8:前進あるいは後退
いきなりのボス戦なんてものはイベントだけにしてほしいものだ。
レベル1で戦うのはただの縛りプレイでしかないのだから
「あれはただの暴力装置さ。ただ思うままに暴れまわる」
「ここでの影響は君らに影響を与えないが、あれだけは例外だ」
恨み、怒り複雑な感情を秘めた瞳で侵略者を見つめながらラクーンは呟く。
「あれを放置し続けるとやがてこの世界から出ていく・・・君らの世界にね」
その光景を想像して血の気が引いていく。
あんな化け物が暴れまわればどれだけの被害に襲われるのだろうか。
軍隊が出てくるまでにどれだけの人が死ぬのだろうか。
その死人の中に自分の知っている人がいたとしたら・・・
嫌な想像ばかりがどんどん浮かんでくる。
「一度出てしまえばもう止まらない。あれが当たり前に出てくる世界に変わってしまう。」
「軍隊や警察の普通の兵器じゃ殺せない。それこそ兵器をたくさん打ち込めば殺せるかもしれない」
「だけど人の住んでいる場所で使えばどうなるかは想像に難しくないよね」
「たくさんの兵器と人の犠牲の上で一匹殺してもあれは何体もいるんだよ」
「・・・そんな世界はただの地獄でしかないよ」
返事を返せない。ここにきてようやくことの重要さを理解した。
あれは受けいれられない存在・・・敵だと。
「だ、だからと言ってあんなのどう止めれば・・・」
手が震える。今の自分の顔はきっと((笑いそうな))泣きそうな顔をしていることだろう。
化け物退治なんてのは映画やゲームの中でしか存在しない。
道をあるいて雑魚敵を倒してレベリングをするわけにもいかない。
自分がいざその場面に放り込まれると困惑((喜び))しか浮かばない。
「それこそ物語やゲームではよくある設定があるじゃないか」
子供に言い聞かせるかのように俺の顔を見つめてラクーンは呟く。
その言葉の後ろでタコの足の一つが地面に大きな音を立てて落ちた。
足のあった場所は綺麗な切断面を見せ、その切断面からは血の代わりなのだろうかピンク色の液体が流れる。
また別の足は大きな槍のようなもので貫かれ、地面に縫い付けられている。
そしてまた別の足はミキサーにでもかけられたかのように粉々になっている。
「悪役がいるのならばその反対の存在だっているに決まっている。」
視界の隅に3人の人影が見える。
小さな、今の自分の姿とそう変わらない少女たちが武器を構えて侵略者と向き合っているのが見える。
「君に助けてもらいたいのは彼女たちだよ」
「世界を守る守護者でもあり、普通は守られるべき子供たち」
「"ガーディアン"。それが君が守るべき存在だよ」
慈愛と優しさに満ちた声でラクーンは彼女たちのことをそう呼んだ。
1ページ書くだけでもかなり時間がかかるものですね。
でも書いていくと楽しいもので時間があっというまに消えていきますね。
今日の更新はもう少しだけ続きます。




