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55:思考

過去改変?過去調整

しばらくしてから両親は帰ってくる。いの一番にパパが俺を抱きしめ俺の顔にキスをする。


そんなスキンシップをママは苦笑しながらも穏やかに見つめている。


そこにあるのは理想的な家族だ。誰にでも自慢できる家族。


だがどこかで俺の心が痛むのが分かる。何かを忘れてしまっている気がする。


その何かを思い出せない、少なくとも"家族"のことは覚えているのは安心だ。


3人で夕食を取り、今日会ったことを話す。


流石にアカリの話は内緒だ。人生相談をしてましたなんてのは個人情報だからな。


話の話題的にはどうしても明日からの学校生活の話が中心になる。


入学式という時期からは大きく外れた時期の転校なので特に集会なんかはないらしい。


パパとしてはドラマなんかで見るような入学式を楽しみにしていたとのこと。


本来ならば明日も一緒に行きたいがさすがにそんなことで仕事を休むわけにはいかないとのこと。


ママとしても心配なのは心配だが一日中付き添うこともできないので朝挨拶をしてから仕事に向かうとのこと。


"小さい頃から海外生活で学校はオンラインだった"ので学校生活というのは初めてだ。


・・・いや、本当にそうだろうか?普通に学校に通っていた記憶はある。


だが詳細が思い出せない・・・俺の記憶はどちらが正しいんだろうか・・・


不安そうなのが顔に出てしまったのかパパには頭をなでられてママからは抱きしめられた。


「心配しなくてもユイちゃんはとてもいい子なんだ。パパの仕事のせいでこんな時期になっちゃったけどきっといいお友達ができるよ」


「ん、自慢の娘だから大丈夫。何かあったらすぐ駆けつける」


そこにあるのは純粋な家族愛。俺の不安も少しは弱まっているのが分かる。






ベットに腰掛け今日会ったことを振り返る。


思い出せば一日の内容としてはやけに濃いような感じがする。


ラクーンの思惑に乗ってしまったのはしゃくだが、それでも今日は充実した一日だと言える。


ほかの誰かが自分の立場になった時はどんな対応をするのだろうかとふと考える。


逃げるのか、立ち向かうのか、あるいは・・・諦めるのか


ナンセンスな思考だとは思うがそれでも考えずにはいられない。


もしかした自分以外の誰かの方がもっとうまくいっている気もしなくはない。


((彼女))の対応に苦慮することもないのかもしれない。


でもだからと言って俺は今から逃げるという選択肢を取ることはできない。


彼女たちのことを知ってしまったから。侵略者の存在を知ってしまったから。


何より・・・力があると分かってしまったから。


「ままならないもんだぜ・・・もっと普通の力が良かった」


抗議するかのような頭痛が頭に響く。


まだまだ受け入れないといけない問題が山積みなのでため息の一つも零れる。


だがまぁ今何よりも一番の問題は明日からの学校に他ならない。


「女子中とか気が滅入るぜ・・・」


どうか((彼女))が落ち着いて暴れないことを祈るしかできない。


うっすらと目を閉じて明日からのことを考えていると俺の意識は眠りへと落ちていった。

自分の記憶があてにできないというのは恐ろしいですね。

どうか折れないでほしいです

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