82:違和感
どこかおかしいところでもあっただろうか?
家に到着するころには日は落ちかけの状態であたりは薄暗くなっていた。
朝家を出るころにはなかった車が静かに止まっているところを見るとパパもママも家に帰ってきているようだ。
家の中に入るのにまだまだ緊張してしまう。少し深呼吸をしてから覚悟を決めて家の扉を開けた。
家に入ってすぐ靴を脱ごうとしたが急に目の前に現れたパパに抱き着かれてしまう。
「おかえり僕のお姫様。この間も見たけどやっぱり制服とっても似合っているよ」
抱き着きながら頬にキスをしてくるパパに眉を顰めつつ苦笑いが零れてしまう。
「た、ただいまパパ。そんな抱き着かれたら熱いよ」
されるがままにキスを受け入れつつ一応抗議の声を上げる。こちらの要望でようやく離れてくれたがこんなのが毎日続くとなると少々げんなりしてしまう。
「ふふ、それもそうだね。さ、着替えてきたらご飯にしようか。ママが張り切ったから今日の夕食は豪華だよ」
少しの所作でもどうしてこうも絵になるのだろうか?やはり顔が良いというのは正義なのだろうと思った。
早足に自分の部屋に向かう途中でママが台所で料理している姿を横目で見る。
相変わらず表情に感情が出ていないが鼻歌を歌っているのでとてもご機嫌なのが良く分かる。
部屋の中にラクーンの姿はなかった。色々とお話し合いをしたかったのに逃げやがったか。
少しイラつきながら制服を脱いでハンガーにかける。下着姿になって自分の姿を確認する。
相変わらず伸びる気配のない身長にため息が出てくる、それに反比例するかのように自分の胸にぶら下がる2つの果実はその大きさをアピールする。
軽く手で持ち上げてみても重さを感じ程の立派さに頭が痛くなるのを感じる。
せめてもう少しバランスよく成長してほしいものだと思いつつ部屋着に着替えていく。
女の子らしくもう少し可愛い服にした方がいいのだろうか?自分としてはこの服は気に入っているが胸の部分が少しきつい感じがした。
ママに言って新しいのを買うべきだろうかと考えていると下から呼ぶ声が聞こえる。
そそくさと着替えるときに乱れてしまった髪を整えてからリビングへと向かう。
その所作におかしいところは何もない。とても女子らしく年頃の女の子らしい行動だと言えるだろう。
しかしながらどうも違和感を感じて仕方ない。
"毎日"やってきた行動なのだからそこに違和感を感じるというのはおかしな話だ。
部屋を出る前に最後に一応鏡で自分の身だしなみを確認していく。
服に皺はなく、髪も乱れていない。どこに出しても恥ずかしくないような美少女がそこに写っている。
「よし、問題なし」
呼ばれているのを思い出して駆け足気味に部屋の外に出ていく。
そんな自分の行動をどこかで誰かが笑いながら見ている気がする。
だがそれに気づけることはなく、下で待っているパパとママのもとに"私は"向かった。
何もおかしなところはないですよ。ええ。
とても自然な少女の日常でしょう?




