無意識に呟いた持子の声には、隠しきれない寂しさが滲んでいた。


 その視線の先。路地の向こうから、賑やかな声と共に、ゾロゾロと歩いてくる大家族の姿があった。

 先頭を歩くのは、両手に張り裂けんばかりのスーパーのレジ袋を提げた少女。

 身長は百五十センチほど。以前は少しふっくらとしていた時期もあったようだが、今は歌手としてのレッスンや仕事のせいか、無駄な肉のないスレンダーな体型になっている。それでも、小柄な体に似合わぬ力強さで、重い荷物をひょいと持ち上げていた。


「こらっ、走らないの! 暗いんだから車が来たら危ないでしょ! お母さん、ネギが袋から落ちそうなんだけど!」


 少女は、周囲をチョロチョロと走り回る小さな弟や妹たちを叱り飛ばしながら、特売のシールが貼られた白菜や、飛び出した長ネギを必死に抱え込んでいる。どうやら、家族総出で初詣に行き、その帰りにスーパーで新年の買い出しをしてきたところらしい。


「ふふふ。あの子、すっごく大変そうですね」


「……ええ。でも、なんだかあったかそう」


 持子が目を細めて微笑んだ、その瞬間だった。

 ずり落ちそうなネギを抱え直そうと顔を上げたスレンダーな少女と、持子の視線が、空中でバチリと交差した。


「――っ!?」


 少女の動きが、まるでビデオの停止ボタンを押されたようにピタリと止まった。

 彼女の名前は、花園美羽はなぞのみう。持子の下僕の二番手であり、持子に対して海よりも深く重い愛情を抱く美少女である。

 美羽は、信じられないものを見るように目を瞬かせ、それから顔を一気に沸騰したヤカンのように真っ赤に染め上げた。


「ひゃ、ひゃあっ!? も、ももも、持子さん!?」


「えっ?」


 美羽はレジ袋を抱えたまま、パニックを起こして後ずさりした。


「な、なんで!? なんで持子さんがこんな庶民の住宅街にいるんですかぁぁっ!? あわわわ、見ないで、見ないでください私のこんな所帯染みた姿ぁっ!! 特売のネギとか、三割引きのえのきとか、絶対に見ちゃダメぇぇぇっ!!」


 顔を真っ赤にしてネギを背中に隠そうとジタバタする美羽。その奇行に、一緒に歩いていた美羽の家族たちも足を止めた。

 その中から、恰幅の良い美羽の母親が、怪訝な顔で持子の方へと視線を向け――そして、ハッと息を呑んだ。


「こ、恋問、さん……!?」


 母親の顔に、驚愕と、そして深い深い歓喜の色が浮かび上がる。

 彼女は持子の姿を確認するなり、持っていたエコバッグを放り出し、駆け寄ってきて深々と頭を下げた。


「恋問さん! ああ、なんという偶然……! 初詣の帰りに、まさかこんなところでお会いできるなんて!」


「えっと、あの……」


「お母さん! ストップ、ストップ! 今の持子さんは色々あって……っ!」


 記憶喪失であることを知っている美羽が必死に止めようとするが、母親の勢いは止まらない。

 かつて、この花園家は明日のご飯にも困るほどの極貧だった。それを救い、美羽を歌手として育て上げ、去年の夏にはクーラーすら無かった家に最新式の冷暖房を完備できるまでの豊かさを与えてくれたのは、他ならぬ持子と、スノーの立花雪なのだ。


