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60:再開

こういう時にどんなことを言うのが正解なんでしょうね?

なぎさ先生が手を叩いて生徒たちの騒動を収める。


「はい静かにしましょうね~。ほかの教室に迷惑ですからね~」


「ユイちゃんへの質問は~休み時間にしましょうね~。」


まるで小さな子供に言い聞かせるような言い方で生徒たちに呼びかける。


性格や喋り方はどうであれしっかりと先生をしているので人望はあるらしい。


この学校では黒板ではなくホワイトボードで授業を行っているようでホワイトボードに俺の名前を書いていく。


(ハザマ)優衣(ユイ)。読みは同じだが漢字だけが少し違う。それが俺の今の名前になっている。


パパが外人なのでそういう名前になるのかと思っていたが、パパとしてはママの苗字が気に入っているので私生活では日本人の名前を名乗っているらしい。


一方で仕事の時は流石に昔の自分の名前で仕事をしているとのことで色々複雑なようだ。


俺としては変に外国風の名前にならなくてよかったと思った。名前くらいはあんまり変わらないでほしかったからな。


「それじゃ~ユイちゃん一言自己紹介をお願いね~」


自己紹介と言われても何を言えばいいのだろうか。ありきたりに自分の名前とよろしくくらいは言った方がいいのだろうか?


こういう時の対応についてパパにでも聞いておけばよかったなと後悔するのは今更か。


教室中の視線が俺に突き刺さる。なんだか見知った顔がある気がするが今はそんなこと気にする余裕すらない。


大きく息を吸って吐く。大丈夫だ、変なことを言わなければ何も問題ないはずだ。


「はじめまして。ユイと申します。学校に通うのは初めてなので色々分からないことが多いと思いますけど仲良くしてくださいましたら幸いです」


そういって軽く頭を下げる。((彼女))をイメージして喋ったので変なことは言ってないはずだ。


なぎさ先生的にも満足なのかうんうんと頷いている。


「はい、とっても丁寧な挨拶ありがとうございました~」


「それじゃ~ユイちゃんのお席は~夜桜さんのお隣にしましょうね~」


現実逃避していたがやはりそう来たか。聞き覚えのある苗字が耳に飛び込む。


軽く視線を上げれば後ろの方の席でルナが笑顔でぶんぶん手を振っているのが見える。


そのルナの前の席ではアカリが俺に同情的な視線を向けているが同情するくらいなら助けてくれ。


のろのろと指定された席に向かう。歩いている最中にも視線が突き刺さる。


獲物を見つめる狩人の視線に背中がゾクゾクするのを感じる。


いくらのんびり歩いたところで教室内はそこまで広くないのですぐに席に到着してしまう。


できるだけルナの顔を見ないように席に座るがこちらを覗き込むように見つめられれば嫌でも見ざるを得ない。


満面の笑みでこちらを覗き込むルナがこちらが視線を向けたことに気づいてさらに喜んでいる。


「にしし~。随分早い再会だったねはーちゃん!」


歓迎されているのは分かるのだがもう少し心の準備が欲しかったなと思った。

ニュースで黒板ではなくてホワイトボードで授業を行っている学校があると聞きました。

学校と言えば黒板というイメージだったので時代は変わっているんだなーと思った次第です。

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