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ヒロインになりたい((私))となりたくなくない俺の話  作者: adovent
2:変わった世界と公園での出会い
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38:受け入れ

たかが一歩。されど一歩。

降りてく道はあれど上る道はなし。

ラクーンの会話に詰まっているとコンコンと扉がノックされる音が聞こえる。


慌ててラクーンを振り返ると人形のように微動だにせず枕元にぬいぐるみのように腰掛けていた。


「入るよルナちゃん。」


「ど、どうしたのママ?」


慌てて返答をする。先ほどまでは不自然に呼び方もとても自然に"ママ"と言えた。


「話し声が聞こえたけど・・・誰とお話してた?」


無表情ながらも相変わらず心配していることが痛いほどに伝わるのが不思議なものだ。


「えっと・・・その・・・こ、この人形と喋ってたの」


そういってラクーンを指さす。動きはないが抗議の声が聞こえてきそうだが無視する。


俺の返答に納得したのか珍しく少しほほ笑みながらママは返答する。


「そう・・・大人びて見えたけどまだまだ子供で安心した」


「こ、子供じゃないもん!大人だもん!」


自分の口で自分の感情じゃない言葉がまた飛び出してくる。


その変化に違和感を感じないことに俺は軽く恐怖した。


本当に自分がどんどん変わっていっているのだなと改めて認識した。


「そうね。ユイは大人ね」


そういってまたママはほほ笑む。その光景は本当の母娘のようにしか見えない。


「そ、それでママ。ほかに何か用事はあるの?」


「ん・・・そうだった。用事があった」


ポンと手をついて本来の要件を思い出したよう。


現在のママはしっかりもののようで少し抜けているところがあるようだ


「明日はお買い物に行く。3人で」


「3人っていうとパパも?」


「うん、さっき電話したら泣きながら行くって言ったから」


話を聞くに現在のパパはどうも感情豊からしい。


「泣きながらって・・・一体どんなものを買いに行くの?」


「別に変なものはない。ユイちゃんの携帯とか・・・必要品とか」


「あぁ・・それは必要だね」


そう携帯は大切だ。現代社会において携帯がないというのは大変困る話だ。


この家には家電が見当たらなかったので何かあったら携帯に連絡するしかない。


今朝の問題も携帯を持っていれば解消できたのにとママが考えてもおかしくはない。


実際にママはその通りのことを話す。


「今は少し忙しい。ユイちゃん一人になるから心配だから用意する」


「・・・変なことには使っちゃめよ」


「使わないよ。パパとママに連絡するくらいしか今は使い道がないもん」


まあ今後ルナと連絡先を交換したらその限りではないが今はそれを喋る必要もないだろう。


「ん・・ならよし」


満足げに頷くママ。だがそれだけの買い物でパパが泣き出すのは理解できない。


他に何か買い物があるのだろうかと思っているとママの口からその原因が語られる。


「後制服も買う。」


「制服?」


「ん。今度通う学校の制服。入学式には参加できなかったからパパが写真撮りたいって言ったから」


その言葉を聞いて頭が痛くなる。そりゃ娘の晴れ姿は是が非でも見たいだろうさ。


だが如何せん今の俺は"まだ"男なのだから勘弁してほしいものだ。


一難去ってまた一難。楽しみな気配を醸し出すママを横目に見つつ、


隠れてこっそりとため息を一つ俺はこぼした。

といったところでこの章はここまで。

次回の幕間はなしでそのまま次の章に向かいます。

短くて申し訳ない。仕事が不安定なので。

安定しているときにストックを作って放出しますのでそこだけご了承ください

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