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【空白の二年間と、カオスすぎる私の人生】

【空白の二年間と、カオスすぎる私の人生】


「――全員、今すぐこの部屋から出なさい」


 氷のように冷たく、しかし絶対的な権力を持った声が、広大なペントハウスの寝室に響き渡った。


 芸能事務所『スノー』の社長にして、持子の絶対的な保護者である立花雪が、冷徹な視線で下僕たちを一掃したのだ。


「で、ですが雪社長! 持子様が、持子様がわたくしたちの記憶を……!」


「嫌ですぅ! 持子様のそばにいたいですぅ!」


「落ち着きなさい、あなたたち。今の持子は極度のパニック状態にあるの。あなたたちのその『重すぎる愛情』は、今のあの子には猛毒でしかないわ」


 雪の有無を言わさぬ一喝に、本多鮎も花園美羽も、そしてエティエンヌやルージュ、アスタルテといった規格外の美女たちも、シュンと肩を落として部屋から引きずり出されていった。


 バタン、と重厚なドアが閉まり、部屋には雪と、ベッドの上で毛布を被ってガタガタと震える持子だけが残された。


「……持子。もう大丈夫よ」


 雪は、先ほどまでの氷のような威圧感を完全に消し去り、聖母のように優しい微笑みを浮かべてベッドの縁に腰掛けた。


「ゆ、雪さん……っ、私、私……!」


 持子は毛布から顔を出し、雪の胸に飛び込んで大声で泣きじゃくった。


 モデルデビューからちょうど一年が経とうとしていた、あの春の日。その記憶しかない持子にとって、雪の存在だけが唯一の現実であり、命綱だった。


「よしよし、怖かったわね。……持子、よく聞きなさい。あなたは今、ひどい過労とストレスで、一時的に『記憶の混濁』を起こしている状態なのよ」


「きおくの、こんだく……?」


「ええ。あなたはあれから、モデルとして信じられないくらい大ブレイクして、毎日休む暇もなく世界中を飛び回っていたの。その疲れが、一気に脳にきてしまったのね。だから、この二年間くらいの記憶に、もやがかかってしまっているのよ」


 雪の言葉は、恐ろしいほどに滑らかで、完璧な『嘘』だった。


 大禍つ炉の崩壊、第六天魔王マーラの覚醒、そして七星宝刀による董卓の魂の封印。そんな常軌を逸した真実を、今の無垢な持子に伝えても、精神が完全に崩壊するだけだと、雪の優秀な頭脳で瞬時に判断したのだ。


「私、そんなに忙しかったんですか……?」


「ええ、もう倒れるくらいにね。だから、今日はもう何も考えずに、このままゆっくりと眠りなさい。明日、私が付き添って、ちゃんとした病院の先生に診てもらいましょう。……大丈夫。私が、必ずあなたを治してあげるから」


 雪の優しく、力強い言葉に、持子の震えは少しずつ収まっていった。


「はい……雪さんが、そう言うなら……」


「いい子ね。おやすみなさい、持子」


 雪は持子の頭を優しく撫でると、照明を落とし、静かに部屋を後にした。



     * * *



 ――しかし。


 一人残された広大な寝室で、持子の目は冴え渡っていた。

 眠れるわけがない。


 過労で一時的な記憶喪失? 明日病院に行く?

 頭では雪の言葉を理解しようとしているが、心が、本能が、激しい警鐘を鳴らしてパニックを起こし続けている。


(普通の高校生で、まだ中堅モデルだった私が……こんな、ドラマに出てくるような超高級タワーマンションの最上階ペントハウスに住んでるなんて……!)


