175:褒められたい
これもまた一つの愛のカタチ。
ホテルの中に転がり込むように侵入してからようやく私は一息ついて後ろを振り返ることができた。
「ユイさん・・・」激しい戦闘音が聞こえるはずなのに入り口から先は真っ暗で何も見ることができず、音一つ聞こえない無音の空間が広がっていた。
友達として学校で仲良くしてもらっているけど戦闘に関してはたった2回。そんな少ない回数しかユイさんが戦っているところは見たことがない。
でもその2回だけでユイさんが強いのはよくわかった。きっと私がいなければとっくにお姉ちゃんたちをおとなしくさせて侵略者も倒せているはずなのだ。
でもそんなことは起きなかった。私を助けるためにお姉ちゃんとルナちゃんを相手に時間稼ぎして今もなお私のために戦っている。私というお荷物の為にユイちゃんが必死に頑張ってくれている。
そんな事実を考えるだけで私の足は石のように重くなって動けなくなる。
昔からそうだった。いっつもお姉ちゃんやルナちゃんの後ろに隠れて過ごしていた。そうしていれば二人がいつも助けてくれていた。
戦いについてだっていっつも守られているのが私の仕事。そんなのが嫌でサポート能力を高めたけど結局は戦いから逃げていた。自分がとても無力な存在に思えた。
「私には荷が重いよユイちゃん・・・私じゃなくてユイちゃんが行けばよかったのに・・・」
弱気な心に支配され何もできなくなりそうな私の懐で何かが光っているのが分かった。通り過ぎる一瞬でユイちゃんから押し付けられた何か。あの時は確認できなかったのでゆっくりと取り出して確認する。
「これ・・・拳銃?」無骨な何の飾りもない拳銃がそこにはあった。
ユイちゃんの武器はお姉ちゃんやルナちゃんと違って非常に質素だ。
私を助けるために握った刀だって斬れればそれでいいというようになんの特徴もない武器だった。
今手に持っている拳銃もそれで言えば似ているがユイちゃんが銃を使うという姿がなんだか想像できなかった。
拳銃の使い方なんてよくわからないけどいわゆるリボルバータイプみたいで引き金さえ引ければ弾丸は飛んでいけると思う。こんなことならそういうゲームの動画をしっかり見ておくべきだったかもしれない。
ルナちゃんの付き合いで昔見た映画くらいの知識しかない私でも使えそうなのでそこは安心した。
握っているとさっきまで震えていた体がだんだんと落ち着いていくのが分かる。温度なんてないはずなのに拳銃から熱を感じる。なんだか近くにユイちゃんがいるみたいでとても安心する。
そうだ。落ち込んでいる時間はないはずなのだ。ユイちゃんは私を信用して送り出してくれた。
いつも隠れていた私の背中を押して道を切り開いてくれた。頼りにしてもらった。
そんなユイちゃんの期待を裏切ることはできない!弱虫の私だけどそれだけは嫌だ!
「怖いけど・・・ユイちゃんに嫌われたくない・・・ほめてもらいたい・・・」
なんて幼稚な願いなんだろう。でもきっとユイちゃんは優しいから受け止めてくれるかもしれない。
「私頑張る!みんなのためにも!」弱虫な私はいったんゴミ箱にぽいして私は歩き出す。
私を信用して送り出したユイちゃんにふさわしい自分になるために。
握りしめた手から伝わる拳銃の熱を頼りに私はホテルの探索を開始した。
アカリもあの親の血を引いてますから愛の形が少し変わっています。
でもまだその感情に気付いてないです




