171:2VS2
今までの話との温度差がやばい
さてどうしたものかと思考を巡らせる。戦うこと自体は嫌いではないのだがサキとルナと戦うなんてごめん被る。あの二人は愛でる対象であって始末する対象ではないのだから。
アカリも緊張しているのか握っている杖に力がいつもよりも籠っている感じがする。そんな私たちが見えてないかのようにサキとルナは語りだす。どうやら会話は可能なようだ。
「っち、追加の増援かよ。さっきの敵もまだ始末してねーのに今回の敵は厄介だな」
悪態をつきながらもサキの武器であるガントレットは降ろされることなくこちらに向けられている。
「まあまあさきっち。前のも今のも小型だからぱぱっと片付ければいいっしょ」
話している姿はまともなのにそれでも二人がこちらに向けてくる敵意は衰えることなくどんどんと鋭くなっていく。
「ま、待ってよお姉ちゃん。サキちゃん!落ち着いて、話を聞いて!」
アカリの悲鳴にも似たお願いは目の前の二人には届いていないようだ。
「なんか喋ってるみてーだけど聞こえねーな。わりーが命乞いなら聞かねーぞ」
「君らがどんな存在かしらないけど僕らの世界を滅茶苦茶にするのなら容赦しないからね」
彼女たちの様子はどうも洗脳されているとは言えないだろう。少なくとも武器を持って戦う意思を持っているのは彼女たち自身だ。だとすれば考えられることは一つ。
「認識阻害とはかなりやっかいね。アカリ、あの二人には今私たちが敵としか見えてなさそうよ」
「そんな・・・こんな搦め手を使う侵略者なんて今まで一度だって現れなかったのに」
少なくとも私の知る限りの侵略者は大型で氷や水などで物理的に破壊する破壊者ではあった。
だが今回の敵はあの二人の言葉を信じるのであれば小型で精神的に追い詰める今までと真逆の存在だ。
「今までがそうでも今後もそうだとは限らないわ。適応というべきか進化しているのかしら」
そう呟く私の言葉を遮るように拳が飛んできたので慌ててしゃがんで回避する。
「いつまでも意味不明なこと言ってんじゃねーぞ!ユイとアカリと合流しねーといけねーんだからちゃっちゃと潰させてもらうぜ!!」
私たちの事を心配してくれるのは嬉しいが攻撃している相手がその相手本人だとは気づいてないらしい。
「ユイさん!?きゃっ!?」心配して視線を反らしたアカリにルナの斬撃が飛んできたので慌てて杖でガードして弾き飛ばされてしまう。
「侵略者にも仲間意識ってあるんだね。2VS2だしすぐに終わらせてあげるよ!」
相変わらず自分よりも巨大な剣を身軽に振り回しながらルナは言葉を紡ぐ。
「油断しないでアカリ!隙をついてあの二人を操ってる本体を叩くわよ!」
接近してくるサキに刀を振るって牽制しながらアカリを奮い立たせるべく言葉を放つ。
「りょ、了解です!お姉ちゃんたちを操るなんて絶対に許しません!」
覚悟が決まったのかしっかりとした足取りでアカリは杖を構えなおした。
こんな屈辱的な戦闘に追いやった侵略者は絶対に生かしてはおけない。
なんとしてもこの二人から隙を作って現状を打破しなければならない。迫りくる拳を回避しながら私たちは決意を固めた。
完全洗脳よりも認識阻害の方が厄介な気がしますね。
叩いて直すことができないので本体を仕留めないといけないですからね




