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宮坂家ほのぼのカレンダー  作者: 文具屋太郎
26/47

宮坂家の春休み2

三月の最後の日曜日。


今日は宮坂家は一家でお出かけ。行き先は、この街でも一番大きいショッピングセンター。


「颯太、筆箱どれがいい?」

「う~んとえ~と、う~ん、これ!」

宮坂お母さんに聞かれ、まるでテレビでなんでも鑑定するおじいさん並に、上下左右斜め横まで吟味して、筆箱を選ぶ颯太君。


今日の主な目的は、颯太君の小学校入学で必要な学用品その他をそろえるお買いもの。ちなみにランドセルは、すでに宮坂お祖父ちゃんとお祖母ちゃんがピカピカの新品を買ってくれてあります。


「え~と、筆箱、鉛筆、赤鉛筆、消しゴム、はさみ、でんぷんのり、色鉛筆に、クレパスと、直定規。良し文具はこれくらいかな」

宮坂お母さんが、学校から送られてきた新入学生用の持ち物リストを見ながら言います。

「ノートは?」

颯太君と手をつなぎ、先輩としていろいろ学用品を一緒に吟味している美咲さんが聞くと、

「入学してから、教科書と一緒に配るみたい」

と、念入りにリストを確認しながらお母さんが答えます。


一方、

「しかし、最近の文房具店てすごいわねぇ、いろいろカラフルな商品があって」

私たちも買いたいものがあると言う、文香さんと陽菜さんについて歩く、宮坂お祖母ちゃんが驚いたように言います。

「私たちが子供の頃と大違い。特にこの消しゴム、本物のお寿司やお菓子みたいにできてるのねぇ。間違って食べちゃいそうなくらい。このペンはラメ入りなのね、書くときらきらして可愛いわぁ~~」

普段は、仕事関係の事務用品を通販カタログで買う宮坂お祖母ちゃん、見たことのない文具に目がきらきら。

その横では、文香さんと陽菜さんが

「え~と、これは5冊くらい買わないと」

「えええ~そ、そんなにぃ~」

なにやら、品定めをしています。

それに気づいた宮坂お祖母ちゃん。

「あら、なに買うの?ああ、白文帳。懐かしいわねぇ。私も使ったな~、まだあるんだ」

と文香さんが手に取っているものを見て言います。

「白文帳、こんなに買うのね、やっぱり、文香ちゃんは良く勉強するのね」

とお祖母ちゃんが言うと、

「違う、これは陽菜に使わせる分。全く、陽菜ったら漢字も苦手なんだから」

と、ぷりぷり答える文香さん。

白文帳とは、ここら辺の地方の学校で、戦後間もなくから漢字の書き取りに使われている、表紙が黄土色で縦マス配置のA5サイズほどの漢字練習帳。主に中学校で使用しています。

「陽菜、いい?6年生になったら、この白文帳に、毎日、最低でも2ページずつ漢字の書き取りをするように!」

「え~、白文帳って、中学から使うやつじゃんかぁ~」

「そんなことはどうでも良いの!陽菜、あなたってばテストの時、自分の名前間違って書いて、名前欄までバッテンもらってたじゃないの!これから小学校の漢字の総勉強をするからね!!とりあえず書いて覚えるのみ!!毎日見てあげるからね!!!」

「うぇ~~ん、姉ちゃん勘弁してぇ~!」

陽菜さんの、魂からの嘆願がむなしく店の中に響いていました。

「陽菜、ファイト」

宮坂お祖母ちゃんがにっこりと陽菜さんに声を掛けました。


「え~と、靴入れと体操着入れと給食袋と道具箱入れと防災ずきんは、私とお祖母ちゃんが作ってあるから大丈夫だし、体操着と上履きは、学校指定のをもう買ってあるし、あ、あと雨具、傘と雨合羽買わなきゃ。それに、防犯ブザーに、通学用の靴と」

