表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宮坂家ほのぼのカレンダー  作者: 文具屋太郎
36/47

宮坂家の雨の日

6月も終わりの日曜日。


「む~、暇じゃぁ~」

「暇だね~」

「ひ~ま~」

宮坂家のお座敷では、陽菜さんと美咲さんと颯太君が畳に並んで寝ころび、暇そうにゴロゴロしています。


このところ、梅雨真っ只中のおかげで、ずっと雨が降り続いていて、せっかくの土日休みに外に遊びにも出れず、家の中でするゲームとかの遊びやテレビにも飽きてしまった、宮坂家の小学生組の3人は暇を持て余しています。


他の家族は、文香さんは週明けからの中学三年の実力テストに向けて、自室にこもってお勉強中、宮坂お祖母ちゃんとお母さんは離れの裁縫室で子供たちの夏服や浴衣を作る縫い仕事中、宮坂お祖父ちゃんとお父さんは、蔵の中の整理整頓の仕事中と、それぞれ忙しいようです。


「しっかし、よく降るなぁ」

陽菜さんが寝っ転がりながら縁側のガラス戸越しに雨にぬれる庭を見て言います。

「なんか朝より雨が強くなってるね」

美咲さんも、庭を見ながら言います。

「雨やめ~雨やめ~」

颯太君、外に向かって何やら拝んでいます。


庭が霞んで見えるくらいの篠突く雨に、お手上げ状態の三人。ただぼーっと雨の庭を眺めています。


「あ、そうだ!てるてる坊主をつくろうよ!」

美咲さんがひょいと思いつきました。

「そうか、てるてる坊主か!」

陽菜さんも賛成。

「てるてる坊主作って、晴れるようにお願いする!」

颯太君も乗り気に。

三人はさっそく、お祖母ちゃんとお母さんのいる離れの裁縫室にどたどたと駆けて行きます。


「母ちゃんに祖母ちゃん!!」

陽菜さんを先頭に三人が裁縫室の扉を勢いよく開けます。

「こらこら、乱暴にドアを開けないの。どうしたの、みんな?」

元気よく入ってきた三人に、お祖母ちゃんとお母さんが聞きます。

「あのね、雨が止むようにてるてる坊主を作りたいの」

と美咲さんが答えます。

「てるてる坊主、つくって雨やむようにお願いするの!」

颯太君は両手を挙げて全身で作りたいアピール。

「ああ、てるてる坊主ね。確かにここ一週間くらい雨ばかりだもんね」

とお母さん。

「そうね、そろそろ晴れてもらわないと、洗濯物が乾かないしね。えーと端切れは」

とお祖母ちゃんもその気になり、クローゼットを開けて奥をごそごそ探り、大きな箱を出してきました。

「ほら、この端切れを使っていいわよ」

とお祖母ちゃんが箱のふたを開けると、お祖母ちゃんとお母さんが裁縫仕事をしたときに出た、大小様々な柄の端切れれがたくさん入っています。

「わぁ~いろんな柄がある。あ、この柄可愛い!!」

それを見た、可愛い物好きの美咲さんの目がきらきら。

「それじゃ、てるてる坊主の作り方教えてあげるわね」

と宮坂お母さんが、作業台の上を片つけながら言います。

「へ?学校で作ったけど、中に詰め物して、輪ゴムで止めればいいんじゃないの?」

陽菜さんがきょとんとして言います。

「そうね、一般的にはそうだけど、それじゃあんまり可愛くできないから、どうせなら可愛く作ってみよ?」

と言うと、お母さんは台所からコップやごはん茶碗などの様々な大きさの丸い物を持ってきます。


「いい、先ず見ていてね。ええと、最初、端切れを正方形にします。その時、なるべく、真ん中は柄が掛からないように。そこにお顔を描くからね」

お母さんが、花柄がプリントされた端切れを切ります。

「四角く切ったら、だいたいこのくらいの大きさの布なら、このくらいの大きさの器を使って、ふちに沿って円を描きます」

宮坂お母さん、布の中央にコップをあて、色のついたチャコで円を引いていきます。

「で、この円に沿って、玉結びをした糸でなみ縫いしていきます」

さすがお母さん、ちくちくと手際よく円に沿って縫っていきます。

「円を全部縫い終わったら、針の方の糸をちょっと引っ張って、少し絞ります」

陽菜さん、美咲さん、颯太君、思わず真剣に見ています。

「で、この中に綿を詰めて、後はうまく丸くなるように形をきれいにしながら、糸をもっと引っ張って、最後はこんな風に縫い留めます」

お母さん、きれいにてるてる坊主を作り上げます。

「「「おおお!てるてる坊主だ!!」」」

子供たち、お母さんを尊敬のまなざしで見ています。

「あとは頭に吊るす用の糸を縫い付けて、サインペンで顔を描いて出来上がり」