「恋問さん、本当に、本当にいつも美羽がお世話になっております! あの、どうか、どうか本日はうちで夕食を召し上がっていってください!」


「えっ、でも……」


「実は今日はお正月ということで、奮発してすき焼きの特上肉を買ってきたところなんです! お野菜もたっぷりありますから、どうかご一緒に!」


 母親が満面の笑みで掲げたスーパーの袋には、立派な霜降り肉のパックが見え隠れしていた。


「すき焼き……」


 持子の肩が、ピクリと反応した。


「あ、お母さん、お気持ちはすごく嬉しいんですけど……私たち、さっき控室で夕食のお弁当を食べてきちゃいまして」


 楓が申し訳なそうに断りを入れる。実際、二人は高級弁当をしっかりと完食している。満腹中枢はとっくに満たされているはずだった。


 ――きゅるるるるぅぅぅ……。


「ひゃっ!?」


 持子の顔が、ボンッ! と音を立てるほどの勢いで朱に染まった。

 静かな路地に響き渡ったのは、間違いなく持子のお腹の虫の音だった。

 満腹のはずなのに。

 周囲の家々から漂う『家庭料理の匂い』と、目の前の温かい家族から発せられた『すき焼き』という言葉。


 記憶を失い、一人ぼっちの心細さを抱え、そして自分が誰かに狙われているという不安に押し潰されそうになっている持子にとって、「みんなで作って囲む温かい家族の食卓」というシチュエーションは、どんな高級料理よりも抗い難い、強烈な誘惑だったのだ。


「あ、うぅ……ち、ちがっ、これは……その……」


 両手でお腹を押さえ、涙目でぷるぷると震える持子。


 そのあまりにも可愛らしく、そして素直すぎる反応を見て、楓は「あちゃー」という顔で苦笑いした。

 護衛の任務としては寄り道は推奨されないが、この花園家の中であれば霊的防壁も敷きやすく、何より持子の心がこれほど求めているのなら、無碍にはできない。


「……仕方ないですね。持子お姉さんのお腹がそう言うなら。少しだけ、お邪魔させてもらいましょうか。私はつまむ程度にさせてもらいますけど」


「か、楓ちゃぁん……っ、ごめんなさぁい……」


 恥ずかしさで消え入りそうになる持子と、やれやれと笑う楓は、歓喜に沸く花園一家に連れられて、美羽の実家へと足を踏み入れることになった。


 花園家は、ペントハウスの広大なリビングと比べれば、嘘のように手狭だった。


 しかし、美羽が手際よく台所で買ってきたばかりの具材を切り、あっという間に部屋の中心に置かれた大きなこたつの上で湯気を立て始めたすき焼き鍋は、空間全体をポカポカと温めていた。

 影に潜む式神たちも、家を取り囲むように結界を張り巡らせており、ここは今、都内で最も安全で温かい場所の一つとなっていた。


「さあさあ、恋問さん! お肉、遠慮しないでどんどん食べてくださいね! 美羽、持子さんの器に卵を割ってさしあげなさい!」


「お、お母さん張り切りすぎ……っ。持子さん、無理しないでくださいね? すでに夕食食べてるんですよね? 私の家族、ちょっと距離感おかしいので……」


 美羽は相変わらず顔を赤くして恥ずかしそうにしているが、スレンダーな体をテキパキと動かし、素早く持子の器に溶き卵と、よく煮えた牛肉、そして味が染み込んだネギを取り分けてくれた。


