39:父親
世の中の父親にとって娘はかわいい存在である。
世の女性諸君に問いたい。父親との接し方に関してどう接しているのかを。
ドラマやなんかの話ではよく洗濯物を別にしてほしいだのと冷たく当たる娘が思い出される。
俺は男であったためにそういうものに縁遠く、いまいち理解できないでいた。
しかしながら外様では女性として扱われている都合上どうしても直面しなければならない時が来た。
つまるところ何が言いたいのかと言えば、今の父親に出合い頭に抱きしめられ頬にキスをされているのを死んだ魚の目で受け流していることへの現実逃避というものだ。
今現在のパパは他の外国人がどうであれどうやらスキンシップ多めの性格らしい。
黙っていれば灰色の目にきらりと輝く金髪。背も高くスラリとした体形はファッション雑誌のモデルにいてもおかしくはないほどに整っている。
現在の俺の顔の遺伝元である性質上顔面偏差値もかなりのものなので下手に顔を近づければ赤面する女子は多数いそうなのが想像できる。
幸運というべきか不幸というべきか現在の俺にはそんな感情が一切湧いてこない。
二回目の戦闘後、ママに関してもだが目の前のパパに関してもそういうものとしか認識できない。
内心でいくら男の時の呼び方を心がけようともすぐに今の呼び方に変わってしまう始末だ。
おまけに味覚まで変化しているのか先ほど間違って飲んだブラックコーヒーで思い切りむせてしまった。
カフェオレになるまで牛乳と砂糖を入れているのをパパがほほえましく見ているのが屈辱だ。
じとーっと睨みつけていると苦笑しながら現在のパパは今はなくなった大きな手で頭をなでる。
「そんな怖い顔をしないでおくれよユイちゃん。せっかくのかわいい顔が台無しだよ」
「ママに似てとても可愛い顔をしているのだからもっと笑っておくれよ私のお姫様」
どうやら((彼女))の時の口説き文句はパパからの遺伝らしいことがよくわかった。
「ん。相変わらずパパはとてもイケメン」
そしてママよ。朝からパパとイチャコラしないでくれ。
この二人自分の今の年齢から換算するに結婚して10年以上は経っているはず。
それなのに見ている自分が砂糖を吐きそうなほどのラブロマンスを現在も繰り広げている。
記憶がおぼろげになりつつある前の両親は少なくとももっと冷め切った関係だったはずだ。
「パパとママは相変わらず仲が良いんだね。」
そうぼそっと呟くと当然とばかりにパパが胸を張る。
「そりゃこんな世界で一番美しいママと世界で一番かわいい娘に囲まれてパパは世界で一番幸せ者だからね」
「もぅ・・・パパったら相変わらず口がうまいんだから」
そう言って満更ではない表情のママとパパは軽いキスを交わす。
ため息を一つつきながらぬるくなりつつあるカフェオレを胃に流し込む。
そんな朝の家族の光景にうんざりしつつも、どこかで充実感に包まれている。
そんな不思議な感覚に包まれて俺は頭を痛くさせざるを得なかった。
というわけで父親の登場です。
彼女の存在は内面父親。外面母親の遺伝子をそっくり受け継いでいる感じです。
世の外国人がどうかはわかりませんが少なくともこの父親はこんな外人という感じです。
ちなみに父親は母親のために家では基本日本語で喋っています。
愛ですね。