お母さん、サインペンでてるてる坊主の顔にスマイルマークをかき込み、可愛いてるてる坊主が完成。

「おお、可愛い!」

「布の柄がひらひらのところにきて、ワンピースを着てるみたい!」

「いいな!いいな!ぼくも作る!!」

陽菜さんに美咲さんに颯太君、思っていたのより、はるかに可愛いてるてる坊主に大興奮。さっそく自分たちでも作ってみることに。

陽菜さんは、引いた円の線よりはみ出したり、縫い目がバラバラだったりしていますが、それでも上手に作ります。

美咲さんは、子供たちの中で一番器用なので、次から次へと作ってゆき、さらには黄色いフェルト地を使って冠まで作って頭に付け、レースの端切を使ってドレスの様にして、お姫様のてるてる坊主まで作っています。

颯太君は、初めて針を持ったので、危なくないよう宮坂お祖母ちゃんが手を取りながら一緒に作っていきます。


「できた!!」

三人合わせてたくさんのてるてる坊主ができました。

ちんまり、小さく可愛いのは颯太君作。

大笑いしている顔やおどけたような顔、ニヒルな笑いを浮かべた顔と、表情豊かなてるてる坊主は陽菜さん作。

お姫様に、王子様、てるてる坊主なのにおかっぱ頭だったり、猫耳や兎の耳が付いていたりと、アレンジしまくりのは、美咲さん作。

どれもこれも、個性的で可愛いてるてる坊主、力作ぞろいです。


「さ、できたら縁側の軒先に吊るそうか」

宮坂お祖母ちゃんが言い、みんなで母屋の縁側へ。

背の高いお祖母ちゃんとお母さんが、軒先に渡した竹竿に、たくさんのてるてる坊主を吊るしていきます。


軒先にずらっと並んだてるてる坊主。

「どうか、雨が止みますように」

「お日様出てきて!」

美咲さんと颯太君がてるてる坊主に手を合わせてお願い。

「アホヤ~~!!ズンドコズンドコ!!」

あ、陽菜さん、それ日曜日の夕方にやってる、座布団を取り合う人気お笑い番組で、黄色い着物のお祖父ちゃんがしている、雨乞いのマネ・・・

「「「「って、雨乞いじゃだめじゃん!!」」」」

陽菜さん、みんなからツッコまれています。


「なになに、みんな何騒いでるの?あ、てるてる坊主!」

と、勉強の一息入れようと二階から文香さんが降りてきました。

「へ~、あ、このてるてる坊主、小さくてかわいい!」

「それ、ぼくが作ったんだよ!!」

「これ、王子様にお姫様?きらびやかだね」

「それ私が作ったの」

「うわ!なんだか変な顔のてるてる坊主がいっぱい。・・・うえっ!この鬼の顔、妙にリアルだなおい」

「うん、それ姉ちゃんをモデルにして作った・・・痛て!!」

文香さん、みんなの作ったてるてる坊主を鑑賞(一人を制裁)していきます。


「ふ~やれやれ、終わった。お!てるてる坊主か」

「これはまた、たくさんですね」

蔵の整理を終えたお祖父ちゃんとお父さんもやってきます。


「あら、もうこんな時間」

お母さんが柱時計を見るともうお八つ時。

「さ、みんなそろったし、お八つにしましょ。今日はケーキあるからね」

「「「「ケーキ?やったー!!!」」」」


家族そろって、賑やかにみんなでおやつ。


「ふー食べた―!」

ごろんと寝ころぶ陽菜さん。

「こら、食べてすぐ寝るなんて、お行儀わるいでょ」

姉と言うより、お母さんの様に陽菜さんを注意する文香さん。

「ケーキ美味しかったね。あ、颯太口の周り」

「うーん」

颯太君の口の周りについているケーキのクリームを、ティッシュで拭ってあげる美咲さん。

そんな子供たちのやり取りを、二へェ~と、若干緩んだ顔でみる祖父母と父母。

何とものんびりな時間が流れていきます。


「あ、雨やんでる」

ふと外を見た文香さんが言います。

子供たちは縁側に駆け寄ります。

「あ!本当。青空が出てきた!!」

「わ~い!!」

美咲さんと颯太君大喜び。

「ふふふ、さすが鬼顔姉ちゃんのてるてる坊主。雨雲も恐れをなして逃げたか・・・あ痛た!!!」

陽菜さん、文香さんに再び制裁されています。


みんなで雨上がりの庭へ。

「あ!!にじー!」

颯太君が東の空を指さします。そこには二重に重なった鮮やかで大きな虹が。

「どれどれ」

「本当だ」

「わー綺麗だね」

三姉妹も空に架かるでっかい虹に大感動。


そんなこんなで、梅雨時も賑やかな宮坂家。


もうすぐ梅雨も終わり。きらきらな夏がやってきます。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