169:魔女
まだ合流できそうにない。
侵略者を探すために町を駆け抜ける私と器用に杖に腰掛け空を飛びながら私に追従するアカリ。さながら格好も相まって魔術師というよりは魔女と説明する方が正確だと思う。
「そんなこともできるなんて器用なものね」率直に感想を述べるとアカリは照れ臭そうに笑う。
「お姉ちゃんたちと違って近接戦闘はできないのでそれ以外を伸ばしていったらこうなったんです」
あの二人にできないことをサポートするという前提のもとにスキルツリーを伸ばした感じなのだろうか、
直接戦闘にかかわらないスキルの修練というのは簡単にはいかないものだ。その点で見てもこの世界への適応率を考えてみればもしかしたらアカリが一番高いのかもしれない。
「とは言ってもこれ一人乗りなんでルナちゃんはともかくお姉ちゃんも乗せられないんですよね」
ため息をつきながら弱点を説明するが、一人だけでも空中を飛べるのはメリットの方が大きい。
「残念ね。アカリの腰につかまって一緒に飛べれたら素敵だと思ったのに」
私だって女の子だものそういう二人乗りのシチュエーションに興味がないわけがない。やれるなら是非とも挑戦したいほどだ。
「そ、そんな恥ずかしいことできないですよ。それにそうなったら緊張しちゃうので・・・」
アカリが慌てて否定する。でもその返答は悪くないわね。彼の行動も無駄ではなかったかしら。
「なら私が抱きしめて夜の散歩でもする?少しくらいなら飛んでいられると思うわよ」
飛行というよりは空中歩行になるだろうか。試してないができないことはないとなんとなく確信めいた感覚を持っている。
「それは・・・悪くないですけど。い、今はみんなとの合流を優先しませんと」
あたふたと誤魔化すように話題を変えられたので私もそれにつられる事にする。ここで強引に攻め込む必要はないのだ心にくさびを打ち込めればそれで充分。こちらを意識してくれるだけで勝ちだ。
「それもそうね。にしても全然見当たらないわね。一体どこにいるのかしら?」
そういって地面を思いきり蹴って空中に浮かび上がりながら周囲を見渡す。
見える範囲には侵略者の姿は見えず町はいつも通りの様相を呈している。
しかし、かなり離れたエリアで建物が地面に飲み込まれるように消えていったのが辛うじて見えた。
背後で魔力を用いてソナーのような画面を出しながら周囲を警戒していたアカリに声をかけようとしたと同時にアカリもまたこちらに声をかけてくる。
「ここから北西9km地点に魔力反応。観測データからお姉ちゃんとユイちゃんだと思います」
「上から見たけど同じくらいの方向から戦闘の痕跡があったわ。間違いなさそうね」
私とアカリは同時に頷く。そこそこ距離があるから急がなければならない。
「ちょっと失礼するわよ」そう言って私はアカリをお姫様抱っこで抱え上げる。
「え、え!?急に何してるんですかユイさん降ろしてくださいよ恥ずかしいですよ!」
じたばたと暴れながら抗議するアカリ。残念ながら拒否権は与えないのだけれど。
「急がないといけないから少しスピード上げて運ぶわよ。アカリがとても速く飛べるならやめるけど」
そう私が言うとアカリはむぅと唸りながらも私の体にぎゅっと抱き着く。
「そういうところ本当に意地悪ですよユイさん」
「かわいい子限定でしかしないわよこんなこと。アカリが可愛いからしてあげるの」
「っつ///急いでください!お姉ちゃんたちが待っていますから!」
からかいすぎも良くない。思っていることは本当だがここでさらに言っても仕方ないことだ。
私に抱き着いてくれているアカリの感触を楽しみつつ私はギアを上げてさらに早いスピードで街中を駆け抜けていった。
空中飛行は現状だとアカリしかできません。
ユイは魔力で足場作って強引に飛んでるので。空中歩行といった感じでしょう。
そんな感じでアカリしかできないことが多いのであの3人の中だとアカリが落とされたら致命傷です