 持子は、ベッドからそっと抜け出し、ふかふかの絨毯を踏みしめた。


 窓の外には、東京の夜景が宝石箱のように広がっている。クローゼットを開ければ、見たこともないようなハイブランドの洋服や靴、宝石類がズラリと並び、値札の桁を見ただけで持子は「ひぃっ!?」と悲鳴を上げて扉を閉めた。


(私、この空白の二年間で、一体どれだけ出世したの……? 雪さんは大ブレイクしたって言ってたけど……)


 持子の視線が、部屋の片隅のデスクに置かれた、最新型の薄型ノートPCに止まった。


「……調べて、みよう」


 持子はゴクリと唾を飲み込み、PCを起動した。

 パスワードがかかっていたが、無意識に指が動き、すんなりとロックが解除された。


 ブラウザを開き、検索窓に震える指で打ち込む。


 ――『恋問持子』


 エンターキーを、ターン!と叩く。

 次の瞬間、画面に表示された検索結果の数字を見て、持子の目玉が飛び出そうになった。


「は……? 約、一億件……!?」


 一億。100,000,000件。

 それは、一介の中堅モデルが叩き出す数字ではない。世界的なハリウッドスターや、歴史上の偉人レベルのヒット数だ。


「嘘、嘘でしょ……?」


 一番上に表示された『Wikipedia』のリンクを恐る恐るクリックする。


恋問こいとい 持子もちこ

日本の女性ファッションモデル、女優、インフルエンサー。

『世界で最も美しい顔』二年連続第一位。

数々の世界的ハイブランドのアンバサダーを務め、現在、アジア圏のみならずヨーロッパ、アメリカにおいて熱狂的な支持を集める【世界的トップモデル】である。その圧倒的なカリスマ性と、他の追随を許さない孤高のオーラから、ファンからは畏敬の念を込めて「魔王」「持子様」と呼ばれている。


「ま、ま、ま、魔王ぉぉぉっ!?」


 持子は画面を指差し、声にならない絶叫を上げた。


「なんで私が世界的トップモデルになってるの!? なんで魔王なんて呼ばれてるの!? 中二病をこじらせちゃったの!?」


 激しい動悸を抑えながら、持子は『画像検索』のタブをクリックした。

 ズラァッと画面を埋め尽くす、無数の高画質な写真たち。


 そこに写っているのは、間違いなく自分自身の顔だった。しかし、纏っているオーラが、今の自分とは完全に『別人レベル』だったのだ。


「な、なにこれ……」


 最初に出てきたのは、地中海と思しき青い海と白い街並みを背景にしたロケ写真。


 写真の中の持子は、高級なシルクのサマードレスを纏い、玉座のような豪華な椅子に深々と腰掛けて足を組んでいる。高級なサングラスを少しずらし、見下すような視線でカメラを睨みつけるその姿は、まさに『世界を統べる女王』の覇者オーラそのものだった。


