『白装束の魔王と、崩壊する理性』
一日目
チュンチュン、チチチチ……。
夏の朝を告げる小鳥のさえずりと、遠くで鳴き始めた蝉の声が、静寂に包まれた氷川神社の秘境に響き渡っていた。木々の葉擦れの音が、下界の喧騒から完全に切り離されたこの場所の神聖さを際立たせている。
「……ふぁぁぁ〜あ」
木漏れ日が差し込む板の間の道場の片隅で、絶世の美少女・恋問持子は、寝袋から這い出した。
神が計算し尽くした「黄金比」のプロポーションを持ち、世界的トップモデルとして活躍する彼女の寝起きとは思えない、豪快すぎるあくびである。
彼女の魂には、三国志の時代に天下を恐怖で支配した暴君・董卓の魂が宿っている。そのため、中身は完全に「むさ苦しいオッサン」なのである。
「……暇だ」
持子は頭をボリボリと掻きながら、誰もいないガランとした道場を見渡した。
昨日、愛する第一下僕である本多鮎に頼んで大量の物資を車で運ばせ、道場の大体の掃除も終わらせた。温泉にも入り、鮎をたっぷりと可愛がった後、彼女はタレント業のために東京へと帰っていった。
「ううむ……。鮎を帰すんじゃなかったぞ。一人はなまら寂しいではないか……。いっそ鮎と一緒に一旦東京へ戻って、今日、合気武道部の皆と一緒にまたここに来れば良かったわ……」
持子はポツンと膝を抱え、魔王らしからぬ弱音を吐いた。
腹の虫が「グゥゥゥゥッ」と盛大に鳴る。
暴食の魔王たる持子の胃袋は、常にカロリーを求めている。
「ええい、腹が減っては戦はできぬ! 朝飯にするぞ!」
持子は鮎が用意してくれた大量の物資の中から、大容量のポータブル電源に繋いだカセットコンロ(IHヒーター)を引っ張り出した。水も大量に持ってきているので安心だ。
鍋にドボドボと水を注ぎ、スイッチを入れる。
「コポコポコポ……」
お湯が沸き立つ音だけが、静かな山奥に虚しく響く。
「……朝から手の込んだものを作る気にもならんな。カップ麺でいいや」
バリッ! とフィルムを破り、特大サイズの『豚骨醤油・背脂ニンニク増し増しラーメン』のフタを開ける。お湯を注いで待つこと三分。
「ズバババババッ!! ズルルルルルルッ!!」
持子は絶世の美貌を歪ませ、オッサンのような凄まじい吸引力で熱々の麺を啜り上げた。
「ハフッ、ホフッ! うむ、ジャンクな味が五臓六腑に染み渡るわ! だが……」
ズズーッとスープを飲み干し、持子は再びため息をついた。
「……やはり、一人は暇だ」
時刻はまだ朝の七時。千手や森たち合気武道部の面々が到着するのは、昼前の予定だ。
持子はゴロンと板の間に寝転がり、天井の木目を数え始めた。
その時、ふと後輩である風間楓の言葉が脳裏をよぎった。
『……先輩。せっかく禊場の近くの土地を使うんですから、合宿の前に滝で禊をしてきてくださいね。先輩、最近俗世の垢にまみれすぎです』
いつも氷のように冷徹な楓の、ジト目での忠告。
「おお、そういえばそうであった。楓の奴、わざわざ禊用の装束まで用意してくれておったな」
持子はムクリと起き上がり、荷物の中から真っ白な包みを取り出した。
中に入っていたのは、滝行などの神事に使われる『白衣』、『襦袢』、そして真っ白な『褌』であった。
「ううむ……。以前、真冬に楓の修行に付き合わされて禊をした時は、文字通り死ぬかと思ったが……」
持子はブルッと身震いした。あの時は極寒の滝に打たれ、董卓の魂ごと凍りつくかと思ったのだ。
だが、道場の外はすでに夏の強烈な日差しが照りつけ、じりじりとした熱気が立ち込めている。
