88:学生の本分
能力の高い変態は厄介ですね
学生時代の勉強というものに関してよく大人になってから使わないなんてことをよく聞く。
そりゃ俺だって社会に出たときに証明やら作者の気持ちなんて考えることはなかった。
何が言いたいかと言うと目の前でその勉強に関して呪詛を放つルナをどう説得するか頭を悩ませているというのが現状だ。
早く目覚めてからの日常に関してはたいして大きな変化はなく過ぎていく。
ママとパパは相変わらず優しいし、ルナやアカリとも親しく過ごしている。委員長は相変わらず俺を妹にしようと画策している。
平和だと思いたい。少なくとも最後の存在に関してはノーコメントでいた方が俺の精神衛生上良い。
だがいくら逃げ続けても昨日してしまった浅はかな約束のせいで俺は今危機に瀕している。
「ふふ、多少邪魔はいますけど大変満足です。毎日こうでもいいですね」
なぜか俺を膝の上に乗せながら委員長はご満悦な表情を浮かべている。
流石に食堂で食事を行うのは勘弁してほしかったので現在は中庭にシートを敷いてそこで昼食をとっている。
本日の昼食の為にやけに高そうなフルーツサンドを用意した委員長にお昼のチャイムと同時に連行されて現在の状況になっている。
目の前では午前の授業でもはや風前の灯となったHPを買ってきた総菜パンで回復しているルナの姿がある。
食事の合間に勉強に関する呪詛を投げつけるのは勘弁してくれ。
その横に座ったアカリは委員長の膝の上に座る俺を憐れむような顔でおにぎりを頬張っている。
なお近くにはいないがサキはこんな俺の姿を見て爆笑してやがったので後で覚えていやがれ。
「恥ずかしいので降りても・・・」
「ダメです。妹は姉の膝の上で食事をする!常識ですわ」
確認するようにアカリを見るが慌てた様子で激しく首を横に振る。まぁサキがしている姿は想像できない。
「アカリさんのお姉さんも良い妹になりそうでしたけど今はユイさんに専念いたしませんと」
良い妹ってなんだそれは。さすがのアカリもドン引きしているぞ。
「余裕そうにしてるけどいいんちょーもうすぐテストなんだけど大丈夫なの?」
ようやく一息ついたルナがカフェオレで喉を潤しながら声をかけてくる。
「あんなもの普段からしっかり予習復習をしていれば余裕ですわ。それに姉として妹には良い姿を見せませんと」
内容は立派なのに後半がすべてを台無しにしている。どうしてこうなったんだ。
「む~・・・あーちゃんは頭良いし僕の味方ははーちゃんだけだよ」
後ろの委員長、前のルナに挟み込まれて身動きができない。やめい、暑苦しい。
「ルナちゃん勉強苦手だもんね。でもあんまり点数悪いと夏休みが潰れるって話だよ」
「そう!それが大問題なんだ!だからこそ僕は提案する」
勢いよく立ち上がりずびっとアカリに指をさす。
「勉強会をしよう!はーちゃんは強制参加ね!」
そしてついでのように強制参加の俺。慰めるかのように緩んだ顔で俺を撫で続ける委員長の行動を止めることもできないまま俺は一つため息をついた。
新章突入です。