「こ、怖っ……! 私、こんなに偉そうな顔できるの!? っていうか、周りにいる外国人モデルの人たち、なんで私にかしずくようなポーズで写真に収まってるの!?」


 スクロールする手が止まらない。

 次は、南国のビーチでの水着撮影の写真。


 極小のビキニからこぼれんばかりの豊満な胸の谷間と、引き締まった腰のラインを惜しげもなく晒し、持子はこれ以上ないほどの『超ドヤ顔』でカメラを見つめていた。


「な、なにこの『世界は私のもの』みたいなドヤ顔! 恥ずかしい! 恥ずかしすぎるぅぅっ! なんでこんなに自信満々なのよ私のバカ!」


 持子はキーボードに頭を打ち付けた。


 さらに画面を下に進める。

 阿寒湖のロケ写真。背景は完全に凍りついた湖と、猛吹雪。


 それなのに、写真の中の持子は、透けるような極薄の銀と黒のドレス一枚で、寒がる素振りなど微塵も見せず、神秘的な表情で氷の上に立っていた。


「いや死ぬでしょ!? これ絶対マイナス二十度とかいってるでしょ! なんで平然としてるの!? 私の皮膚、鋼鉄か何かでできてるの!?」


 極め付けは、パリでの撮影写真だった。

 地下墓地の中でポーズをとる持子の衣装は、もはや『ほぼ裸』と言っていいレベルの、際どいカッティングのシースルードレスだった。


「布! 布が足りない!! どこが服なのこれ! 痴女! 完全に痴女だよ私ぃぃぃっ!」


 持子は顔を真っ赤にして、両手でモニターを覆い隠した。羞恥心のあまり、全身から火が出そうだった。



     * * *



「はぁ……はぁ……、一旦、落ち着こう。これは夢だ。悪質なドッキリだ……」


 深呼吸をして、再び画面を見る。

 今度は、プライベートやパーティーでのスナップ写真がまとめられたまとめサイトのリンクを開いた。


「……えっ?」


 そこに写っていたのは、世界的ハイブランド『リュクス・アンペリアル』のCEOである、エレーヌ・リジュという超大物実業家とのツーショット写真だった。


 だが、その構図が異常だった。

 ソファーにふんぞり返るように座る持子に対し、エレーヌ・リジュはまるで忠実な臣下のように膝をつき、持子の手に恭しくキスをしているのだ。


「なんで!? なんで世界的ブランドのCEOが、私に傅いてるの!?」


 他の写真も同様だった。

 ハリウッドの超大物俳優、中東の王族、世界的なIT企業の社長。


 そんな雲の上のVIPたちが参加する豪華絢爛なパーティーの写真で、常に持子は『中心』に座り、まるで独裁者のように彼らを従えるような態度をとっていたのだ。

 相手側も、それを不快に思うどころか、持子に気に入られようと必死に媚を売っているようにすら見える。


「私……この二年間で、一体何をしてきたの……? もしかして、裏社会のドンとか、秘密結社の独裁者かなにかに成り上がっちゃったの……?」


 持子は、自分が完全に『世界を裏から牛耳る悪のカリスマ』になっていると錯覚し、ガクガクと震え上がった。



     * * *



「だ、ダメだ。ネットの情報は誇張されてるかもしれない。そうだ、スマホ! 私のスマホを見れば、本当のプライベートが分かるはず!」


 持子は、ベッドのサイドテーブルに置かれていた、見慣れない最新型のスマートフォンを手に取った。


 顔認証でロックが解除される。

 恐る恐る、写真アプリ(カメラロール)を開く。


 ネットのような恐ろしい顔ではなく、もっと普通の、自分に近い記録があるはずだ、と祈りながら。


 カメラロールを遡っていくと、そこには大量の『自撮り』や『メモ写真』が残されていた。


「……これ」


 それは、鏡の前で真剣な顔をしてスキンケアをしている写真。

 ジムで汗だくになりながら、重いバーベルを上げて筋トレをしている動画。

 何十着もの衣装を並べ、どれが一番自分を美しく見せるか、ノートに細かい文字で研究している記録。

 そして、英語やフランス語の語学学習アプリのスクリーンショット。


「私……」


 持子の瞳から、ふいにポロリと涙がこぼれた。


 ネットに溢れる『傲岸不遜な魔王』や『独裁者』としての異常な表の顔。その裏側で、自分は血の滲むような努力を重ねていたのだ。

 美しさを維持するために。トップモデルとしての地位に恥じないために。


「……そっか。私、自分なりに、すっごく頑張ってたんだね……」


 持子は、空白の二年間を生きた『もう一人の自分』を、初めて肯定し、少しだけ誇らしく思うことができた。



     * * *



 涙を拭い、さらにカメラロールを遡る。


 すると、さっき部屋で自分に群がってきてパニックを引き起こした、あの異常に美しい女性たちとの写真が次々と出てきた。


 ゴライアスのトップモデルである本多鮎。

 ふわふわとした可愛らしい花園美羽。

 絶世の外国人美女、エティエンヌ、アスタルテ、ルージュ。


「あ、あれ……?」


 持子は、一枚の写真を見て目を見開いた。


「このプラチナブロンドのシャーロット……イギリスのトップモデルの、シャーロット・シンクレアじゃん!? なんで彼女まで私と一緒に写ってるの!?」


 イギリスでの撮影旅行、パリの街並み、あるいはこのペントハウスでの日常。

 写真の中の彼女たちは、みな持子を囲み、まるで家族のように温かく、楽しそうな笑顔を浮かべていた。


 そして何より驚いたのは、写真の中の『自分自身』の姿だった。


「私、こんなに笑ってる……」


 写真の中で、持子は彼女たちを自ら力強く抱きしめ、おでこや頬にキスを落とし、本当に、心の底から幸せそうな笑顔を浮かべていたのだ。


(さっき……私が『百合じゃない』って拒絶した時、みんな、この世の終わりみたいに泣いてた……)