「いただきます……っ」


 持子は一口肉を頬張り、その甘辛い家庭の味に、思わず頬を緩ませた。

 お弁当のすき焼きとは全く違う、目の前でグツグツと煮込まれ、みんなで突っつく温かい手作りの味。


「おいしい……。すっごく、おいしいです」


「ああ、よかったわぁ! さあ、白菜もどうぞ!」


 隣では、すでにお腹がいっぱいの楓が「私はお茶とお豆腐だけで大丈夫です、あはは……」と笑いながら、持子が美味しそうに食べるのをニコニコと見守っている。


 食事が進むにつれ、持子は一つのことに気がついた。

 それは、目の前で甲斐甲斐しく立ち働く『花園美羽』の姿だ。


 雪や鮎から聞かされていた美羽の人物像は、「持子にベタ甘えで、隙あらば抱きついてくる重い愛情を持った下僕」というものだった。

 しかし、今の美羽は全く違う。


「こら、ケンタ! お肉ばっかり漁らないの! ちゃんとえのきとお豆腐も食べなさいってば!」


「えー、お肉がいいもん」


「ダメ! お姉ちゃんが一生懸命安いの探して買ったんだから残さず食べる! ほら、あーん!」


 美羽は、隣に座る小学生の弟をピシャリと叱り、半ば強引に野菜を食べさせている。

 さらに、スッと立ち上がって台所へ向かい、空になった急須にお湯を足しながら、母親を気遣う声を出した。


「お母さん、座ってていいよ。お茶のおかわり、私が淹れるから。お母さんもお肉食べてね」


「ありがとうね、美羽」


 弟や妹を叱り、母親を支え、家族全員に目を配る。

 そこにあるのは、甘えん坊な下僕の姿ではない。家族の生活をその細い肩で背負い、力強く生きてきた『しっかり者で頼れる長女』の姿だった。


「美羽ちゃん……すごい」


 持子がポツリと呟くと、向かいに座っていた母親が、目を細めてお茶を啜った。


「……あの子、昔は自分の作り笑いが嫌いで、ずっと下を向いて生きてるような子だったんです」


 母親の声は、どこか懐かしむようで、そして深い愛情に満ちていた。


「家が貧しくて、弟や妹たちに我慢ばかりさせて。長女であるあの子自身が、一番たくさん我慢をして……。でも、恋問さんと、雪社長が、あの子を救ってくださった。あの子に『居場所』を与えてくださったんです」


 母親は持子を真っ直ぐに見つめ、静かに頭を下げた。


「恋問さんのおかげで、あの子は心から笑えるようになりました。私たち家族も、こうして暖かい部屋で、お正月にすき焼きを囲めるようになりました。美羽は、持子さんのことが本当に大好きで、本当に感謝しているんです。家に帰ってきても、毎日毎日、持子さんの話ばかりしているんですよ」


 その言葉を聞いて、持子の胸の奥で、何かがトクリと鳴った。

 自分が、この温かい家族の笑顔を守ったのだ。

 記憶はなくても、自分がやってきたことは、確かにここに息づいている。

 その事実が、命を狙われる恐怖と不安で空っぽだった持子の心に、温かいお湯のようにじんわりと染み込んでいった。


「……ほら、マナ。口の周り、タレでベトベトだよ」


 食卓の端で、美羽が妹の口元を布巾で優しく拭ってやっていた。


「へへっ、お姉ちゃんありがとう!」


「もう、しょうがないなぁ」


 美羽は、呆れたように笑いながら、妹の頭を優しく撫でた。

 その時、美羽が浮かべた『慈愛に満ちた、すべてを包み込むような優しい笑顔』。


 ――ドクンッ!!


 その笑顔を見た瞬間、持子の脳裏に、強烈な感覚の奔流が叩き込まれた。


『持子さぁぁぁんっ!!』


 それは、映像というよりも、『感覚』のフラッシュバックだった。

 背後から飛びついてくる、百五十センチの小柄な体躯。

 細くてスレンダーな腕なのに、どんな脅威からも私を守ろうとするかのように、力強くギュッと抱きしめてくれた、あの確かな温もり。

 鼻孔をくすぐる、甘くて、どこか安心する女の子の匂い。

 そして、何よりも。

 自分のすべてを肯定し、自分のすべてを愛し尽くそうとする、少し重たくて、でも底抜けに温かい彼女の声。


(……あ、あぁ……)