「……夏の今の季節なら、むしろ冷たい滝に打たれるのはなまら気持ち良いかもしれん! それに、最近どうも『穢れ(けがれ)』が溜まっておる気もするしな」
持子の中で言う『穢れ』とは、主に食欲、睡眠欲、そして風呂場でのオッサン目線による煩悩のことである。
「よし! 合宿が始まる前に、いっちょ心身を清めておくか!」
持子は道場の隅で、普段の服を脱ぎ捨て、真っ白な禊装束へと着替え始めた。
キュッと白い褌を締め、その上に襦袢を羽織り、最後に白衣を身にまとう。
「ふむ。着心地は悪くない。どれ、似合っておるかな?」
持子は、鮎が置いていった姿見(全身鏡)の前に立った。
そして、鏡に映る自分の姿を見た瞬間、持子の動きがピタリと止まった。
「……………………は?」
鏡の中にいたのは、黒髪のロングヘアを無造作に束ね、純白の装束に身を包んだ、神秘的で、そしてあまりにも……『エロすぎる』絶世の美女であった。
元々、神が計算し尽くした175cmの黄金比のプロポーションである。ゆったりとした白衣の上からでも、その豊満な胸の膨らみや、引き締まった腰のラインがはっきりと分かる。
さらに、装束の隙間からチラリと覗く白磁のような太ももと、純白の褌の紐。
「な、なんだこれは……」
二回目なのだが持子はゴクリと生唾を飲み込み、手元のスマートフォンを取り出した。
試しに、インカメラで自分の姿をパシャリと撮影してみる。
「カシャッ」
画面に映し出された写真を見て、持子の内なる『董卓』が、完全に理性を吹き飛ばして大暴れし始めた。
(おおおおおおッ!! な、なまらエロいではないかァァァッ!! なんだこの神々しさと淫靡さが奇跡の融合を果たした姿は!! 水に濡れる前でこれほどの破壊力……! こんな恰好の女しかも絶世の美女がいたら、もしわしが男でこんな山奥で二人きりになったら……間違いなく、コンマ一秒で理性を捨てて襲い掛かっておる自信があるぞ!!)
持子は自分の写真を見ながら、ハァハァと荒い息を吐き、鼻の下を限界まで伸ばしていた。
己の肉体(貂蝉の姿)を絶賛し、ガチで欲情しそうになっているという、究極の自己完結型変態である。
「ヒッヒッヒ、素晴らしい……この太もものチラ見え具合がなまら……」
そこまで考えた瞬間。
「…………ハッ!? あっ、穢れが溜まったな今!」
持子はスマホを落としそうになり、自分自身に強烈なツッコミを入れた。
「い、いかんいかんいかん!! わしは何を考えておるのだ! 自分の体を見て『襲う自信がある』などと興奮するとは、究極のアホではないか!!」
持子は頭を抱えてしゃがみ込んだ。
「あーっ、ダメだ! 一人だとバカになる! わしは穢れだらけだ! 煩悩と穢れがマッハで蓄積しておるわ! これは一刻も早く滝に打たれねばならん!」
自分のオッサン思考(穢れ)に全力でツッコミを入れながら、持子は逃げるように道場を飛び出し、一人で森の奥にある滝(禊場)へと向かって全速力で走り出した。
***
ザァァァァァァァァッ……!!
緑深い森の最奥。岩肌を滑り落ちる清冽な滝の音が、周囲の空気を冷ややかに震わせていた。
「おお……なまら神聖な空気が漂っておる……」
持子は滝壺の前に立ち、一つ深呼吸をした。
先ほどの自分の変態思考を反省し、心を無にする。
「祓え給い、清め給え……」
楓が見よう見まねで教えてくれた祝詞をブツブツと唱えながら、持子はゆっくりと冷たい滝壺の水へと足を踏み入れた。
「ヒャッ! 冷てぇッ! だが、夏の火照った体にはなまら気持ちいいぞ!」
持子はザブザブと水の中を進み、ついに流れ落ちる滝の真下へと身を置いた。
ドバババババッ!!
