94:にんきもの
無事に終わってよかったね
あの後結局料理実習自体は問題なく無事に終わることができた。
他の班では焦げたり、焼きが足りなくて半生だったりして無事に出来上がった作品は少なかったと聞く。
こちらの班に関してはそんな事故のようなことがなくお手本通りの作品が出来上がったので凪咲先生もご満悦だ。
「やっぱり料理ができる子がいると安心できますね~」
褒めているが俺の方にだけ視線を向けているので他の3人に関しては減点らしい。
いやルナも手際だけを見れば優秀なのだがどうもレシピ通りにやるのは不満らしい。
そういうアレンジというのは基礎をしっかりとこなせる優秀な奴がするもんだ。下手なことをやったら目も当てられない失敗作が出来上がってしまう。
「結局最後はユイさんがほとんど作ってしまいましたわね。くっ、妹の手料理は嬉しいけど姉としての威厳が・・・」
委員長が頭を抱えているがその内容には同意できかねない。まだこいつは姉の座を諦めてないらしい。
「お姉ちゃんも手際よかったけどユイちゃんもすごかったね。」
アカリの場合その行動に悪意がないせいで怒るに怒りきれない。今も次からはもっと手際よくするねと張り切っている。
前向きなところは良いところだがしばらくの間はサキに犠牲になってもらおう。心の中でサキに敬礼をしておく。
「おいしいのはおいしいけどやっぱ物足りないんだよね~」
ルナは不満げに手に持っているクッキーを口の中に入れる。こいつの行動は突拍子がなさすぎる。
ギャンブルのようにうまい料理を作るかとんでもない失敗作を作るか想像ができない。
自由行動ならともかく授業なのだからそんなギャンブルに付き合う義理はない。
「まあ無事に終わったのなら良いじゃないですか。」
そうルナに返答すると鼻を鳴らしながら俺の周囲をぐるぐる回る。本当に犬みたいだなこいつ。
「すんすん・・・はーちゃんから良い匂いがする。これは何か隠しておるじゃろな!」
やめろ指さすな。というかなんで分かるんだよこいつ。
ため息をつきながら机の上に4つの小さな袋を取り出しそのうち3つを3人に渡す。
「お土産というものです。量が少ないのは勘弁してくださいね」
ルナにはチーズクッキー。アカリにはチョコクッキー。委員長にはミルククッキーが6枚ほど入っている。
委員長の最初の失敗とアカリの準備で結構な量余ってしまったので在庫整理もかねて作った代物だ。
ちなみに最後の一つは当然サキのものである。これでサキだけ何もなしは流石にかわいそうだしな。
袋の中身を確認した3人はしばらくぽかんとした顔をしていたがやがて思い出したかのように我に返る。
「私の妹はなんて良くできた妹なんでしょう。お姉ちゃんこんないい子でとても嬉しいわ」
誇らしげな顔をしているが断じて妹ではない。
「料理もできてお勉強もできてずるいよユイちゃん」
顔を真っ赤にして嬉しそうな笑みを浮かべながらアカリは答える。
「はーちゃん好き!結婚しよ!」
そしてルナはド直球が過ぎるぞ。もみくちゃにされながら調理実習の終わりを告げるチャイムに耳を傾ける。
できれば次はもう少し静かな授業になってほしいとかなわない願いを祈る。
なお次回から俺を自分たちの班に入れようとする争奪戦が始まることになったとだけ告げておこう。
どうしてこうなった・・・
なおサキに渡したところ良い嫁さんになりそうとか言われます。
その返答で貰ってくれるの?と返して修羅場になったとかならなかったとか