 持子の胸が、チクリと痛んだ。

 記憶がなくても、写真の中の自分が、彼女たちをどれほど大切に想い、深い絆で結ばれていたかは、一目で分かった。


「……ごめんね。ひどいこと、言っちゃったな……」


 持子は、カメラロールの写真を指でそっと撫でながら、少しだけ後悔の念を抱いた。



     * * *



 さらに画面をスワイプしていく。


「これは……学校の写真?」


 そこに写っていたのは、聖ミカエル学園の合気武道部のメンバーたちだった。


 16歳の持子の記憶では、まだ入部していなかった。クラスメイトともそれほど親しくなれていなかったはずだ。

 しかし、写真の中では、部員全員が笑顔でピースサインをしており、その中心には、腕を組んでドッシリと座る持子の姿があった。


「いや、なんで私が一番偉そうなの!? 完全に関東一円を束ねるヤンキーの総長みたいになってるじゃん!」


 過去の気弱な自分とのあまりのギャップに、持子は再びツッコミを入れた。


 次の写真に指が止まる。


「えっ……」


 それは、氷川神社の荘厳な本殿の前で、美しい巫女装束に身を包み、二人で並んで微笑んでいる写真だった。


 一人は自分自身。そしてもう一人は、息を呑むほどに凛として美しい、黒髪の少女だった。

 民間霊的組織【TIA】の特級エージェント、風間楓である。


「うわぁ……。この子、すっごく綺麗……」


 持子は、写真の中の楓の冷たくも透き通るような美貌に、思わずドキッとして胸が高鳴るのを感じた。


(私、こんな綺麗な子と一緒に巫女舞をやったの……? なんで!? モデルなのに巫女さん!?)


 さらに驚愕は続く。


「なにこれ……結婚式の写真?」


 そこには、純白の白無垢を着た白髪の美しい女性(葉室桐子)と、長身で息が止まるほど端正な顔立ちの美青年(風間洋助)が、永遠の愛を誓い合っている姿があった。


「え、ちょっと待って。なんで私、親族席の前列に座ってるの!?」


 持子は、孤児院で育った天涯孤独の身である。親族などいるはずがない。

 なのに、披露宴の写真では、新郎新婦の隣でブーケをしっかりと握りしめ、満面の笑みの自分の姿があった。


「この二人……誰? 私は、この空白の二年間で、家族と呼べる人たちに……出会えたの?」


 持子の瞳に、戸惑いと、ほんの少しの温かい感情が入り混じる。


 写真には、洋助だけではない。

 銀縁メガネをかけた、いかにもエリート官僚といった風貌の知的なイケメン(霞涼介)。

 騎士のように高潔で、キラキラとしたオーラを放つ西洋人の美青年(流星)。


 そんな、普通に生きていれば絶対に関わることのないような「超絶イケメン」たちと、自分が並んで、しかも対等の……いや、むしろ彼らを従えるような態度で写真に収まっている。


