22:優しさに包まれて
時間というのはあっという間に過ぎ去っていくものである。
ルナは俺を見下ろしながら心配そうな顔を向ける。
普通こんな怪しい存在に声をかける人間はあまりいないだろうにそれでも声をかけてくれるのだから彼女の心根がとても優しいことがよくわかる。
しかしながらこれはまずい状況だ。
いくらあの時の自分が自分ではないとは言え、かっこつけて別れてすぐに再開する。
漫画やなんかではよくある展開だが現実で直面すると相当気恥ずかしい。
先ほどまで頭痛で存在感を訴えていた((彼女))も俺と同じ気持ちなのか沈黙している。
顔を見ることはできないが絶対に赤面しているはずだ。少なくとも俺だったらそうなる。
どうごまかすか考えているうちにもルナは声をかけてくる。
「しゃべれないほど辛いなら日陰で横になるのがいいんだよ!あとスポーツ飲料。サキちゃんがそう言ってた!」
「動ける?動けないなら僕運ぶよ?こう見えて力持ちだからね」
こちらが黙っている間にもどんどんとしゃべり続ける。
その行動理由がいかんせん完全なる善意のため拒否することも難しい。
いつまでも黙っているわけにもいかないので仕方なくこちらも声をかける。
「あ、ああ。大丈夫問題ないから」
「そう?なんだか気分が悪そうに見えたから声かけちゃった」
「ごめんねおせっかいで。よくサキちゃんに注意されるけどどうしても気になっちゃって」
両手を合わせて謝罪のポーズをしつつ頭を下げる。
慌ただしいというかなんというか、普段のサキは苦労しているんだろうなと思った。
ただ今はそのうるさいくらいの元気がちょうど良い。落ち込んでいる自分に活力がともるのがわかる。
「いや、こちらこそ心配かけて悪かったな。」
「それより・・・学生に見えるけど学校はどうしたんだ?」
朝ラクーンに言われた学校のことを思い出してふと尋ねてみた。
俺の言葉にきょとんとした顔をするルナ。
そんな変なことを聞いただろうか。さっき家を出てここに来たから時刻は8時くらいのはずだ。
普通に考えれば今から学校が始まるかの時間だ。
そう考えているとルナから意外な言葉が返ってくる。
「今日の学校は午前中だけなんだ。施設整備?ってやつで。だからお昼食べて運動してたんだよ」
そう言って腰に掛けたバックからスマホを取り出してこちらに見せる。
そういえば日付も確認していなかったなとそんなことにも気をつけられなかったほど自分は余裕がなかったようだ。
スマホに記された日付は俺の記憶にあるものから1月ずれていた。
世界の修正とやらのずれなんだろうかと考える。どうせならそこはしっかりと合わせてほしいものだ。
スマホのデスクトップには飼い犬であろう小さな柴犬が眠っている画像が映っている。
そしてその画面の中央に記されている時間を見て愕然とした。
15:00・・・・俺はどれくらいの間この場所にいたのだろうか。
ぽかんとした表情を浮かべながらそんなどうでもいいことを考えた。
元気系というかわんぱく系なルナのお話。
こういう子が一人いるだけでも空気が和らいでいきますよね。
本日の更新はもう少しだけ続きます。




