9:覚悟あるいは逃避
いつからか恥ずかしくて見れなくなったあのアニメ。
今もそれを見ることはできないがいつかはまた見れるようになるんだろうか。
休日の朝にやっているアニメをふと思い出した。
アニメの中で変身した少女たちが悪人を倒していくよくあるものだ。
昔は見ていた記憶があるが今はいつの間にか見なくなったそんなアニメだ。
なぜ今それを思い出したかと思えばそれは今の現状がまさにそれだからだ。
黒い髪を短く切りそろえた少女が身の丈よりも大きな剣を振り回してタコの足を切り落とす。
金色の髪を無造作に結んだ少女が腕にまとったガントレットで槍をぶん殴りタコに刺していく。
青色の髪の少女が杖を構えればその杖の先端から風が吹き荒れ彼女たちを襲おうとする敵を切り刻む。
日中に写すにはすこし過激であるがそれでも彼女たちは懸命に敵に立ち向かう。
まるでアニメの中に入り込んでしまったかのような光景が広がっている。
観客であれば喜ぶべきだが実際に参加するのはごめん被る光景だ。
「・・・すごい光景だな」
そんな子供の感想が口からでるくらいには現実感がない。
「彼女たちが戦って勝ってきたからこそ君らの世界は平和なんだ」
「誰にも知られることなく、傷つき、迷ってきた彼女たちの犠牲の上で君らの世界は成り立っているんだ」
「誰に褒められることもなく、感謝されることもなく彼女たちは戦っているんだよ」
攻めるかのようなラクーンの言葉に、
俺は((私は))拳を握りしめた。
「・・・なんで彼女たちなんだ。どうして彼女たちだけが傷つくんだ」
怒りにも悲しにも似た言葉が口から零れ堕ちる。
理不尽だ。子供たちだけが戦うなんてのは。
これが映画や物語ならそういうものだと受け入れるだろう。
だが現実で苦しんでいる少女を見て見過ごせる程非情にはなりきれなかった。
「彼女たちには戦う力があった。資質があったせいだよ」
「僕に言わせれば一種の呪いであり祝福だけどね」
戦いから目をそらすことなくラクーンは呟く。
「今までは彼女たちは勝ってきた。だがこれからはそうじゃないんだ」
「負けたら終わりの綱渡りで、彼女たちは綱から落ちかけているんだよ」
それはどういう・・・と口に出しかけたところで戦場に動きがあった。
順調に戦っていると思われていた彼女たちだが一転して押されている。
いくつも落としてきた筈の足がいつの間にか再生し彼女たちを追い詰めている。
ジリ貧でしかない・・・この現状は長くは続かない。
彼女たちの顔には焦りが浮かび、表情がないはずの侵略者には笑みが浮かんでいるとさえ感じる。
「このままじゃ彼女たちは負ける」
「負けたら彼女たちは死ぬんだ。世界に知られることなくね」
そういって戦場から視線を反らして俺の目をじっと見る。
「だから君の力が必要なんだ。彼女たちを救う力を持つ君の力が」
「お願いだ。彼女たちのヒロインになってくれ」
ラクーンはそう言って頭を下げるのだった。
今日はもう1ページだけ続きます。
下書きもなく一気に書き連ねてまいります。
どうかこの物語を見守ってください




