宮坂家の豆まき
今日は二月三日 節分です。暦の上では冬は今日まで。明日からは春となります。
まだまだ寒い日が続いていますが、気が付けば日がだいぶ長くなっていることに気が付く頃になりました。
ひと月前なら真っ暗だった空も、まだ仄かに明るさが残るようになった、夕方6時。宮坂お父さんも定時退社をし、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんも来た、一家8人そろった宮坂家。
「さて、みんな準備できましたか?」
「は~い」
「では、しゅっぱ~つ」
宮坂お父さんの号令で、宮坂家一同は家を後にして、近所にある、氏神様の神社さんへ。
氏神様の神社では、毎年節分の日には午後6時半から節分祭がおこなわれ、宮坂家は毎年参詣しています。
小さい境内は、近所の氏子さんや一般の参詣者の方々がかなりの数来ています。
先ず、本殿の前で二礼二拍手一礼でお参り。本殿で行われる追儺式をみて、本殿の上から神職さんのお祓いを受けます。
そして、いよいよ福豆まき式。本殿上の神主さんと氏子総代さんが笊に入れられた袋入り豆の他、みかん、紅白お餅、駄菓子、福銭、小ダルマ、商品券などなどを参詣者に蒔きます。
「鬼はそと〜福はうち〜」
掛け声と供に蒔かれる福豆を、みんな押合いへしあい拾います。
宮坂家は、背の高いお祖父ちゃんお祖母ちゃんは、みんなの頭上で、空中キャッチ。お父さんも、器用に飛んでくるのをキャッチ。
お母さん、文香さん、美咲さん、颯太くんは、人混みの後ろで、みんなが取り損ねてこぼれてくる福豆を一•二個とって、満足そうに、にっこり。
そして、宮坂家で一番拾い集めたのは、やはり陽菜さん。持ち前の運動神経で、本殿前に殺到するおば様軍団に、するすると潜り込み、足元に落ちてくるものを集めてきます。ただ、残念な事に食いしん坊の陽菜さん、駄菓子とみかん、紅白お餅ばかり拾い、すぐそこにある商品券の入っている熨斗袋には目もくれません。
豆蒔きが終わり、家族集合。ありがとうございましたと神様に手を合わせ、みんなそれぞれ戦利品の見せ合い。
「う〜ん、惜しかったなあ、商品券の熨斗袋、手を掠めたのになあ。今年も、ためだったか、残念」
もうちょっとで、一万円相当の商品券の入った熨斗袋を掴み損ねたお祖父ちゃんが惜しがります。
そんなお祖父ちゃんのぼやきに、かき集めた駄菓子を、すでに頬張っている陽菜さんが、
「そういえば、大きなお年玉袋みたいなの、落っこちてたなあ」
と、のんびり言と言います。
「え!?それ拾わなかったの?」
それを聞いた、文香さんが思わず、詰め寄ります。
「へ?あ、ああ、だって袋拾ったって食べられないじゃんか」
と言う陽菜さんの答えに、揃って脱力する宮坂家一同でした。
家に戻り、今度はお家の豆まき。
部屋数、離れも合わせ12部屋。何気に大きな宮坂家。お祖父ちゃんお父さんが、お祖母ちゃんが昼間に炒った豆を入れた一升桝、子供たちは可愛く一合枡を持ち、お祖母ちゃんお母さんはそれぞれすりこぎを手に持って、いざ豆まき。
「鬼はそと~福は内~」
お祖父ちゃんお父さんと子供たちが大きな声で豆をまき、
「ごもっとも、ごもっとも~」
とお祖母ちゃんとお母さんが手にしたすりこぎを振って合いの手を入れます。
すべての部屋と玄関にお風呂にトイレと、家じゅう余すことなく豆をまき、悪い鬼さんにはお引き取りを願います。
「・・・ところで、あなたはなんで私に豆をぶつけるの?」
お母さんが、にっこりとお父さんに聞きます。
「だって、鬼嫁・・・いてっ!!」
スパ~ンとすりこ木でぶっ叩かれるお父さん。
まあ、毎年恒例の夫婦漫才ですが、おかげで家族の笑い声が響く、節分の夜となりました。
明日は春分。本物の春はまだまだ先ですが、宮坂家はもう春の様にポカポカです。




