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魔術の授業1

レイヴンとの稽古から一日たち、今日は木の日。

一の鐘で始まった数学の授業が終わり、二の鐘から魔術の授業が始まる。

前世で読んでいたファンタジー小説に出てきた物語には、呪文を唱えるもの、魔法陣を使うもの、イメージで作りだすものなどいろいろな魔術が出てきた。

私が扱うことになる魔術はどんなものなのか、とても楽しみだ。


ところで、私は「魔力制御Lv.5」というスキルを持っている。

体が思うように動かない赤ちゃんだった頃に手に入れたスキルだ。

暇すぎて瞑想をしていた途中、血液の流れを意識してみたらこのスキルが手に入った。

なんだか役に立ちそうなので育てていたのだが、今のところどのような効果があるのかはよくわからない。

これまでお蔵入りだったこのスキルが役に立つ日が来たのかもしれない。


昨日の植物学と文学の授業は楽しかった。

植物学はどのような場所にどんな植物が生息するのか、どの植物がどのように役に立つのかなどを学ぶらしい。

冒険者には必須の知識だそうだ。

ノア父さんは私たちを冒険者にしたいのだろうか。

その割には所作や楽器の授業も教育に含まれているのだが。


文学は前世での国語とは違い、どんな表現が何を表しているのかを習うような授業だ。

要するに貴族としての教養を学ぶためのもの。

本来は文字の練習から入るところを、私と姉さんは基本の文字はすべて書けたのでそこから習うのだ。

授業が進めば詩作なんかも習うらしい。


数学の授業は今日のところは私と姉さんの基礎を確認するところまでで終了したが、渡された教科書を覗いたところなかなか難しそうなものもあった。

前世の中世ヨーロッパで数学のレベルがどのくらいのものだったのか。

詳しくは知らないが、「古代ローマの時代」なんて有名だったのだから発達していたのではないだろうか。

同じくらいとはいえ、この世界の数学のレベルがどのくらいなのか決めつけることはできない。

同じ問題でも解き方が違う・・・なんてこともあるかもしれないので気を付けておこう。

渡された教科書は植物学、文学の教科書と同じように、全て目を通して覚えておくつもりだ。


なにはともあれ今は魔術。

私はルル姉さんと並んで座り、魔術の先生を待っていた。

鐘の音とともに、先生が部屋に入ってくる。

魔術の先生は、かわいらしい若い女性だった。


「こんにちは。これからお二人の魔術の授業を担当するメリーと申します。よろしくお願いしますね。」

クリクリとした目に笑みを浮かべて、メリー先生が首をかしげる。

「「よろしくお願いします、メリー先生」」

私と姉さんが同時に挨拶した。

親しみやすい、優しそうな先生だ。


というかここにきて、初めて私たちを普通の子供として扱う人に会った気がする。

剣術の師匠であるレイヴンもその他これまであった先生たちも、この家の使用人たちの私たちのことを普通の子供とは扱わなかったからな・・・。

私も姉さんも確かに普通の子供ではない訳だが、このように扱われることが嫌なわけではない。

むしろ幼稚園児の先生にされるように優しくされるのは好きだ。

少なくとも私は。


姉さんは・・・どうなんだろうな。

一度成人してからこういう扱いを受けることには、どう感じるのだろうか。

まぁ、後で訊いてみるか。


「今日はまず、魔法と魔術の違いについて。それから、魔術はどのように使うのかをざっくり説明していきたいと思います。ですが、その前に自己紹介ですね。さっき言ったように私の名前はメリー。平民出身なので、姓はありません。本を読むことと魔術が大好きです。」


「ルル・フローライトです。絵を描くことが好きです。」


「ルナ・フローライトです。歌うことと、剣術と、それから本を読むことが好きです。メリー先生、あとでおすすめの本を教えてください!」


「ルルさんと、ルナさんね。ご両親から伺っていましたが、本当にしっかりした子ですね。それからルナさん。今度おすすめの本をお貸しします。ルルさん、絵がお得意なんですか?また見せてくださいね。」

この人はいい先生だ。

と、私の直感が言った。

生徒の話にこんなに耳を傾けてくれる先生は貴重なのだ。

悩める学生だった頃に鍛えられた私の先生を見る目に狂いはない。と、思う。


それにしても、メリー先生は平民出身なのか。

魔術を使うには高度な教育が必要なので、識字率も低い平民から出た魔術師が出るのは珍しいはずなのだが。

言葉遣いといい、平民の中ではお金持ちの商人の出身といったあたりだろうか。

優秀ではあるが出自の問題で魔術を活かした就職先が見つからない、という理由で家庭教師としてきてくれたのかもしれない。

父さんが選んだのだから、優秀なことに違いはないのだ。


「ではルナさん、ルルさん。指南書をお渡ししますから、最初のページを開いてください。」

いつの間にかメリー先生の隣には分厚い本が二冊置かれており、私たちれぞれに手渡された。

いよいよ、魔術の授業が始まる。

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