37:変化
まだ完全には変わらない。
もっと時間が必要だ
目を開けるといつの間にか自分のベットの上で眠っていた。
先程まで風呂に入っていたがそのままでなかったことに少しほっとする。
どれだけ時間がたっているかわからないがあのまま風呂に入っていたら真っ赤にのぼせていたことだろう。
「感謝してくれたまえよ?君をお風呂から上げてここまで運ぶのは大変だったんだから」
予想していなかった声が聞こえたのでびくりと飛び跳ねて声の主を探す。
ベットの枕元に座りこちらを見ているラクーンがそこにはいた。
「君の認識している時間からはだいたい2時間くらいかな。それくらいしか経ってないよ」
その返答にほっとするのと同時にあの戦いの時の記憶が蘇る。
「あぁ~・・・あんなの俺じゃない・・・あんな・・・あんな歯が浮くセリフなんて俺じゃない」
ベットの上でゴロゴロと転がる。前までは絶対にしないであろうそんな行動を行うことも今は自然にできてしまっていた。
「それに関しては僕はどうこう判断するつもりはないけど・・・彼女の恋愛対象は女性かい?」
「うっせー!知るかんなもん!!!」
八つ当たりに近いがラクーンに枕を投げるが前ほどの勢いはなくラクーンは難なく回避する。
「いやいや大事なことだよ。彼女の対象が女性だと反対である君は男性が対象になるじゃないか」
「勘弁してくれよ?君の恋愛対象に僕を入れるのは歓迎できないからね」
「誰がお前なんか好きになるか!それに俺はノーマルだ!」
どうも自分の感情が制御できない。昼間もそうだが昔よりも何倍も感情豊かになった気がする。
「軽いジョークだよ。僕は今大変満足している。君を犠牲にしたことに後悔がないほどにね」
「犠牲ってのは納得できねーけど・・・まあ彼女たちが無事なのは良かったと思っているよ」
記憶の中にある((彼女))の行動にどうこう言うつもりはない。
その時の判断を俺がしたわけではないからそれは仕方のないことだが、少なくとも悪いとは言えない。
「しかしながら驚きなのは彼女の力だよ。あれだけ制限されてもなお余裕をもって対処できた」
「これだけの実力は僕としても想定外だ。それでいて精神性も異常がそこまであるとは言えない。」
「思考に至ってはかなりのIQの高さも伺える。平凡な君からは想像もつかないほどに」
「失礼な奴だなお前・・・まぁそれは俺も思っているが」
そう、そこが疑問なんだ。なんで俺がこんなに強大な力を持っているのか分からない。
生まれも育ちも特異なものはない平凡なものだ。体格には恵まれたがそれでもそれだけだ。
そんな自分にすさまじい力がある。それはある意味・・・とても恐ろしい。
頭の中の((彼女))は何も言わない。ただかすかにほほ笑む声だけが聞こえる。
「君は一体何者なんだろうね?」
そのラクーンの言葉に・・・俺は答えが出せなかった。
彼の素性に関しては今はただ普通の人間という情報だけです。
これからそれが明かされるかそれとも明かされないかはこれから次第です。
もう1話話を書いてこの章は終わりの予定です。




