48:お出かけ
ぼーっとしていると時間はあっという間に過ぎていく
パパとママを見送ってからしばらくはぼーっと過ごしてしまった。
朝食を取り終えてテレビを見ているといつの間にか起きたのか気づけばラクーンが近くに腰を下ろす。
「ずいぶんとのんびりなんだな。」
テレビから視線を反らさずに声をかける。テレビでは興味のないテレビショッピングが流れている。
何も考えずにテレビを眺めるのは男の時の癖に似ている。
テレビとネット動画の違いはあるがこういう暇つぶしは悪くない。
「悪かったね。意外とやることが多くて忙しいんだよ」
言い訳がましくラクーンは返答する。内容はどうであれ暇人ではないらしい。
「それよか気をつけろよ。流石にパパとママに気づかれたらごまかしきれない」
流石に人形が歩いて喋っていると言ったらあの子煩悩のパパとママになんと言われるか・・・
「心配しなくても僕の力があれば普通の人には認識されないよ」
「彼女たちは別だからそこは気にしないといけないけどね」
だからこそ彼女たちとは会わないようにしているんだとラクーンは続ける。
「それじゃ俺が何もないところで話ているやばいやつに見られるじゃない」
「そこをなんとかしてほしいんだが?」
少し責めるつもりで言葉を話すがラクーンはやれやれと首を振るう。
「無から有にすることはできないって言ったろ?喋っているという事実を消すことは流石にできないよ」
「そこらへん融通利かない力だな」
「何事も万能なことはないということだよ」
それ以上は答えるつもりはないのかラクーンは会話を終わらせる。
かといって無言でい続けるわけにもいかないのか別の話題を振り出す。
「君こそせっかくの休日なのだから家にいないで外に出たらどうだい?」
「ほら、子供は風の子元気な子って言うだろう?家に引きこもっていてもいいことはないよ」
いつの時代の価値観を押し付けてくるのだろうかこの狸は。
今どきの子供というのは昔のように外で遊ぶというよりは家の中でゲームをすることが多いという。
それは外に遊び場がないという問題と家の中の娯楽が充実しているという問題の合わせ技だ。
「悪いが俺は家に引きこもることは苦じゃないんでね。別にいいじゃないかたまにはのんびりしても」
とは言いつつも暇を持て余していたのも事実だ。
昔のようにネットサーフィンしようにもパソコンはないし、携帯で暇つぶしのアプリでも入れようと思ったがそんな気分にはならない。
「まあそう言わずに。君ここらへん周辺に何があるか分かってないだろう?」
「これから生活していく上で周辺を調べておくことを僕はおススメするよ」
なんだか誘導されている気がして気分が悪いが言いたいことは分かる。
現に今の俺はこの間訪れた公園くらいしか周辺に何があるか知らない。
下手に曲がりくねった道に入ろうものなら迷子になってしまう可能性が高いだろう。
勝ち誇った顔をしているラクーンに軽くデコピンを食らわせてため息を一つつきテレビの電源を消す。
乗せられている気がしなくもないが暇つぶしにはちょうどいい。
入口近くにあるコートかけから大きめの帽子を背伸びして取り頭にかぶる。
「仕方ねーから探索してやるよ」
額を抑えつつこちらを見送るように手を振っているラクーンから視線を反らす。
玄関に置かれたカギをポケットに乱暴に入れて財布と携帯を持つ。
乱暴そうに扉を閉めたかったがまた何か言われそうなので静かに扉を開閉してカギを閉めて外へと繰り出していく。
ラクーンは無駄なことはしません。
その言動にはいろいろと思惑が隠れています。
細かい動作に関して彼はもはや疑問にすら思わないのは可愛いですね