「……私の人生、どうなってるの。イケメンも美女もよりどりみどりって、乙女ゲームの主人公か何か?」



     * * *



 だが、その温かい感動も、次の一枚の写真によって完全に吹き飛ぶことになる。


「…………は?」


 持子の指が、ピタリと止まった。

 そこには、目を疑うような光景が写っていた。


 滝行である。

 極寒の山奥、凄まじい勢いで流れ落ちる滝の下で、持子が白装束一枚で合掌し、滝に打たれている写真だった。


「いや、なんでモデルが滝行してんの!? バラエティ番組の罰ゲーム!? 事務所NG出さないの雪さん!?」


 謎すぎる行動に、持子の頭の中が疑問符で埋め尽くされる。


 そして。


 その次の写真――カメラロールの奥底に保存されていた【衝撃の一枚】を見た瞬間。

 恋問持子の精神は、完全に、そして物理的に崩壊の音を立てた。


「ひっ……!!?」


 持子はスマホを取り落としそうになった。


 写真に写っていたのは、スノーのレッスン室らしき場所。

 そこで持子は、冷酷な女王のような表情で、ピンヒールのヒールを、誰かの『顔面』に思い切り踏みつけていた。


 踏みつけられているのは、大手事務所のトップモデルであるはずの、あの本多鮎だった。


 しかも。

 顔面をヒールでグリグリと踏み躙られている鮎は、苦しむどころか、涎を垂らしながら完全にイッてしまっている『恍惚の笑顔』を浮かべ、あろうことか持子に向かって元気よく【サムズアップ(親指を立てる)】をしているのだ。


「――――――――ッ!!??」


 持子の脳内で、警報サイレンが鳴り響いた。


(踏んでる! 私が! あの雲の上の大先輩の顔面を! ピンヒールで! しかも先輩、めっちゃ喜んでる! サムズアップしてるぅぅぅっ!!)


 状況の異常さ。理解の範疇を軽々と超えたカオス。

 持子はスマホを放り投げ、頭を抱えてベッドの上をゴロゴロと転げ回り始めた。


「無理無理無理無理! 理解できない! 意味が分からない!!」


 自分の空白の二年間を、頭の中で総括してみる。


 ・一億ヒットの世界的トップモデル。

 ・露出狂レベルの痴女ファッション。

 ・世界のVIPを従える独裁者ポジ。

 ・極寒の湖や滝行などの謎の修行。

 ・神社で巫女舞。

 ・ヤンキー漫画みたいな武道部のボス。

 ・絶世の美女たちを侍らせる百合ハーレム。

 ・大先輩の顔面を踏みつけるドS女王様。


「カオスすぎるぅぅぅぅぅぅっ!! 私の人生、ジャンルが迷子になってるぅぅぅっ!!」


 持子の絶叫が、ペントハウスの天井にこだまする。


 恋に夢見る純情な乙女だった元の自分と、この二年間の自分とのギャップ。あまりにもかけ離れた「表の顔」と「裏の顔」の異常さに、持子の精神は限界キャパオーバーを迎えていた。


「いやだ、いやだぁ! 私、普通の高校生活が送りたいだけなのに! こんな破天荒な人生、私には無理だよぉぉぉっ!」


 持子は枕に顔を押し付け、ジタバタと足をバタつかせた。


 その時、パニックに陥った持子の脳裏に、たった一人、すがれる少年の顔が浮かんだ。

 幼い頃から一緒に合気武道で汗を流し、自分がずっと密かに想いを寄せている、たった一人の初恋の相手。


「竜っ……!! 助けて、竜っ……!! 私、おかしくなっちゃったよぉぉぉっ!!」


 アメリカに渡ってしまったはずの彼が、今この東京に帰国しており、しかも自分の命を救ってくれたことなど知る由もなく。

 持子は、遠い海の向こうにいるはずの幼馴染の名前を、涙ながらに叫び続けた。


 魔王の記憶と力を失い、純白の十六歳へと退行した恋問持子。

 彼女の、常識が通用しない狂信的な下僕たちとのカオスな日常と、身の丈に合わない異常な現実との戦い。


 記憶喪失の少女の、真の受難の日々が、今、本格的に幕を開けたのであった。


ここから、あっという間に最終回まで進むはずだったんだ。

おかしい全然終わらない。

キャラクター達の暴走が止まらない。

これは暴走を止められない自分が悪いのか?

キャラクター達の暴走というか反抗が悪いのか?

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