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ヒロインになりたい((私))となりたくなくない俺の話  作者: adovent
8:罠とデート

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194/244

189:どたばたの出発

時と場合は大事

パパやママなど顔が良い存在に囲まれていたせいで感覚がバグっていたのだがルナたちの顔は悪くない。


悪くないどころか下手なアイドルよりも顔が整っている可能性がある。


サキは俺と一緒にモデルができるほどだし、ルナに至っては祭りで主役を張るほどだ。神主の娘という立場を差し引いたとしても十分おつりがくるほどに顔も体格も整っているのだ。


そんな俺たちの中で一番体格が良いのは誰かと言われれば全員が一致してアカリと答えるだろう。


少なくとも街中でしっかりとおしゃれしたアカリを見た時にサキの妹だと判断できる人間は100人いれば1人いればいい程だし、俺とルナと同じ年の中学生だと言われて納得する人は皆無に違いない。


それだけアカリのプロモーションは飛びぬけて目立っている。そんな目立つ存在が噴水前に1人で立っていれば何かの撮影かモデルかと勘違いする人が出てきてもおかしくないだろう。


これが俺やサキだったらモデルではなく良くてアイドルなのが身長の差なのだろうか。


赤いTシャツに黄色いスカートを履き、腰には白シャツを巻き付けたアカリはよく知っている俺でさえモデルが撮影用の恰好をしていると思ってしまいそうなほど似合っていた。


どう声をかけるか迷っている間に人ごみに導かれるように近づく俺に気づいたアカリが満面の笑みを浮かべながら浮足だってこちらに近づいてくる。


「ユイさん!今日は来てくれてありがとうございます!」


普段よりもテンションが高く、声も弾んでいるのよほど楽しみにしていたというのがこちらにも伝わってくる。


「すいませんお待たせしてしまったみたいで。もう少し早く来ればよかったでしょうか?」


一旦周囲からの視線をシャットアウトしてアカリに尋ねる。最悪俺が時間を間違えていたなら再度謝罪しないといけないと思ったからだ。


「いえいえ!私が楽しみすぎて早く来すぎただけでユイさんは遅くありません!むしろ早いくらいです!」


聞けば俺が到着する30分前には来ていたということなので単純に考えれば1時間近く待たせていた計算になる。いくら時間より早く来たとはいえ待たせてしまった事実は変わりない。約束を破ったわけではないのだがなんだか申し訳ない気持ちになってしまう。


「ですが待たせてしまったことに変わりはありません。お詫びがしたいのですが何か要望がありますか?」


私の提案に最初は断っていたのだがこちらが折れないと分かるとしばらく考え込んでやがて小さな声で囁く。


「あの・・・その・・・この間みたいに頭・・・撫でてくれませんか?」


座っているので上目遣いで俺に尋ねてくるがそんなことで良いのだろうか?


「それくらい言われないでもやりますよ。アカリさんは謙虚なんですね」


ささやかなお願いに思わず笑ってしまう。それからゆっくりと座っているアカリの頭を静かに撫でる。


「えへへ、私にとってはこれが一番のご褒美なんで気にしないでください」


うっとりとした表情でアカリは俺が撫でるのに身を任せている。


さてさて、こんな目立つ二人が目立つ行動をしていたらどうなるか?それは大変なことになるというものだ。


ふと気づけば周囲の視線は先程の二倍になり、写真どころか動画を取り始めた人々が出始めたので俺は慌ててアカリの手を引っ張ってその場を後にする羽目になってしまった。


撫でられている途中で中断されたので不機嫌な顔をしていたアカリだがすぐに現状を思い出して駅で電車に乗ってからしばらくは顔を真っ赤にして俯いて無言になってしまった。

駅前でこんな光景をみたら私だって注目します。

普段のアカリなら思いつくのに浮かれている時は気づけないものなんですかね?

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