19:受け入れる努力
まずは見定めよう。変化を確認しなければどうしようもない
自分の生活が急に変わったらどう思うだろうか?
働いていればそれこそ引っ越しやら単身やらで今までの生活とガラッと変わることはよくあることだ。
だがそれは普通の生活によくあることだ・・・少なくとも今の俺のように体と部屋が急に変わることはまずないだろう。
簡単に受け入れられるという人はぜひとも変わってほしいものだ。俺はごめん被るからな。
ラクーンとの会話に頭を痛めつつ現状を把握するためにも周囲を観察した。
元々の自分は喫煙者であった。世間では肩身が狭い喫煙者であったがそれは自分の部屋には当てはまらない。
少なくとも記憶にある自分の部屋はタバコのヤニで黄色く変色した壁に囲まれた小さな部屋だった。
仕事を始めてから買い揃え、本棚が埋まるほどあった本は今やその中身はスカスカだ。
かろうじて数冊の漫画と小説だけがその存在感を象徴しているが空白の方が多い有様だ。
出しっぱなしにしたままの古びた扇風機も部屋に合わせたおしゃれな姿見に変わっている。
嘆かわしいことに今の俺の身長よりも姿見の方がでかい有様だ。
そのせいで視線を反らそうにも今の俺の姿をまざまざと見せつけてくる。
日本人とは思えないエメラルドの髪と灰色の瞳は変身した姿と変わりがない。
適当に着たのだろうぶかぶかのTシャツだけを羽織っている姿だけを見れば漫画の中のヒロインにしか見えない。
しかしながら自分の記憶にある姿の差異がでかすぎて違和感が半端ではない。
「しかし・・・小さいな・・・俺・・・」
元々は日本人の平均よりは高かった身長は今や140あるかどうかくらいまで縮んでいる。
今どきの発育の良い小学生よりも下手したら小さいかもしれない。
この姿で買い物にでも行こうものなら警察の厄介になりそうなことが容易に想像できる。
働くなんてのは論外だ。そんな労働基準法違反行為は到底許されないことだろう。
「これから先どうすりゃいいんだよ・・・」
思わずぼやいた俺の言葉にラクーンは返事を返す。
「そりゃその姿に合わせて学校にでも通ったらどうだい?」
何を寝ぼけたことをほざきやがる。自認成人の俺がもう一度学校に通うなんてのは冗談ではない。
「んな無茶言うな。そんなの俺の家族が受け入れられるわけないだろう」
そう口に出してから今更思い出す。そう、家族。
自営業の父に専業主婦の母。どこにでもある普通の家族が俺にもあった。
俺の今の姿を見れば家族だって驚くはずだ。・・・そう思いたい。
現実逃避するかのように・・・今の状況を認めたくないためにも・・・
俺は部屋を出て家族の顔を見に向かうのだった。
その姿を憐れむかのように眺めるラクーンの視線を背後に感じた。
ここから2章開幕です。
受け入れがたい現実から目を反らしたいものですね。
でもそれは後からどうしようもない現実を突きつけられて絶望するんですよね。
今日の更新は短いですけどここまで仕事の都合で申し訳ない




