190:追跡開始
みんなが聞いていたからそりゃ気になるよ
さてアカリとユイがデートに出かけるということはあの世界で大っぴらに宣言されている。
そんな宣言を聞いてサキとルナが大人しく帰りを待っている・・・なんてことは当然なかった。
「相変わらず目立つよねぇあーちゃんは」
「俺の妹なんだから目立って当然だろう」
時は少しだけ巻き戻る。ユイがまだ来ないので噴水前でそわそわとユイを待っている時に実はルナとサキも現場にいたのだ。
アカリに気づかれないように噴水から少し離れた駅の構内に二人はこそこそと隠れながらアカリの様子を伺っていた。
ルナは結構ノリノリで探偵みたいだと言っているがサキとしては正直複雑な気分だし乗り気ではなかった。
にも拘らずこうして尾行なんて行為に及んでいるのはデートの相手がユイだからに他ならない。
妹のデートを応援したい気持ち半分、でもそのデートの相手がユイなのでモヤモヤしている気分が半分の極めて複雑な心境でルナに誘われるがままに尾行に参加してしまっていた。
「つーか本当にこのまま尾行するのかルナ?大人しく帰った方がよくねーか?」
帽子にサングラス、青いジーパンに白Tシャツというラフな格好をしたサキがルナに問いかける。恰好と体格のせいで男の子のようにも見える恰好だ。
「そんな気持ちじゃだめだよさきっち!はーちゃんとデートなんてうらやまけしからんイベントなんて見過ごせるわけないじゃんか!」
そういって胸を張るルナは上下一体になった灰色のワンピースに野球帽をかぶりサキに宣言している。
二人的には目立ってないように思っているかもしれないがそれはただただ自認が緩すぎるせいである。
少なくともユイに負けず劣らずの二人がこそこそと観察している姿を見て気にならない人は少ない。
そのせいで二人は気づいていないのだが先程から駅に入ってくる人々の視線を集めてしまっている。
悲しいかな本人たちはともかくアカリですらこの変な空気に浮かれて何も感じていないのである。
「とはいうが流石にアカリだって可哀そうだろうが。こんなことバレたら流石にまずいって」
サキはそう言っているが実際のところ気づかれたところでアカリがサキを怒るなんてことは地球がひっくり返ろうが起きることはない。
サキがアカリに甘いようにアカリもまたサキに甘いのである。なんならデートをするのがサキだったらアカリはとても楽しそうにルナと尾行に参加している。知らぬは本人だけである。
「さきっち!そんなことじゃあアカリにはーちゃん取られちゃうよ!お姉ちゃんなのに愛人さんとか二番目さんコースだよ!」
こいつは一体どこでなんの情報を仕入れてきたんだ・・・頭が痛くなるがアカリに取られるという一文はたしかにモヤモヤする。
アカリのデートがうまく行ってほしいという気持ちの方が大きいがそれはそれとして観察しないといけない理由ができてしまったせいでこの尾行から抜けられなくなってしまっている。
これが惚れた弱みってやつなのか・・分からねーけどこの探偵ごっこにもう少し付き合う必要がありそうだ。
デートの行方が気になる二人の話。
負い目があるせいでデートは止められないけどそれはそれとして気になるお年頃。
ルナちゃん的にはユイが浮気した扱いなのです




