96:お邪魔します
内面は乙女なんですよ。
いくら逃げられないとはいえ連絡報告相談のいわゆるホウレンソウというのは大事なことだ。
ママにラインでお友達の家にお泊りすると連絡するとなぜか泣き顔の絵文字が返ってきた。
喜んでいるのか悲しんでいるのかよく分からないがおそらくは喜んでいると認識しておこう。
「くっ・・妹たちがお泊りなんてどんな天国なのでしょう!私も許可が下りれば泊まるのに!」
どこから話を聞いてきたのか委員長がまるで血涙を出しそうな程悔しんでいた。
どうも家の制約が厳しいとのことで流石にお泊りの許可は下りないとのこと。
委員長的にはお気に入りの俺とサキがいる空間にぜひとも飛び込みたいのだが家の都合を断ることは難しいらしい。
後日写真を送ることを強制的に約束され習い事に参加するためにとぼとぼと帰っていった。
「相変わらずだね~委員長は。ま、僕らには関係ないし早く帰ろうか!」
にこやかに手を振って俺の手を引いて下駄箱に向かうルナ。
下駄箱でサキと合流して4人で歩きながらサキたちの家に向かう。
アカリも顔には出していないのか楽しみなのか足取りが少し軽く感じる。
「お義母さんから冷蔵庫にあるのは好きに使っていいって言われてるから買い物はいらないかな」
「でもお菓子とか飲み物は買っていこうよ!」
というルナの一言で帰り道の途中でコンビニに寄ってから目的地に到着する。
サキとアカリの家はこの間訪れた喫茶店の近くにあった。二階建てのこじんまりとした家だがその庭は丁寧に手入れされた花壇が出迎えている。
「綺麗に整えられていますがこれは誰が?」
色鮮やかな花を眺めながら疑問を口にするとサキが気まずそうに顔を反らす。
「お姉ちゃんの趣味なんですよ。お義母さんもお義父さんもそういうこまごまとしたのは苦手なんで」
「あぁーまあ似合わねーと思うけどこういうの嫌いじゃねーんだわ」
アカリとかがやっているのかと思ったがサキは意外と少女趣味らしい。
「素敵な趣味じゃないですか。とても可愛らしいですよ」
素直に褒めているのに顔を真っ赤にしながら睨みつけられるのは理不尽じゃないか?
「たっだいま~。いや~落ち着くわ~」
乱暴に靴を脱ぎ棄てながら勝手知った間柄のルナがそそくさと室内に入っていく。
「もう、ルナちゃんお行儀が悪いよ」
ルナの脱ぎ散らかした靴を丁寧に並べながらアカリが入っていくので俺とサキもそれに続く。
清掃が行き届いた玄関口には大きな水槽が置かれており、大きなアロワナが一匹悠然と泳いでいる。
「こういうのはおふくろの趣味だ。だいたい何かしらのペットはおふくろが買ってきて世話している」
靴を脱ぎながらアロワナに餌を手慣れた動きでやりながらサキが説明をしてくれた。
未だ顔を合わせていないがあのお義父さんのことを考えると癖の強そうな感じがして否めない。
丁寧に靴を揃えながら先に入っていった3人を追いかける形で俺もまた室内へと足を踏み入れていった。
サキは言動はがさつですけどこの中で一番乙女な感じです。




