92:調理実習
レシピ通りに作りましょう
学生の授業というものはただ机に向かって勉強するだけのものではない。
たまには実習として自分たちの力で作品を作り上げることもある。何が言いたいかというといわゆる調理実習というやつである。
「やっぱこういう体動かす授業ばっかの方が気分的に楽なんだよねぇ~」
普段の授業よりも元気そうに見えるルナが背伸びをしながら楽しそうな笑顔を向ける。
最近は多少は授業をまともに受けるようになったがやはり体を動かす方が何倍も好みのようだ。
「こういうちょっとした料理って楽しみだね」
アカリもルナに釣られてか普段よりも少しだけテンションを上げて返答する。
周りを見れば多くの生徒が和気あいあいと料理の準備を進めている。
中央の教壇では凪咲先生がニコニコと笑みを浮かべながらそんな生徒たちの様子をうかがっている。
「まあ今回は皆さんの腕前を確認するために簡単なクッキーとのことですからそうそう変なことにはならないでしょう」
4人一組で班を作らなければならない関係上俺、ルナ、アカリ、委員長の4人組で現在準備を行っている。
言っている内容はまともなのだが相変わらず委員長は俺を見ながらにやにやと嫌な笑みを浮かべている。
どうも俺のエプロン姿を見れてご満悦の模様だ。如何せん今回の班決めに関しては壮絶なじゃんけん合戦があったことをここで言っておこう。
それの勝者である委員長は周りの生徒に自慢するかのように俺の頭を撫でているのは勘弁してほしいものだ。
「というか皆さん結構余裕そうですけど料理とかされるんですか?」
一応始める前に全員の腕前というのを確認しておくべきだろう。
「ん~まあぼちぼちかな~。普通の料理はするんだけどお菓子は食べる専門だから!」
少し自信なさげにルナが答える。まあこいつの場合は作るより食べる専門になってもおかしくはない。
「お姉ちゃんはよく料理するんだけど私はあまり・・・もう少し料理するべきなんだけどね」
苦笑いしながらアカリが自信なさげに材料に視線を向けている。サキは本当に器用というかなんというか口調以外は本当に女子力が高いんだな。
最後に確認するように委員長に視線を向ければ静かに視線を反らして遠くを見つめる。
「良いですか。お料理なんてものはできる人にやらせるものなんですよ」
さっきまで自信満々だったがどうやらそれは虚勢だったらしい。アカリと一緒になって今日の作業手順を何度も確認している。
「なるほど。まあそんな難しい内容ではないので安全第一で行きましょう」
俺自身お菓子製作の経験というのはそこまで多くはない。だが料理なんてものは手順通りに作れれば食えない代物が出来上がることはほぼないはずだ。
彼女たちとて不器用ではないので問題にはならないだろうと思っていた。
だがそんなのは机上の空論だということをこの後俺は痛い程思い知ることになるのだった。
料理にしろ作品作りにせよ説明書通りにやれば失敗は少ないです。
ただこういう場合どうしてもアレンジするような方々に注目が集まってしまうものです