 視界が、急にぼやけた。

 ぽたり、と。

 持子の目から零れ落ちた大粒の涙が、手の甲に落ちて弾けた。


「……えっ? も、持子さん!?」


 持子の異変に一番早く気づいたのは、美羽だった。

 美羽は血相を変えて立ち上がり、持子のそばに駆け寄った。


「ど、どうしたんですか!? 涙……っ、どこか痛いですか!? もしかして、ネギが熱くて火傷しちゃいましたかっ!?」


 オロオロとパニックになり、持子の顔を覗き込む美羽。

 普段はしっかり者の長女なのに、持子のことになると途端に見境がなくなる、その不器用な優しさ。


 持子は、涙でぐしゃぐしゃになった顔で、しかし、花が咲くような満面の笑みを浮かべた。


「……ううん。痛くないよ、美羽ちゃん」


「え……?」


「思い、出したの。……美羽ちゃんが、いつも私を、その細い腕で……いっぱいの愛で、後ろからギュって抱きしめてくれていたこと」


 持子の言葉に、美羽の動きがピタリと止まった。

 美羽の大きな瞳から、じわっと涙が溢れ出し、それがボロボロと滝のように崩れ落ちていく。


「も、持子……さん……っ! ほ、ほんとに……? 私のこと、思い出して、くれたんですか……?」


「うん。……忘れてて、ごめんね。私をずっと支えてくれていた、大切で、温かい……美羽ちゃん」


「持子さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!!」


 美羽は、もはや抑えきれない感情を爆発させ、持子の胸にダイブした。

 小柄でスレンダーな体が、持子を力強く、そして優しく包み込む。

 持子もまた、その確かな温もりを確かめるように、美羽の背中に腕を回し、しっかりと抱きしめ返した。


「うわああああん! よかったぁぁ! 持子さんに忘れられたままだったら、私、私、悲しくて死んじゃうところでしたぁぁっ!」


「よしよし、泣かないで、美羽ちゃん。……あったかいね。美羽ちゃんも、このお家も」


 家族が驚きつつも温かい拍手を送る中、二人はしばらくの間、涙を流しながら抱き合い続けた。

 空白だった二年間の一部が、温かいすき焼きの味と共に、完全に一つに繋がった瞬間だった。


「ピピピピッ、ピピピピッ」


 感動の余韻が部屋を包み込んでいる中、無慈悲な電子音が響き渡った。

 楓のスマートフォンだ。楓は周囲の警戒を一切解かないままアラームを止めると、申し訳なさそうに頭を掻いた。


「持子お姉さん、美羽さん。感動のところ本当に申し訳ないんですけど……そろそろ出ないと、二十一時の門限に間に合いません」


 その言葉に、美羽はハッとして持子から離れた。外には見えない敵が潜んでいるかもしれない状況で、持子をこれ以上危険に晒すわけにはいかない。


「そ、そうですよね! 雪さんの門限を破らせるわけにはいきませんっ! 持子さん、今日はお腹いっぱい食べてくれて、本当にありがとうございました!」


「ううん、こちらこそ。最高のお正月になったよ。お母さん、弟くん、妹ちゃんも、本当にありがとう」


 持子は深く頭を下げ、名残惜しそうにしながらも、コートを羽織って立ち上がった。


 玄関まで見送りに来た美羽の家族に手を振り、持子と楓は、すっかり夜の闇に包まれた冷たい外の空気の中へ歩き出した。


 来た時と同じ冷たい風。

 しかし、持子の足取りは、数時間前とは比べ物にならないほど力強く、そして軽やかだった。


 胃の腑を満たす温かい家庭料理。

 胸を満たす、美羽という大切な存在との絆。


 それらが、狙われる恐怖に怯えていた十六歳の少女に、確かな『強さ』を与えていた。


「楓ちゃん。帰ろう、雪さんの待つペントハウスへ」


 持子は、澄んだ夜空を見上げて力強く頷いた。

 たとえ裏社会から命を狙われていようと、魔王の力が無かろうと、一人ぼっちだと思っていた世界は、こんなにも温かい愛と、強力な護衛たちに守られているのだ。


 二人の少女の影が、街灯に照らされながら、夜の東京の街へと力強く歩き出していった。


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