64:分析
おススメ(人気とは言ってない)
席に座って食事をするのだがなんとなく気まずい感じがする。
隣に座ったルナは何も感じないのか結構な量のあるカレーとラーメンのセットを平らげている。
斜め前ではトマトが苦手なのかそっと横にのけながらアカリはうどんを食べている。
そして目の前。じーっとこちらを観察するかのような視線を向けながらサキが食事をしている。
視線を感じるのに少しは慣れてきたが目の前で直視されては流石に気まずい。
こうも見られながらでは食欲も進まない。この体になってから食が細くなった気がするが今日はさらに食欲が失せていく。
これはサキに何か問いかけた方がいいのだろうかと思っているともう食事を終えたのかルナが声をかける。
「さきっち、そんなに見つめられたらユイちゃん穴開いちゃうと思うよ」
攻めるような言い方に流石に申し訳なく思ったのかサキは頭を掻き始める。
「そりゃ悪かったな。かといってもよ・・・流石にこれは気になるだろ」
じとーっと目を細めつつこちらをさらに見るサキ。もはやこちらは苦笑いしかでない。
「あ、あはは・・・な、なにが気になるんでしょうか?」
思い切って疑問をサキに投げかける。
「んー、やっぱなんか違うんだよなぁ。ただ完全に他人ってわけじゃなさそうだし・・・」
ぶつぶつと俺の疑問には返答をすることなく思考の海に沈んでいくサキ。
「ま、考えても無駄か!悪かったな。気まずくさせて」
かと思えば急に歯を出して笑いながら俺の頭を急に撫でだす。
「ちょ!?急に撫でないでください!」
わしゃわしゃと力強く撫でるために髪が抜けそうになる。結構これ痛いな。
「わりぃわりぃ。知り合いに似た名前でそっくりな見た目だから警戒したがこりゃ違うな」
女性にこういうのは失礼かもしれないが男勝りという言葉がしっくりくる。
「こらぁ!はーちゃんをいじめちゃダメなんだぞさきっち!」
俺をサキから引きはがしながらルナが自分のものだとアピールするかのように抱きしめる。
「いじめてねーよ。しっかしまぁお前もちいせーな。もっと肉食え肉」
そういってカツを一切れ俺の皿に乗っける。
「いやあの、もうお腹いっぱいで・・・」
俺の返答にサキだけでなくルナまで目を丸くして驚いている。
「いやいや、いくら量が少なくて不評なランチとはいえ流石にそれは嘘だよね」
「おススメという名のおしゃれ度だけ高い別名ダイエット食を完食できないってうっそだろおい!?」
どうやら俺の頼んだランチというのは相当不評らしい。
確かにおしゃれだし量も少ないがそこまで言われることなのかと思っているとアカリがこそっと呟く。
「おススメって書いてあるけど頼む人ってほとんどいないんだよそれ」
「先生方には好評なんだけどやっぱり量が少ないからねぇ。こんなんじゃ全然足りないよ」
とは言われてもこの体にこれ以上詰め込もうものならトイレの住人になりかねない。
食事前にパンでも買おうなんて考えていたのは今に思えば自殺行為に他ならない。
「いえ、もう無理なんで・・夜桜さん食べます?」
そっと隣のユイに半分以上残っているランチプレートをスライドさせる。
「え!?そりゃ食べれるけど本当にいいの?」
こくりと頷いて肯定を表現する。複雑な表情をしながらも物足りなかったルナはさっさと平らげてしまう。
「お前私より小さいのに小食とか・・・気に入った!」
がしっと俺の顔を両手でサキは挟み込む。
「放課後ちーと付き合え」
色気のかけらもない誘いをしながらサキはにやりと笑った。
テレビとかでよく見るおしゃれなランチプレートってどうしてあんなに少ないんでしょうか?




