172:劣勢
ルナもサキも弱いわけではないんです
接近戦において間合いはかなり重要な要素となっている。大きな武器ほど懐に潜り込まれた際の対処は難しくなっている。
私の懐に潜り込んだサキからの連撃が止まることがない。右、左、アッパー、打ち下ろし。避けることは難しくはないのだがそれが=対処が簡単だということにはならない。
彼女の武器である巨大なガントレットは一見大振りになりやすく振りほどくのは簡単に見えることだろう。
しかしその大振りの隙を打ち消すのが彼女のもう一つの武器である両足に装着されたソルレットである。
ただのガードかと思っていたがそれは一側面にしか過ぎない。急ブレーキに急加速と攻撃に緩急をつける役割がそれには課されていた。
大振りの右フックを避けながら反撃をしようにも急加速した右足からの回し蹴りが追い打ちで飛んでくるのでこちらとしては回避に専念するしかない。
一発一発の威力が高すぎるせいで下手に受けるわけにもいかず、傷つけるわけにもいかない私としては攻め手にかけているのが現状だ。
「厄介すぎるわねこの攻撃。迂闊にこちらから攻められないじゃない」
歯ぎしりしたいのを抑えつつ止まることのない連撃を回避し続ける。こちらがイラついているのと同じようにサキとしてもここまで手こずるとは思っていなかったのか怒りのボルテージは冷めるどころかどんどんと高まってしまっていった。
「ちょこまか避けてんじゃねーよ!おとなしく一発食らっとけよなぁ!!!」
怒りで我を失って隙を見せてくれるのなら嬉しいのだが口では切れながら攻め方は冷静なのが厄介極まりない。伊達に長い間侵略者と戦っていたわけではない。そこにはしっかりとした経験を感じる。
余裕があればアカリの方に援護に行こうと思ったのだがそこまでの隙が出来ない。
ようやくできた僅かな隙を強引にこじ開けるように当てる気のない斬撃で距離を取りつつアカリの様子を確認するがそちらの方も芳しくない。
元々がアタッカーというよりはサポーターよりの戦闘スタイルのアカリが大剣とはいえがんがん接近戦を仕掛けてくるルナの対処をするという前提があまりにも無謀すぎる。
なおかつ大親友の幼馴染が相手なのだから余計戦闘意欲は落ちるというものだ。今も必死に詠唱をしようとしているのだがその隙に接近されたルナの大剣により弾き飛ばされる。
既に何度も地面を転がっているのかアカリの衣服はボロボロで頭からはかすかに血が流れているのが分かる。
「う~ん、さきっちは苦戦してるけどこっちはこっちでなかなか仕留められないにゃ~」
「なんというかうまく芯を逸らされているっていうか・・さきっち分かる?」
「戦っている最中に聞いてくんじゃねーよ!余裕あるならちったーこっち手伝え!」
アカリだって余裕があるわけではない。このまま戦い続ければアカリがすりつぶされるのが先だろう。
どうする・・・今なら二人を制圧することはできないこともない。だができることとやれるかはまた別問題だ。私も彼もルナとサキを傷つけるという選択肢は絶対に選びたくない。
手加減して制圧できるほどの器用さもないし、万が一怪我でも負わせたらそれこそ後悔してもしきれない
頭空っぽにして力で制圧できればどれほどよかっただろうか。愚痴を言っても仕方ないのだがそれでも愚痴りたくて仕方ない。
どうするべきか考えている間にも戦況はどんどん悪化していく。私たちに残された猶予はあまりなかった。
サキはいわゆる戦闘上手です。今までの経験から効率的に攻めてきます。
ルナは逆にセンス全部りです。変に勘もいいので戦うと一番厄介なタイプです




