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185:何もなかったことにしたい

慈愛に満ち溢れる

覚悟をして目を閉じていたのに痛みが来ることが全然ない。まさかあまりの衝撃で脳が痛覚を麻痺したのかしら?だとしたらありがたいと思ってしまう。やっぱり痛いのは嫌だもの。


でも流石に何かがぶつかるような衝撃が来てもおかしくないはずなのにそれすら来ないのは違和感がある。


何かあったのかしらと恐る恐る瞼を開けた私の視界に泣いているサキとルナの顔が飛び込んできた。


ああ、そんな顔を見たくて戦っているわけではないのにどうしてこう見たくないもの程見てしまうのだろう


「そんなに泣かないで頂戴。せっかくの可愛い顔が台無しになってしまうじゃない」


私の言葉に首を大きく横に振って否定の意思を示す二人。これは困ってしまうわね。


二人は必死に喋ろうとしているのだが涙のせいでうまく言葉が紡げなくて、そのせいで泣き声はより激しさを増しているように感じる。


「ほら・・・心配しないで。私は生きているんだからもう泣かないで頂戴」


はたから見ればボロボロの私が無傷な二人を慰めるなんてとても不思議な光景に思ってしまう。


私の追加の言葉のせいで限界を超えてしまったのか二人は武器を解除して私に抱き着いてくる。


痛みはあるけどそれは顔に出さないように努力する。ここで顔に出してしまうと余計酷いことになってしまうもの。こうやって二人に抱き着かれるのは嬉しいけどこういう状況なので複雑な気持ちだ。


「ごべ・・ごべんなさい。僕らのせいではーちゃんこんな・・・こんな・・・」


涙と鼻水でぐしゃぐしゃな顔でそれでもルナは何度も私に謝る。記憶がない方が嬉しかったがそこまで都合よくできていないらしい。


「っ・・・おれ・・・おれ・・・もう少しでユイのこと・・・こ、ころしそうに・・・」


ルナも酷いがサキの方が重傷だ。なにしろあと少し遅ければ彼女の拳で私は殺されていたのだから。


その事実を知ってしまった彼女の心の痛みは計り知れない。恐怖と悲しみに支配されているのだろうことがよくわかる。


「大丈夫。そんなことは起こらなかったんだから。何もなかった。それだけのことよ」


「何もなかったわけねーだろ!!!こんなボロボロになって!!!俺はとんでもないことするところだったんだぞ!!!!」


泣きながら怒るなんて器用なのね。でも私としては怒りもなにもない。今回の事は仕方なかったことなのだから怒るとしたら敵に対してで二人に対して思うことは無事でよかったという気持ちだけである。


「そんなに自分を責めないで。それよりも2人がちゃんともとに戻ってくれた」

「それが何より私は嬉しいから。だから泣かないで頂戴。2人の悲しむ顔なんて見たくないわ」


2人を安心させたいと思って笑顔を向けるのだがなかなか2人は泣き止んでくれそうにない。


「でも・・・でも・・・だって・・・」ルナも不満そうな顔をしている。簡単には受け入れられないことはよくわかる。でも受け入れてもらえないと私としても困ってしまう。


「いいのよ。2人はなんにも悪くないんだから。でももうちょっとこうさせて」


泣いている二人の頭を優しく撫でる。それだけのことで私の心はとても満たされる。


2人が泣き止むまでの間私はただ黙って2人の頭を撫で、2人はただ撫でられていた。

彼女にとって3人の無事が一番優先順位が高いのでこうなります。

こんなことするから3人が余計沼にはまるんですけどね

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