「ぐぬぉぉぉッ! す、凄い水圧だ! だが、これでわしの内なるオッサン(煩悩)も綺麗さっぱり洗い流されるはず……!」
持子は胸の前で印を結び、目を閉じて精神を統一し始めた。
冷たい水が、持子の純白の装束を瞬く間に濡らしていく。
水を含んだ白衣と襦袢は、持子の白磁のような肌にピタリと張り付き、その驚異的な黄金比のプロポーションを、隠すどころかさらに生々しく浮き彫りにしていった。
透け透けの白い布越しに見える、豊かな胸の谷間。引き締まった腹筋のライン。そして、褌が食い込む魅惑的な腰回り。
それはもはや『禊』という神聖な儀式を通り越し、世界最高峰のグラビア撮影現場のような、圧倒的で暴力的なエロティシズムを放っていた。
だが、滝に打たれて必死に煩悩と戦っている持子本人は、自分の姿が現在どれほど破壊的なことになっているかなど、全く気づいていない。
ただひたすらに、己の内なる穢れを削ぎ落とすべく、激しい水圧の中で「無」の境地へと全集中していた。
「(無だ……わしは無になるのだ……豚骨ラーメンのことも、鮎の柔らかいお尻のことも、千手の素晴らしい筋肉のことも……すべて忘れるのだ……)」
***
――時刻は午前十一時半を回った頃。
「ハァ、ハァ、ハァ……っ! ちょ、ちょっと待って……マジでキツい……!」
「文句を言うな、佐藤! まだ合宿は始まってもいないぞ!」
氷川神社分社の敷地へと続く険しい山道を、大きなリュックを背負った七人の男女が、息も絶え絶えに登ってきていた。
私立聖ミカエル学園、合気武道部の面々である。
先頭を歩くのは、小柄だが無尽蔵の体力を持つ主将・千手美貴と、長身で筋肉質の副主将・森盛夫。
その後ろを、今年入部したばかりの五人の一年生たちが、汗だくになりながらついてきていた。
「あー、もう足が棒っスよぉ……。持子先輩、こんな山奥で一人で何してんスかね……」
お調子者でずる賢い性格の一年生・佐藤陽翔が、恨めしそうに愚痴をこぼす。
「無駄口を叩くな、陽翔。これも足腰を鍛える立派な稽古だ」
無口で真面目な門蒼真が、重い荷物を軽々と背負いながら窘めた。
「ちょっと、蒼真くん近寄らないでよ、汗臭い。……それにしても、本当にこんなところに道場なんてあるの?」
冷静で毒舌な芸能科の南原紗良が、前髪をかき上げながらため息をつく。
「あるって聞いてるよ! ほら、微かに水の音が聞こえない? きっと滝があるんだよ!」
体が異常に柔らかく明るい性格の阿部凛花が、耳を澄ませて目を輝かせた。
「滝か……。型の再現に集中するには、良いロケーションかもしれないな」
プライドが高く努力家の高橋玲央が、眼鏡をクイッと押し上げて頷いた。
「よし! 水の音がする方へ行ってみようぜ! 持子もきっとそこにいるはずだ!」
千手の一声で、一行はドドドッと滝の音がする森の奥へと足を進めた。
木々のトンネルを抜けた先。
彼らの目の前に、清らかな滝壺と、激しく流れ落ちる白い水飛沫が現れた。
