53:混ざる
調整を開始します。
「お詫びにはなったか?なれない人生相談だったがな」
「いえ、とても助かりました。ありがとうございましたお兄さん」
感謝の言葉を言いながら頭を下げるアカリ。少しは迷いが晴れたら何よりだ
「後は言うとしたら・・・嫌いにはならないでほしいかな。その子は悪い子じゃないんだろう?」
悪いやつではない。目的は似ている、ただ俺が受け入れられないがな。
「えっと・・・それはないです。変わった子だけど・・・嫌いになる要素がないですし」
「ただ少しその・・・き、キザといいますか・・・」
ルナとのやり取りを思い出したのだろう顔を赤くしている。
「お、おう。詳しくは聞かねーがそれならよかった」
そう、嫌われていないならそれでいい。"嫌われたら悲しくなるから"
だって仲良くなれそうなの嫌われたら嫌だから・・・そう・・・嫌だ。
"彼女たちとは友達なのだから何もおかしいことはない"。そうだろう?
「あ、そろそろ帰らないと。お姉ちゃんもそろそろ帰ってくるから」
「そうか、じゃあ気を付けて帰りな」
軽く手を振って見送ろうとする。寂しくはなるがまた会えるから問題はない。
「はい。おにいさ・・・・」
こちらを見て少し固まったアカリ。自分の目をごしごしとこすって改めてこちらを見つめる。
「何かあったか?おかしな格好はしてないはずなんだが?」
「あ、はい。変な格好はしてないです。可愛らしいお洋服ですんで安心してください」
「そうか、なら何も問題ないだろ。ほら、お姉さんが待っているんだろ?」
まだ何か言いたげなアカリは何も言わずに小走りで帰っていく。
「少しは彼女たちの力になれたのなら良かった」
素直な気持ちが口から溢れる。今だけはこの姿に感謝しよう。
流石に前の姿のままだったら事案でしかない。
俺の悩みも少しは晴れた気がして帰る道すがら少しだけ足が軽くなった気がした。
「んー・・・さっきのは一体どういうことだろう?」
お兄さんと別れて家路につく。ルナちゃんやお姉ちゃんに言えなかった話が初めて会った人にすんなり言えてしまった。
あまつさえあんな恥ずかしい姿を見せてしまったのは普段の自分からは想像できない。
そもそも人見知りでルナちゃんやお姉ちゃんくらいしか話し相手がいなかった私がああも簡単に心を開いてしまったのもおかしな話だ。
まるで前から顔見知りで、信頼している相手みたいに。
「お兄さんの正体がユイちゃん・・・なのかなぁ・・・」
つい口から零れる。さっきの一瞬こちらを見る姿が侵略者と戦うときに見たユイちゃんの姿と重なった。
性格や喋り方はまるで違うけどそれでも根底にある優しさは似ている。
「ユイちゃんを演じているのか、お兄さんを演じているのか・・・」
どちらにせよ私たちにとっては頼りになる味方なのは間違いはない。
「本人に聞くのはさすがにまずいよね・・・さっきの内容もまずいし・・うぅ・・」
相談内容的に嫌われてもおかしくはない。それでも頭をなでてくれたあの感覚はとても暖かい。
今度会った時どんな顔をすればいいのか私は頭を悩ませるしかなかった。
これからの対応に苦心するアカリのお話でした。
もう数話でこの章も区切ります。
短くコンパクトに区切った方がいいかなと思いましたがお見苦しければ申し訳ありません




