40:買い物
大型ショッピングモールって特に用がなければ行きませんよね。
朝から両親のイチャイチャを目撃し疲れがたまっているが買い物をやめることはない。
パパが運転する車に乗り買い物場所に向かうこととなった。
車一つとっても普通の軽自動車ではなく、テレビなどで見るような黒塗りの高級車が出てきたときにはさすがに驚いた。
パパの仕事的に運転手までいるんじゃないかと思い訪ねてみたがパパは一言。
「家族水入らずで過ごすのに運転手がいては気が休まらないだろう?」
どこまでも紳士的なパパである。安全運転で向かうこと10分ほどで近場にある大きなショッピングモールに到着した。
大人になってからこのような大きなショッピングモールを訪れたのは気まぐれに映画を見に行った時以来久しぶりのことだった。
入口に近いところに車を止めたパパはわざわざ自分でママや俺の扉を開けてエスコートする。
「お手を拝借してもよろしいかなお姫様方?」
ここまで行くと少々うざったく感じるがここで拒否する勇気は流石になくしぶしぶ手を借りて車から降りる。
ママは流石に慣れているのかと思ったがかすかに耳が赤くなっているので恥ずかしいことは変わりないようだ。
俺としては普通に歩きたかったのだが、俺を間に挟んでパパとママに手を引かれてしまう。
さながら気持ちは連行されるエイリアンのような気持ちだ。
昔の俺だったら無理やりにでも拒否しているところだがパパもママも満足そうな顔をしているので流石に拒否するのは忍びなかった。
手を引かれて歩くことしばらく、歩いている間にも通行人からの視線が痛い程突き刺さる。
傍から見ればそれはさぞかし興味を惹かれる光景だろう。パパもママも美男美女であり、その間に挟まれている自分もかなりの美少女なのだから仕方ない。
まとうオーラ一つとっても一般人とは到底思えないのでカメラで写真を撮る人まで現れる始末だ。
パパを見れば自慢げに見せつけるかのようにまぶしい笑顔を浮かべている。
ママも苦笑いしているがこれくらいのことは慣れているのか涼しい顔をしている。内面は分からないが。
そのせいで顔を真っ赤にさせて恥ずかしがってる俺一人という構図ができあがってしまった。
「恥ずかしいんだけどどうにかならないのパパ?」
眉を顰めながらパパを見上げる。
「自慢の娘とママを見せつけるのは気持ちがいいんだが、ユイちゃんが嫌なら貸し切りのオーダーメード店に行こうか?パパそれでもいいよ?」
嫌な二択だ。そんな高級品を身に着けたら拒否感で鳥肌が立ちそうだ。
ママとしてもその提案は却下らしい。
「ダメ。こういうことはよくあるから慣れさせないと。パパ、甘やかしちゃめっ」
「というわけだからごめんねユイちゃん。パパはママのお願いを拒否できない騎士だからね」
そういって頭を下げるパパ。軽くため息をついていたらようやく目的の店に到着する。
現実逃避をしていたが受け入れなければならないときが来たようだ。
制服専門店の中に出荷される家畜のような気持ちで俺は連行されていった。
お父さんはキザですがそれが堂に入っております。
これだけ目立つ家族ならそりゃ注目の的になっても仕方ありませんよね