「おおーっ! すっげーマイナスイオン!」
「本当だ、涼しい……って、あれ?」
千手が滝の下を指差した。
そこには、純白の装束に身を包み、流れ落ちる滝に打たれて微動だにしない、一人の少女の後ろ姿があった。
「も、持子……?」
森が目を丸くする。
合気武道部の七人は、持子に声をかけようと滝壺の淵まで近づいた。
そして、彼らの足音が近づいたことにも気づかず、ただひたすらに全集中で滝行を続ける持子の姿が、彼らの目に鮮明に飛び込んできた――その瞬間。
「…………ッ!!!」
合気武道部の七人の思考回路が、完全に、そして物理的にショートした。
滝の水で完全に透け透けになり、肌にピタリと張り付いた白い装束。そこから惜しげもなく披露されている、世界トップモデルの「神が創り出した完璧な肉体美」。
しかも、下半身の白い布(褌)は、水を吸って重くなり、あまりにも……あまりにも際どいラインを描き出していたのだ。
「――――〜〜〜〜ッッ!!?」
一年生男子組(佐藤、門)の顔面が、瞬時に茹でダコのように真っ赤に沸騰した。
女子たち(千手、高橋、凛花、紗良)も、あまりの衝撃的な光景に口をポカンと開け、真っ赤に沸騰して言葉を失う。
持子は、激しい水音と自身の禊への全集中のため、背後に部員たちが到着していることになど全く気がついていない。ただただ目を閉じ、印を結び、冷たい滝に打たれ続けている。
「……(ゴクリ)」
誰かが生唾を飲み込む音が、異常に大きく聞こえた。
部員たちは、男女問わず、その圧倒的なまでに美しく、そして暴力的にエロすぎる持子の姿から目を離すことができず、完全にその場に釘付けになってしまった。
動くことも、声をかけることもできない。
ただただ、透け透けの魔王の姿を見て、全員が石像のように固まってしまったのである。
一分、二分……。
静寂な森の中に、滝の音だけが響き続ける。
部員たちは誰一人として我に返ることができず、ただ茫然と持子の肢体を眺め続けていた。
「……お前たち。神聖な場所で、何を突っ立っている」
しばらくしてから。
背後の山道から、低く、厳格で、一切の感情の揺らぎを感じさせない重厚な声が響いた。
「ビクゥッ!!?」
部員たちが、弾かれたように一斉に肩を跳ねさせた。
振り返るとそこには、大きな荷物を背負い、遅れて到着した白髪混じりの厳つい顔――合気武道部の顧問である影安壮三が、腕を組んで立っていた。
「か、影安先生……ッ!」
森が、まるで魔法を解かれたかのように声を絞り出す。
影安のその重厚な声によって、ようやく部員たちは我に目覚めたのだ。
影安は、鼻血を出して倒れそうになっている佐藤や、顔を真っ赤にしてパニックになっている部員たちを一瞥した後、彼らの視線の先――滝に打たれる『透け透けエロエロ大魔王・持子』を真っ直ぐに見据えた。
部員たちが息を呑む。
(先生……! あの持子先輩の破壊的な姿を見て、どう反応するんだ……!?)
