95:お宅訪問
女子会って楽しそうですね。
俺は現在大変な危機に瀕している。と文字にかけば大変な問題が起きているように感じるだろう。
だがもって実際はどうなのかというと現在アカリとサキの家にいる。
もっと正確に言えばサキの部屋に足を踏み入れている。
普段のがさつな行動に反して部屋はかなり整理されており、たくさんの本に囲まれているあたりアカリとの血のつながりを感じられる。
どうしてこうなったのか・・・時間は今日のお昼まで遡る。
先日の調理実習の話をしながら昼食を取っている時に急にアカリがこんな話を振ってきた。
「そういえば今日はお義父さんもお義母さんも家を留守にしてるんだよね?」
サキの方を確認するかのように喋った一言で今回の問題に発展する。
サキは小さくうなずきアカリの質問に肯定の意を返す。
「確か昔の同窓会だとかなんだか言ってたな。普段はめったに出かけねーのに今回はめっちゃ気合入ってたな」
サキとアカリの両親はすでに亡くなっていて、現在は母親の妹であるお義父さんと同性婚しているお義母さんに引き取られているという話は前に聞いていた。
「ありゃ、さきっちの所もそうなの?僕の所もママが同窓会でパパは飲み会でいないんだよね~」
口寂しさを紛らわすために飴玉を舐めながらルナもその会話に参加する。
「まあルナのおっかさんは義母さんと同級生だからそりゃそうなるだろうさ」
幼馴染と聞いていたがどうもそういう関りがあるせいでより親しくなったようだ。
「お義母さん出不精だから泊まりとか旅行とか好きじゃないんだけど今回は場所も遠いから泊まりで行くって出かけて行ったもんね」
同窓会というものの記憶が曖昧なのだがそんなものなのだろうか?まあ昔の友達に会えるから楽しみだという気持ちも分かる。
大人になれば近くに住んでいない限り昔の友達に会う機会なんてこんな場合じゃなければ一生ない可能性だってあり得るのだから仕方ない話だ。
「というわけで~、さきっちとあーちゃんの家にお泊りしに行くぜ!」
きりっとした良い笑顔を浮かべるルナといつものことなのか大して反応を示さないサキ。
「ルナちゃんのお母さんからも頼まれてるから問題ないよ。ふふ、こういうのは楽しいね」
そんな光景を眺めているとやっぱり年頃の少女らしいなと思う。こういう友達の家に泊まるというシチュエーションはいくつになっても憧れる話だ。
そう穏やかな気持ちで眺めている俺の肩をサキはがっしりと掴んでいる。
「というわけでお前も強制参加な」
「・・・へ?」我ながら情けない声が口から零れ堕ちてしまった。
「さっすがさきっち話が分かるね~。にっしっし、今日は楽しい女子会だよ~」
「む、無理に誘ったらかわいそうだよ。でも参加してくれると嬉しいかな」
どんどんと逃げ道を潰されているのを感じる。やばい、どうごまかせばいい。
「さ、流石にパパとママに連絡しないとお泊まりは許してくれないかな」
いくら娘に激アマと言えどもだ。あの娘馬鹿であるパパが簡単に頷くとは思えない。
いい理由が思いついたと思っていると俺の携帯がラインの通知を告げる。
家族ラインの画面にはパパからの謝罪の絵文字とママからの連絡が入っていた。
『パパを連行してお友達に会ってくる。明日の朝には帰るからいい子でお留守番しててね』
悲しいかなこういう時に限って物事は都合のいい方にばかり流されていく。
「これで問題はなくなったわけだ。もちろん一人で留守番するとか言わないよなぁ~?」
こちらを見つめるサキの顔がまるで死神のように感じる。
圧を感じるほどの笑顔を見て断ることなんてできず俺は静かに頷くしかできなかった。
定番と言えば定番のお泊り会です。
ルナはたびたびサキとアカリの家に預けられているので家族ぐるみで仲良しです




