67:家族の条件
血のつながりだけが家族ではない
「お、お父さんと言われても・・・えっと女装とかですか?」
今の俺の状況を横に置いておいてサキに尋ねてみる。流石に俺と同じように性転換したなんてのは考えられない。
「残念ながら生まれも育ちも女性よ?」
サキはどこか遠くの方を見ながらも肯定をするように頷く。
「あー、まあ言うなればあれだ義理の親ってやつ」
「義理なんてひどいわー。愛嬌を込めてパパんって呼んでって言ってるのに」
「うっせー!良いからコーヒー2つな!仕事しろ仕事!」
しっしと手で追い払うサキ。ウソ泣きをしながらも仕事をするためにもお父さんはそそくさと厨房へと向かう。
「これだから説明するのめんどくさいんだ。悪かったな騒がしくしちまって」
何度目か分からないサキからの謝罪を受ける。
「そう何度も謝らなくていいですよサキさん。ユニークなお父さんですね」
苦笑しながらもサキに返答すると頭を掻きながら苦笑するサキ。
「アカリとは似てないがちゃんと血はつながっているぞ。こっちが父親似でアカリは母親似なんだ。両方おっちんじまったけどな」
気軽にそういうが内容はかなりヘビーな内容だ。両親の死亡。子供にとっては残酷な話だ。
昔の俺のことを思い出す。両親にとって俺は死んだ扱いになるのだろうかと考えるだけで鬱になる。
「んでまあ幼い私らを引き取ったのが今の親父とおふくろ。親父は死んだおふくろの妹で同性婚してるんだわ」
「だけども子供は欲しいってことで俺らを引き取ったって話だ」
簡単に言うがその選択は重い。死んだ姉の子供を引き取るなんてのは並大抵の覚悟じゃ不可能だ。
だからこそ口ではなんだかんだ言いながらもこうやって店に足を運んでいるのだろう。
「それは、すばらしいご両親ですね。」
「まあ変なのには変わりねーがな」
喋っている間にそっと置かれたコーヒーをブラックで飲むサキ。
俺も合わせて飲もうとして思いっきりむせてしまう。この体にはブラックは合わないらしい。
そんな俺の様子を見て大笑いしながらミルクとガムシロップをサキは渡す。
「普通はこんなこと教えねーけどお前は特別な。ルナはみりゃ分かるくらい懐いてる」
「アカリにしたって昨日は世話になったみたいだしな。こうして腹割って喋りたくなった」
「流石にその姿はびっくりしたがな。だから猫かぶらねーで普通にしゃべりな」
こういうところは姉御肌というべきか妙なカリスマを感じる。
「あー、話聞いたか。ならしょうがない。俺なんかが相談受けちまって悪い」
「別に構わないさ。姉よりも同じ年の友達の方が話しやすいこともあるだろうしな」
「しっかしまあ俺って・・・お前本当におもしれーのな!」
頭をがしがしと撫でるサキ。俺の態度のどこに気に入る要素があったのかは疑問が生じる。
「何度も撫でるなよ!別に良いだろ一人称なんて好きに使ってもさ」
すねたような口調についなってしまう。そんな様子がなお面白いのかけらけらとサキは笑う。
「ごもっとも。んじゃそろそろ別件を話すか」
そういって顔を引き締めてこちらを見る。その表情に思わずこちらも身構える。
「アカリとルナは分かってなさそうだったから聞くが・・・お前あのユイと同じだろ?」
「こっちの言いたいこと・・・分かるよな?」
じっとこちらを射抜くような視線に俺は逃げ場を塞がれてしまったと思った。
二人の扱いは養子のような感じです。
そのうち妻の方も出てくると思います。