影安は、ゆっくりと口を開き、部員たちを静かに窘めた。
「よいか、お前たち。『合気とは、争いを終わらせる技だ』」
「……はいっ?」
「お前たちの心の中には今、『煩悩』という名の激しい争いが勃発している。他者の隙を見て心を乱す……それは武道家として恥ずべきことだ。気を引き締めろ」
影安の言葉は、完璧なまでに理論的であり、一切の邪念を感じさせない鋼の説教であった。
その圧倒的な「先生のオーラ」の前に、部員たちは恥じ入り、「は、はい……!」と頭を下げた。
部員たちを落ち着かせた後、影安は滝壺に向かって、よく通る声で呼びかけた。
「恋問さん。着替えてきなさい」
「……ん? お?」
影安の大きな声に、ようやく持子が目を開けた。
そして、滝壺の淵にズラリと並ぶ部員たちと顧問の姿に気づき、バシャバシャと水をかき分けて満面の笑みを浮かべた。
「おお! 千手! 森! 影安! それに一年生ども! やっと到着したか!」
持子は全く悪びれる様子もなく、透け透けの装束のまま、堂々と滝壺から上がってきた。
そのたびに、豊満な胸が揺れ、濡れた太ももが艶かしく光る。部員たちが再び顔を逸らして身悶えする。
「恋問さん。風邪を引く。早く着替えてきなさい」
「わかった! すぐに着替えてくるぞ!」
影安の指示に、持子は素直に頷いた。
だが、道場へ向かおうとクルリと背を向けかけた瞬間、持子はふと、顔を真っ赤にしてうつむいている主将の千手の方を向いた。
「おお、そういえば! 千手、貴様、最近iPhoneを最新機種に買い替えたと言っておったな!」
「え? あ、うん……。カメラの性能がすごくいいやつに……」
「そうか! ならば、せっかくの禊姿だ。着替える前に、わしを一枚撮ってくれ!」
「…………えっ?」
千手が素っ頓狂な声を上げる。
持子は全く恥じる様子もなく、むしろ自分の美貌を見せつけるかのように、透け透けの装束のまま、グラビアアイドルのような(しかし堂々とした魔王の風格漂う)ポーズをビシッと決めた。
濡れた髪をかき上げ、腰に手を当て、黄金の瞳で挑発的にカメラ(千手)を見つめる。
「ほれ! 早く撮れ!」
「えっ、えっ!? あ、うん!!」
千手はパニック状態のまま、反射的にポケットから最新のiPhoneを取り出し、カメラアプリを起動した。
そして、あまりの持子の被写体としての完成度の高さと、圧倒的なエロティシズムに脳がバグり、シャッターボタンを押しっぱなしにしてしまった。
カシャカシャカシャカシャカシャカシャッ!!!
「お、おい千手! 一枚でいいと言ったであろう! 連写しすぎだ!」
「あっ、ご、ごめん! たくさん撮ったから、もういいよ!!」
千手は顔をゆでダコのように真っ赤にして、iPhoneを胸に抱きしめて叫んだ。
「うむ! 頼んだぞ! では、わしは着替えてくるからな! 道場で待っておれ!」
持子は満足げに頷くと、鼻歌交じりで、濡れた装束を揺らしながら道場の方へと歩き去っていった。
***
持子の姿が見えなくなった後。
滝壺の淵では、部員たちが千手の周りに群がっていた。
「ちょ、ちょっと千手先輩! 今の写真、見せてください!」
「お、俺も! ほんの少し、武道の研究として……!」
千手がおそるおそるiPhoneの画面をスワイプする。
そこには、最新機種の高性能カメラが捉えた、水も滴る絶世の美女の、奇跡のような写真が何枚も収められていた。
背景の滝の飛沫と、白磁の肌、透ける白衣、そして自信に満ちた黄金の瞳。
それは、芸術的なまでに素晴らしく美しくもあり……そして、脳を破壊するほどにエロい写真だった。
「…………(ポカーン)」
写真を見た部員たちは、男女問わず、三度目の硬直状態に陥った。
一年生の佐藤陽翔は、ついに限界を超えて両鼻から鼻血を吹き出し、静かに後ろへ倒れ込んだ。
門蒼真は真面目な顔のまま、天を仰いで静かに涙を流している。
高橋玲央は「完璧だ……完璧な造形だ……」とブツブツと呟きながら眼鏡を拭き続けている。
女子たちも、「こんなの、勝てるわけない……」と完全に惚けきっていた。
そんなカオスな状況の中。
影安顧問は、惚けきっている部員たちを一瞥し、一切の動揺を見せることなく、静かに、そして厳かに告げた。
「……道場に移動」
「「「「は、はいッ!!!」」」」
影安の威厳ある一声で、部員たちは慌てて荷物を背負い直し、フラフラとした足取りで道場へと向かって歩き出した。
こうして、煩悩と穢れ、そして容赦のない筋肉痛が交錯する、合気武道部の波乱の夏合宿が、文字通りカオスな形で幕を開けたのであった。




