63:合流
ギャップ萌えというものだろうか?
ルナからの攻める視線をしばらく受け流していたらやがて諦めたのかあるいはどうでもよくなったのか再びルナに抱きしめながら食堂へと向かう。
隣で歩くアカリはその光景が面白いのかさっきからクスクスと笑ってばかりだ。
「ルナちゃんすごく気に入ってるんだね。」
「ま~ね。はーちゃんは友達だし。何よりいいんちょーの毒牙から守らないと!」
アカリからの言葉にルナは胸を張りながら答える。
「さ、流石に委員長もそんな変なことはしないと・・・思いたいけど」
アカリですらあの委員長の行動は否定できないようだ。まあそりゃそうだろとしか言えない。
「いいや!油断してると絶対食べられるよ!間違いない!」
その食べるという言葉の意味は聞きたくはない。絶対ろくなものではない。
そうこう話している間にも食堂の入口にたどり着く。
流石に生徒の数が多く、席も大半が埋まっているのが見て取れる。
「あちゃ~出遅れちゃったかな。席どうしよっか?」
アカリにルナが問いかけるとアカリの携帯がぴこんと通知を告げる。
「あ、お姉ちゃんが席取ってくれてるって。」
携帯の画面を見ながらアカリが言葉を発する。
「さっすがさきっち手際がいいね!んじゃご飯運んでそこにいこっか!」
そういって3人で食券機の前まで歩いていく。
視界の端では数人の生徒たちが購買らしき店の前でパンを買っているのが分かる。
食券にしてもランチから麺類まで幅広く取り揃えているので昼食だけでもかなりのレパートリーがあるのが分かる。
何を選ぶのか悩んでいる間にも周囲が俺に視線を向けてくるのが分かる。
流石に人ごみの中でもこの髪は目立つのは間違いない。
さっさと移動しようと迷った挙句おススメと書かれたAランチを注文する。
アカリはサラダうどん、ルナはしばらく悩んでからカレーとラーメンのセットを注文する。
人がいる割には待ち時間なんていうのはほぼなく頼んだ食品を受け取る。
サラダ、パスタ、ハンバーグと少量の米が乗ったランチプレートを受け取りながら足りなかったらパンでも買おうと思いながらサキが待っているであろう場所に向かう。
俺が歩いている姿を生徒たちは遠目で眺めている。その視線はさしずめ微笑ましいものを眺める保護者の視線だ。
何やら視界の隅でカメラを向けている委員長がいた気がするが気のせいに違いない。
程なくしてアカリがサキの存在に気づいたのか俺たちに声をかける。
「あ、そういえばユイちゃんお姉ちゃんに会ったことがなかったね。」
「あそこに座っているのがお姉ちゃんだよ」
と指をさすので視線を向ける。
5人掛けのテーブルの一つに腰を下ろしパンを食べている生徒がいる。
しかしながら戦いの中で見かけたサキの姿とはギャップがすさまじいことになっている。
眼鏡をかけ、片手で本を読みながらパンを食べる姿は文学少女にしか見えない。
それでいて食欲旺盛なのか今食べているパン以外にも大盛りの天丼が机の上に置かれている。
本のキリが良くなったのか本を閉じて顔を見上げたところでこちらに気づいたらしい。
「おう、来たか」
歯をむき出しにして笑顔でこちらを出迎える姿を見てようやくあのサキかと認識できた。
ようやくこちら側でサキちゃんと再開です。
黙っていれば美人みたいなイメージになります。