「くう~、こ、これは沢山ですねぇ~~」

「確かに・・・手がのびそうだ・・・」

買った物を宮坂お母さんから次々渡される、荷物持ち担当の宮坂お父さんとお祖父ちゃんの男性陣は、大量の荷物ですでに限界状態。


開店から午前中一杯を使って、颯太君の新入学用品の買い物と、ついでの日用品の買い物がようやく終了。とりあえず、あまりの荷物の重さに、男性陣がプルプルしているので、買った物を駐車場に止めたミニバンに置きます。


午前中、連れまわされ

「ふう~、いや重かったなぁ」

「手のひらの感覚がないですよ」

とぼやく男性陣に、

「なに軟弱なことを言ってるの、この程度で」

と、冷ややかな顔の宮坂お母さんとお祖母ちゃん。確かに、文香さん達がまだ小さい頃、二人の手を引き、一人を背負って、もう一人を抱っこして、そんな体勢で日々の買い物をしたこともあるつわものの女性陣二人なので、

「「う・・・」」

なにも言えなくなる男性陣。


荷物をミニバンに置き、

「やれやれ、ようやく昼か、みんな何を食べたいんだい?」

と宮坂お祖父ちゃんが聞くと、

「XXXXX寿司~!!!!」

子供たちが、ショッピングセンターの中にある某有名回転ずし屋さんの名前を言います。

「うん?回転寿司で良いのかな。今日はお祖父ちゃんがごちそうしてあげるから、もっとほかのものでもいいんだぞ?」

と、若い時から遊び尽くすと共に、それ以上に働き尽くして、今でもあれやこれや、片手間で結構稼ぐ、それなりにお金持ちのお祖父ちゃんが言いますが、

「あそこは、いろんなの食べれるから~」

子供たちは、回転ずし屋さんが良いようです。


回転ずし屋さんに入り、一家8人なので、二つのテーブルに分かれて座ります。いつもだったら、席が離れることもありますが、今日はたまたま運よく隣同士の席。


宮坂お父さんお母さん、文香さん、陽菜さんの席では、

「よし!最初はらーめん!!」

回っている寿司を無視して、いきなり特製ラーメンをオーダーする陽菜さん。

「い、いきなりラーメンて・・・、ここ、お寿司屋さんなのよ」

呆れる文香さん。

「うん?ラーメン食べながら、お寿司食べるから、先に注文しとかないと」

当然の様に言う陽菜さん。

「うわぁ~い、炭水化物いっぱいだぁ。って、それでなんで、あなたはそんなにスタイルいいのよ!!」

思わず本音の叫びをあげる文香さん。さすが思春期。

「あら、良い取り合わせね。私もラーメン頼もう」

という、宮坂お母さん。

「うわぁ~い、炭水化物・・・・以下同文」

と、宮坂お父さんも自分の奥さんに対して言うしかありませんでした。


一方、こちらは宮坂お祖父ちゃんお祖母ちゃん、美咲さん颯太君の席。

「颯太、次は何がいいかな」

宮坂お祖母ちゃんが、颯太君に聞くと、

「玉子!!」

と答える颯太君。お祖母ちゃんは、玉子の握りを取り、

「はい颯太、あ~ん」

「あ~ん。あむ。おいしい~」

颯太君に、あ~んして食べさせてあげています。

「ほら、美咲も、あ~ん」

「あ、あ~ん」

お祖父ちゃんは、美咲さんにあ~んしてあげています。4月から4年生、小学校高学年の仲間入りをする美咲さん、お祖父ちゃんのあ~んが少しずつ恥ずかしくなってきたようです。


「そうそう、あなた、帰りは私が運転していくから、父さんと一緒にビールでも飲めば?」

にっこりと宮坂お母さんが言うと、

「い、いや、今日は遠慮しときます。ね、お義父さん」

「お、おう。今日はやめておこう。明日仕事があるしな」

と、冷や汗を流し、引きつった顔で答える宮坂お父さんとお祖父ちゃん。


一月の連休、その一言で、大変な目にあった思い出が頭をかすめます。


「あら、そうなのね」

と言うお母さんとお祖母ちゃんが、

「ち、残念」

と、小声で続けていったのは、お父さんとお祖父ちゃんの耳には届かなかったことになったようです。


ともあれ、新年度に向け、忙しくも賑やかで楽しい、宮坂家の春休みの一日となりました。



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